災害科学科(概要)

1 設置の目的

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災により宮城県は未曾有の被害を受けました。宮城県では平成23年10月には宮城県震災復興計画を策定し,防災教育の充実を復興の重点として掲げ,小・中・高等学校及び特別支援学校に防災主任を配置し,「みやぎ学校安全教育基本指針」を策定するなど,防災教育に積極的に取り組んできました。
 これらを踏まえ,平成25年2月に宮城県教育委員会が策定した「新県立高校将来構想第2次実施計画」に基づき,大震災から学んだ教訓を確実に次世代に伝承するとともに,将来国内外で発生する災害から多くの命とくらしを守ることができる人材を育成するため防災系の専門学科を設置することとしました。

 

2 教育目標,方針と育てたい生徒像

(1) 災害科学科の教育目標

  1. 「人とくらしを守る」という高い志を醸成し,職業として防災にかかわるだけでなく,地域や企業などの様々な組織でリーダーシップを発揮できる人材を育成する。
  2. 将来,大学等へ進学し,高い専門性を身につけ,研究者や技術者等として,まちづくり,教育,医療や看護,国際支援,災害救助など幅広い分野で国際的にも活躍できる人材を育成する。
  3. 地域との連携による先進的な防災教育に取り組み,その成果を広く情報発信し,小学校,中学校を含む県全体での防災教育充実へとつなげるパイロット的な役割を担う。

(2) 災害科学科の教育方針

  1. 大学などの研究機関や行政機関などと連携して先進的で特色ある防災教育を推進する。
  2. 社会の様々な場面で活かすことのできる防災に関する基礎知識・技能を体験的・実践的に習得させる。
  3. 災害から見出される諸課題を題材とした課題解決型学習を取り入れ,探究の手法,科学的手法を習得させる。

(3) 災害科学科で育てたい生徒像

 教育目標と教育方針に従い,災害を科学し,防災意識を向上させ,将来において社会に貢献し,かけがえのない命とくらしを守る生徒を育てる。

  1. 期待される人間像
    ア)高い「志」と高いアビィリティの習得
     夢や理想を自己実現できる高い意識・能力・行動力を備える生徒
    イ)リーダーシップの習得
     コミュニケーション能力に富み,地域や企業などの様々な組織において,防災・減災活動等で組織管理ができる能力を備える生徒
    ウ)国際的視野の習得
     さらなる高度な学問を体系的に学び,人類のため国内外で幅広く活躍する能力を備える生徒
  2. 目標とする高校卒業後の進路
     主に,医学,理学,工学,農学,環境学,情報学及び看護学などに関する科学的視野が必要な上級学校や,心理学,社会工学,地理・歴史学などに関する人間・社会科学的視野が必要な上級学校への進学を目標とする。
  3. 入学時に求める生徒像
     将来の進路及び社会で果たす役割を考え,「行動力,活動力,コミュニケーション能力」が高く「探究的な活動」を好み,リーダーシップを発揮し,自分の言葉で情報を発信し,行動できる生徒とする。

 

3 教育の特徴

 防災教育を県内外に広げるパイロットスクールとしての役割を担うため,防災に関する基礎的な知識・技能を習得する一般的な防災教育は普通科,災害科学科両科共通で行い,災害に関する科学的見地を習得する専門的な防災教育については災害科学科で行うことで,防災教育の充実を図ることとします。
 特に,ESDの考えを取り入れながら防災・減災の考えを切り口とした自然科学,社会科学に関する教科科目を開設するほか,「安全・安心につながる防災教育」,「災害を科学的に理解する自然科学教育」,「防災・減災の観点からの国際理解教育」、「課題研究」,「ボランティア活動」を行います。