平成29年度以前のESD

平成29年度以前のESD(自然プログラムとその他プログラムまとめ)

JAXA永井裕人さんに授業していただきました。

10月28日(木)、JAXAから永井裕人さんをお迎えして授業をしていただきました。 自然災害と環境問題に対して地球観測衛星データを使ってどのようなことができるのかグループディスカッションを通して考えました。 2年2組 佐藤匠くん
人工衛星というと、地図の作成やGPSへの利用などが頭に浮かびますが、今回の授業を通して衛星データがどのような働きをし、どのような効果がみられるのか詳しく知ることができたのでとても良い経験となりました。 私は小学6年生のときに東日本大震災を経験しました。 人工衛星データを利用し、災害発生時により早く正確な情報を人々に伝えることができるシステムが開発されたら良いなと思いました。

  

H27年度 つくば研修を行いました!

9月27日(日)と28日(月)の2日間,第1学年の希望者33名が茨城県つくば市にある「産業技術総合研究所 地質標本館」,「宇宙航空研究開発機構(JAXA) 筑波宇宙センター」,「防災科学技術研究所」に行って来ました。 つくば研修2年目となる今年度は「科学的な視点で自然災害を学び、災害から命やくらしを守る力を身につけること」を目的として,「自然災害を科学し,行動する~高校生の私にできること~」というテーマで実施されました。

1日目[9月27日(日)]

【産業技術総合研究所 地質標本館】はじめに地質調査総合センターの概要について講義を受け,災害軽減のため,活断層や火山などの地質研究,調査・観測が大変重要であることを学びました。 その後,地質標本館内をテーマ毎に解説していただきながら,日本列島周辺の震源分布,地震による液状化現象(はぎ取り標本),デスモスチルス骨格標本などを見学しました。 (写真撮影や記録はi-Padを利用)

地質調査総合センターの藤原治先生と下川浩一先生にお世話になりました。

  

【(JAXA) 筑波宇宙センター】
  

【1日目のまとめ…夕食後にホテルにて】
  

 

2日目[9月28日(月)]

【防災科学技術研究所】2日目は,防災科学技術研究所で研修を行いました。 午前は地震(ペットボトル地震計),気象(雨粒の形)について,午後は気象(竜巻)について実習・講義の後,大型耐震実験施設と大型降雨実験施設を見学しました。

講師として淺野陽一,出世ゆかり,鈴木真一各先生方にお世話になりました。

【ペットボトル地震計作成中】

【雨粒を見てみよう!】

【竜巻発生にチャレンジ】 

【大型耐震実験施設の見学】

今回見学した「産業技術総合研究所 地質標本館」,「宇宙航空研究開発機構(JAXA) 筑波宇宙センター」,「防災科学技術研究所」はいずれも,日本を代表して研究開発を推進する組織(国立研究開発法人)です。 講師の先生方は最先端の研究に携わっておられていますが,専門的な内容を高校生にもわかるように説明してくださいました。 参加した生徒たちは今回のつくば研修を通じて自然災害のしくみを学び,自分たちがどのように「防災・減災」について発信していけるか考えていました。

石巻市牡鹿半島で野外実習を行いました

9月26日(土),27日(日)の2日間, 「野外観察を通じて地学の調査法や考え方,私たちを取り巻く地球環境を理解する」ことを目的とし,2年生11名が牡鹿半島で野外実習,多賀城高校で実習まとめ作業を行いました。 講師として東北大学学術資源研究公開センターの西弘嗣先生,高嶋礼詩先生をお招きしました。

1日目(9月26日(土))

 野外実習実習地は牡鹿半島の月の浦漁港,荻浜,狐崎漁港,福貴浦漁港,鮎川漁港,御番所山公園の6か所。 それぞれの地点で露頭(地層)の観察,走向傾斜の計測,記録を行いました。 浦戸野外実習に引き続き,今回の実習も宮城教育大学COC事業の協力を得て,i-Padを用い写真撮影や記録を行いました。

  

  

野外実習の最後は,御番所山公園から金華山を観察しました。 今回の各実習地点で観察した地層からわかる牡鹿半島の成り立ちを説明していただき,1日目の実習を終えました。

  

2日目(9月27日(日))

 実習のまとめ作業2日目は,多賀城高校でまとめの作業を行いました。1日目に測定した走向傾斜を地図上にプロットする作業や牡鹿半島の地質構造の確認をしました。 また,地層観察からわかった地球の地殻変動や海水準変動をまとめる作業をしました。

  

講師の先生方は,大学の講義レベルの内容を高校生にも理解できるように噛み砕いてご指導してくださいました。 参加した生徒たちも先生方のお話に真剣に耳を傾け,自分たちの住んでいる宮城県,そして地球がどのような地殻変動を経て現在に至るのかを学ぶことができました。 「実際に歩いて露頭を観察することで,地層の成り立ちや危険箇所を知ることができ,防災にも役立つ。」というお話もいただきました。

「課題研究の進め方」について講義をしていただきました

9月29日(水)1学年を対象として、後期から「総合的な学習」で取り組む課題研究に沿った学習への取り組み方について,東北大学災害科学国際研究所講師の久利美和先生に講演をいただきました。 多賀城高校では今年度から総合的な学習の時間を用いて「防災・減災」をテーマとした課題研究について全校で取り組む計画です。
  久利先生には,「論文」とはどういうものなのか「学会での発表」とはどのようなものなのかを,わかりやすく説明していただきました。   「論文」とは自分の意見を根拠を持って発表するものであり,「学会」は自分の研究について他の人から意見をもらったり,協力者を募る場面であるとの話をいただきました。   「発表」の機会ではどうしても失敗をしないようにとか,綺麗な結果を求めがちになりますが,自分の研究に対して応援してもらえる良い機会である,質問が沢山あるほど良い研究につながるとのお話しをいただきました。
  今後は発表の機会に、積極的に自分から考えを発表したり,質問したりするようにして研究を深めていきたいと思います。

「浦戸から地球に思いを馳せて」

塩竈市浦戸野々島で野外実習を行いました & 海上保安庁の測量船「天洋」と巡視船「まつしま」」に乗船しました

7月19日(日),20日(月)2日間をかけて,(独)海洋研究開発機構(JAMSTEC)との連携事業「浦戸から地球に思いを馳せて」と題して, 2年生を中心とした生徒23名が塩竈市浦戸諸島野々島での野外実習,多賀城高校での屋内実習を行いました。 JAMSTECとの連携事業は昨年度から引き続きの実施となりました。

地学班の講師は6月9日に行われた事前研修に引き続き小俣珠乃研究員をお招きしました。 プレートテクトニクスの理論と世界に広がる造山帯の話など前回の講習の内容が,実際のフィールドワークで実感できたものになりました。 校内実習では松島湾の成り立ちを,地殻プレートの動きなど地球のダイナミクスを推測できる実習を行っていただきました。

7月19日(日) 野外実習

8:45 マリンゲート塩竈に集合

事前学習で学んだことを出発前に再度確認し,さらに本日の実習内容についての確認です。実習は,地学班と生物班に分かれて行います。

9:30 出航

塩竈市営汽船に乗り,いざ出発。台風の影響もほとんどなく,海の青さと松島の緑がきれいな実習日和となりました。 塩竈市営汽船は浦戸諸島と塩竈港を結び,日曜,祝日には5往復しかありません。 浦戸諸島は,大小様々な島からなり松島湾の南東部に位置する島々です。 桂島,野々島,寒風沢,朴島には集落があり,歴史と豊かな自然に恵まれたところです。
塩竈市営汽船HPはこちら

10:01 野々島着

ここからは,地学班と生物班に分かれての活動です。

地学班は宇内浜付近に移動し,露頭の観察を行いました。i-Padのアプリケーションソフトであるクリノメータを用い断層面の走向傾斜を測定しました。引き続きi-Pad上で地層のスケッチをしました。

最後に浜の砂を椀がけし,有色鉱物を観察しました。

  

生物班は千代崎(毛無﨑)に移動し植生を観察しました。続いて,特に松の観察を行いました。野々島にはアカマツとクロマツが自生しています。 また,そのハイブリッド種も存在しています。そこでこれらの分布について葉を採取することで,植生分布を確かめることとしました。植生分布を調べることで,遷移の様子がわかります。

  

14:23 野々島発

無事に実習を終えて野々島を出港です。島のあちこちではまだ,震災復興のための護岸工事が行われています。 塩竈市街地や松島湾の被害が少なかったのは,浦戸諸島が津波の盾になったからだと言われています。 島民全員が高台に避難して無事だったそうですが,離島ゆえに直後の物資搬入や,その後の復旧・復興も遅れがちになっているとも聞きました。 実習中にも被災跡を目にすることがあり,私たちも何らかのお手伝いができればと考える野外実習でもありました。

14:54 マリンゲート塩竈到着
15:00 海上保安庁測量船,巡視船への乗船見学

当日は「塩竈みなとまつり」も開催され,翌日は「海の日」ということもあり,常日頃御協力をいただいている第二管区海上保安本部,宮城海上保安部のご厚意により 測量船「天洋」と巡視船「まつしま」に乗船させていただく機会を得ることができました。

「天洋」はマルチビーム探査機を備えた測量船で,水路を確保するために沿岸部の海底について調査する船です。 震災後は港湾に沈む車などの発見など水路の安全のために活躍しています。

「まつしま」は災害発生時に孤立した沿岸や離島などで救援活動を中心に行うことができます。 被災者の収容,沿岸物資を積むスペースの確保や一度に200名分の調理ができる能力など最新鋭の装備が施されています。

7月20日(月) 屋内実習

生物班では,前日島内で拾ってきたマツの葉についての観察を行いました。アカマツとクロマツが自然の状態で生育している場合には,アカマツは内陸に,クロマツは海岸に多いと言われています。 また,アカマツは幹の下部が暗褐色,上部は赤褐色をしています。クロマツは下部から上部まで暗褐色をしています。葉では、アカマツはやわらかく,クロマツはかたく暗緑色と言われています。 また,アカマツとクロマツの自然交配種(ハイブリッド)も存在しており,一概に区別することは難しいことが多いと言われています.。

区別を顕微鏡で行うと,樹脂道が表皮についているのがアカマツ,葉肉内に入っているのがクロマツと区別がつくことを利用し,アカマツ,クロマツ,ハイブリッド種を区分する実習をおこないました。

  

地学班では,島内で観察してきた地層やそこで測定してきた走向傾斜から地質図を作成する作業をおこないました。松島湾内では中新世時代前期の松島層と大塚層が地表付近で見られます。 松島層は凝灰岩、大塚層はシルト岩がそれぞれ主体となっており,これらの地層は北西-南東の走向をもち,ゆるやかな背斜,向斜構造をくり返し形成しながら分布しています。 野々島では松島層と大塚層の境界が観察できたことや,大塚層に見られる小断層などについても解説されました。

また,後半には野々島の海岸で砂,さらに椀がけした砂,加えてJAMSTECの調査船が採取した深海堆積物について実体顕微鏡で観察しました。 様々な鉱物の同定について小俣先生から御指導をいただきながら,その違いについての観察をおこない, 様々な鉱物についてi-Padで顕微鏡写真を撮影し,その写真に直接iPAD上で特徴を記載するなどして観察記録を取りました。

  

この事業はパナソニック教育財団の助成対象であり,宮城教育大学のCOC事業の協力を得て行われました。 実習ではノーペーパーでi-Padに保存されたいる地図に直接記録を書き込む,クリノメーターや方位磁石としての測定器具として使う, 写真や動画を撮影する記録媒体として用い,データを共有するなどの取り組みをおこないました。 これまでに無い,校内外での多面的なタブレットの活用としても意義深い実習となりました。

海洋研究開発機構:海洋に関する基盤的研究開発や海洋に関する学術研究に関する業務を総合的に行う研究機関

パナソニック実践研究助成
宮城教育大学COC:「宮城協働モデルによる次世代型教育の開発・普及」