平成29年度以前のESD(自然プログラムとその他プログラムまとめ)
海洋教育フォーラムで発表しました
11月12日(土)東北工業大学で行われた,日本船舶海洋工学会主催のフォーラムで本校の活動の様子を報告しました。
このフォーラムは「海」をキーワードに広く市民に対していろいろな活動を知ってもらう趣旨で開かれているものです。本校からはESDの取り組みを中心に,生徒からは学習の様子や生徒会活動についての報告を行いました。会場からは大震災の伝承活動についてや現在の学習と将来自分が果たしたい役割などについて質問がありました。
その他に前岩沼市長である井口経明氏から「千年希望の丘」の取組,三井造船の今北明彦氏からは福島沖で実験が行われている「浮体洋上風力発電」の取組,東京大学生産技術研究所の北澤大輔氏からは「海洋食料生産」の取組についての報告がありました。いずれの取組についても大変面白い内容でした。
1年 大久保理音さん
今回,このフォーラムに参加して多くのことを学び,よい刺激を受けることができました。自分たちの行っている活動を伝えることも私たちの使命であり,大震災からの復興と伝承であることを再認識しました。
講演の中で興味深かったのは,洋上風力発電です。風力発電のイメージは風の強い海岸線に立てられるものとのイメージがありましたが,その発電効率の良さや環境への影響を考えると洋上という選択肢は素晴らしいアイデアだと思いました。これらの設置コストが安価になり,さらに技術が発展すれば良いと考えました。
このフォーラムで学んだことをこれからの学習に,活かしていきたいと思います。
JAXAとの連携授業を実施しました!
10月28日(金)ALOS2(だいち2号)衛星画像の教育目的利用の共同研究を行っている宇宙航空開発機構(JAXA)から永井裕人研究開発員を迎え,連携授業を行いました。9月のつくば研修では人工衛星の画像処理についての研修を受けており,今回は衛星画像を用いることによって,どんなことがわかるのか,できるのかとういう話を中心に授業が展開されました。
授業では生徒自身の課題研究のテーマと結びつけた話や,GIS(Geographic Information System:地理情報システム)を用いた災害対策についての話がありました。災害に襲われやすい地形の把握や過去の災害などを重ね合わせることによって,様々な情報の関連性が一目でわかるようになります。このような操作により,これまでには想像できなかった新しい情報を知ることができるようになることを学習しました。
今後は東北地区や宮城県の人工衛星の画像の提供をJAXAから受けることで,防災・減災の学習に役立てていきたいと思います。
H28 つくば研修
9月29日(木)~30日(金),災害科学科38名と普通科9名(希望者)の47名と引率5名で茨城県つくば市に研修に行ってきました。研究学園都市・つくばの様々な研究施設を巡り,最前線で活躍されている研究者の方々から直接学んできました。
写真:国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST) 地質標本館にて
○9月29日(木) ・・・全体で活動
国土交通省 国土地理院 地図と測量の科学館
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST) 地質標本館
○9月30日(金) ・・・災害科学科2グループ,普通科1グループの3コースに分かれ実施
災害科学科Aグループ:講義,施設見学
国立研究開発法人 防災科学技術研究所(NIED)
災害科学科Bグループ:講義,実習,施設見学
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
普 通 科Cグループ:施設見学
国立科学博物館 筑波実験植物園
国立研究開発法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)
CYBERDYNE STUDIO
最後に,今回つくば研修に参加した47名全員でJAXAの一般展示を見学しました。
○生徒の感想より
【国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST) 地質標本館】
地層からどのようなことがわかっているのか,過去の地球にはどのような生物がいるのかなど興味が持てる話がたくさんありました。今回だけではよくわからないことや,もっと知りたいこともあったので,今度は自分でもう一度行ってみて地層に対する考えを深めていきたいと思いました。
写真:国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST) 地質標本館にて
【国立研究開発法人 防災科学技術研究所(NIED)】
大型の降雨施設や,実際に揺らして実験できる施設など,宮城県にはないものをたくさん見て,知り,よく学ぶことができました。1つめの講義では日本海溝海底地震津波観測網S-netや津波浸水シミュレーションなどの地震や津波に関する内容,2つめの講義では火山の噴火の仕組みについてなど,授業ではあまり詳しく勉強しないことについて,詳しく分かりやすい説明を聞くことができて良かったです。ガイドさんの面白く分かりやすい説明が,聞いていて楽しいと思いました。
写真:国立研究開発法人 防災科学技術研究所(NIED)にて
写真:国立研究開発法人 防災科学技術研究所(NIED)にて
【国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)】
JAXAではパソコンを使って衛星画像をより見やすくする作業を行いました。最初は難しい作業でしたが,最後の方では使いこなせるようになりました。また,グループ毎に画像を作成し,そこから分かったことを発表するグループワークでは,それぞれの班が分かりやすい画像を作成し,細かいところにも着目して発表していたので,お互いとても素晴らしい時間になりました。
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)にて
浦戸巡検に行ってきました!(2016.07.15)
災害科学科1年生が初の野外実習となる「浦戸巡検」に行ってきました。
国立研究開発法人・海洋研究開発機構より講師として臼井洋一先生をお招きし,まず前日となる14日に事前講義をしていただきました。Google Mapを使って海嶺を探す実習をはじめ,日本列島を取り巻くプレートやその動きに関しての知識を深めました。
翌15日は生物班・地学班に分かれ,塩竈市浦戸諸島野々島・寒風沢島へ渡っての実習が行われました。マリンゲート塩竃からチャーター船で寒風沢島に向かい,東京大学生産技術研究所・潮流発電施設も見学させていただきました。各自がiPadを実験・実習ツールとして所持し,各種アプリを用いて走向傾斜測定や観察記録,現在地の確認やルートの確認に活用しながらの実習となりました。
生物班はまず寒風沢島でマツの葉のサンプリングを行い,午後から野々島に渡って毛無崎でのマツのサンプリングを行いました。出航ギリギリまで精力的にサンプリングを続けるなど,意欲あふれる実習を行いました。
地学班は寒風沢島で浦戸諸島を形成する大塚層・松島層の概要を臼井講師から学んだ後,その場で走向・傾斜の測定法をご指導いただき野々島へ。地学班は「野々島で松島層・大塚層の境界をグループで探索せよ」という課題が課せられ,グループごとに島内随所をまわり,議論しながら境界面を探し歩き走向・傾斜の測定や岩相記載を行うなど,地学の基礎的な実習を通して浦戸諸島の地質に関する理解を深めました。
学びを教科書で終えるのではなく,学校で学んだことを武器として実際にフィールドで課題解決に挑む経験は,大変意義深い学習となりました。
また今回は北海道室蘭栄高等学校理数科2年生の有志13人も一緒に浦戸諸島で実習を行いました。「北海道内で地層がこのような形で見える場所はほとんどない」とのことで,室蘭栄高等学校の生徒も矢継ぎ早に臼井講師へ質問を重ねていました。
今後生物班・地学班とも校内外の発表に向けて成果をまとめていきます。
感想・小泉和馬(地学班・塩竃二中出身)
この浦戸巡検は,地学分野の観察・調査の野外実習を通して,私たちを取り巻く地球環境を理解することが目的でした。その中で観察・調査・試料採取の方法について学ぶことが大きな発見につながったと思います。実際に地層で走向・傾斜を測定し,その島の地質が見えてきたように思いました。
そして,松島層・大塚層というふたつの地層があることも分かりました。また潮流発電施設を見学し,技術の進歩を実感しました。今回の巡検で分かったことをしっかりまとめ,新たな課題を見つけていきたいです。
感想・鈴木穂乃佳(生物班・利府西中出身)
私は初めて浦戸に行き,不安だった私の心を和らげるような楽しい時間となった。特に印象に残ったことはマツの観察だ。いつも何気なく見ているマツ。私の周りにはいつもマツがあったと思う。しかし浦戸に行き,いろいろなマツがあることを初めて気が付いた。クロマツ・アカマツなどである。チクチクの感じ方によりマツは違う。また授業で学んだことを実際に目で見ることができ,新鮮な気持ちになった。授業では口頭でただ事実だけを伝えられ,ただただそれを暗記していた。しかし自分の目で観察をする・・・それだけで不思議と頭に入ってきていた。これから先も学習を進めながら常に疑問を持ち,さらに追究していく姿勢を大切にしていきたい。
尚絅学院大学主催「環境マルシェ」に参加しました
平成28年6月26日(日)にサンモール一番町商店街アーケードを会場に開催された環境PRイベントに,昨年度浦戸巡検生物班の代表として参加してきました。環境をテーマとした他の高校の取り組みや,多くの企業の展示発表を見ることができ,水や食品といった身近なものから,企業やNPO法人の環境への取り組みなど,多様な面から環境について考えることができました。
また,今回の高校生によるポスター発表において,私達が研究した「浦戸諸島におけるマツ類のハイブリッド調査」への取り組みを評価していただき,「環境構想学科賞」を受賞することができました。
マツのハイブリッド調査については,今年の浦戸巡検に参加する後輩たちが引き継いでくれるということなので,私達には不十分だった点や遺伝子調査など,さらなる発展的な研究になることを期待しています。