平成29年度以前のESD(自然プログラムとその他プログラムまとめ)
平成30年度宮城県高等学校理数科課題研究発表会
平成30年度宮城県高等学校理数科課題研究発表会
1 日 時 平成31年3月15日(金)12:50~16:00
2 会 場 仙台市若林区文化センター
3 参加生徒 多賀城高等学校 災害科学科生徒(1,2年生)
宮城第一高等学校 理数科生徒(1,2年生)
仙台向山高等学校 理数科生徒(1,2年生)
仙台第三高等学校 理数科生徒(1,2年生)
4 発表題(本校生徒によるもの)
地学分野 「蔵王山における溶岩流の広がり」
災害科学科2年 阿部竜生,川名啓介,佐瀬翼,佐藤麗奈,嶺岸寿紀
地学分野 「津波シミュレーションプログラムから街づくりを考察」
災害科学科2年 大庭侑,菊地祐吾,久保田蓮,飯田琉希也
5 講 師 東北福祉大学 特任教授 庭野 道夫 氏
東北工業大学 教授 大沼 正寛 氏
6 内容・評価
県内の理数科設置校4校が一堂に会して行われる成果発表会である。各校2テーマずつ,合計8テーマを口頭発表する中で,本校は地学分野における2つの発表を行った。いずれも,災害分野において自ら発見した課題を調査・実験し,データをまとめ,被害想定やスケールを考慮した値の校正など,オリジナリティーのある研究発表であった。今後も検証を重ねることで,より実効的な災害をテーマとした研究として,皆に深く印象付けるものになるであろう。また,発表後の質疑応答では,質問者が研究の趣旨に鋭く切り込み,研究の展望に対して意見するなど,発表した生徒をより一層刺激するものであった。
7 生徒感想
■松浦 翼(1年7組 東豊中出身)
私たちは3月15日の理数科課題研究発表会に参加してきました。この発表会には,宮城県の理数科の高校が集まり,宮城第一高校や,仙台向山高校,仙台第三高校が参加していました。
今回私たち1年生は発表を聞くだけだったのですが,たくさんの発表を聞き,それぞれの課題をグループ毎の視点から考察しており,どのグループも探究心が凄く,発表の内容の濃さに驚愕しました。また,発表後には質疑の時間がありました。たくさんの人が積極的に手を上げて質問し,中には発表に対して提案をする人もおり,生徒同士でより良い発表を作ろうという意識を肌で感じることができました。
今回の発表会で得たものはたくさんありました。この得たものを来年の理数科課題研究発表会や,他の発表会などに活かしたいと思います。
■菊地 祐吾(2年7組多賀城第二中出身)
今回の理数科発表会では,他校で行われているたくさんの課題研究を知ることができました。そこでは,自分では思いつかないような研究が多くあり,新たな考え方を学ぶことができました。また,研究の一つ一つがテーマ設定から結論まで無理なく一連の流れとして導き出されており,とても驚きました。
今回の発表会では,自分も発表者の立場で参加し,私たちの研究である「津波シミュレーションプログラムから街づくりを考察」を発表しました。そこでたくさんの質問をいただき,自分たちの研究に足りないものに気づく機会となりました。この様な機会はなかなか無いことなので,この経験を大切にして,今後も継続して研究に励みたいと思います。
災害科学科浦戸巡検
巡検の前日の7月13日(木),国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の小俣珠乃博士による事前講義を聴講し,翌日の7月14日(金)災害科学科1年生による塩竈浦戸巡検が行われました。今回の巡検には,昨年に引き続き二度目の参加となる北海道室蘭栄高校から5名の生徒が加わり,雲一つない晴天の中,地学班と生物化学班に分かれてフィールドワークを行いました。
地学班は,寒風沢で目の前に広がる野々島の層準や見方を班ごとに小俣博士からレクチャーしていただき,その後野々島に渡って毛無崎での大塚層・松島層の観察を行いました。その後は大塚層に見られる小断層の走向・傾斜測定を通して,野々島一帯の地質構造を考察しました。露頭では小俣博士の解説を受けながら,班ごとにiPadでの測定を行いました。
生物化学班は,寒風沢においてマツの生育環境を調査しながら,島の豊かな植生を観察しました。そして,野々島に渡ってから本格的にマツ及び土壌のサンプリングを行い,照度の測定,採集,iPadを使った記録など,役割を分担しながら必要なデータやサンプルを収集してきました。
今回の巡検を通して,調査研究の具体的な手法を学び,教室では得ることのできない沢山の情報を手に入れることができました。今回の巡検から得た経験は,これからの課題研究に大いに役立つものとなります。
奈良大学文学部文化財学科 魚島純一教授の特別授業「保存科学への誘い」がありました。
3月21日(火)2学年日本史B,地理B選択者を対象として,奈良大学文学部文化財学科教授の魚島純一先生の特別授業がありました。保存科学という一般的には馴染みのない研究ジャンルについて,軽やかな語り口と豊富な映像資料を基にわかりやすく解説して下さいました。
前半は「文化財を科学の目で見てみよう」というテーマで,X線などを用いて仏像や土偶の体内を透視したり,古墳の石室に残された絵具の分析から埋葬者の身分を推測するといった興味深い話が続き,後半は「文化財を保存するということ」というテーマで,文化財の修理・修復や保存のための技術を紹介しつつ,その重要性についても考えさせられるといった構成でした。
随所に文化財に対する魚島先生の熱意と愛情が伝わる,あっという間の90分でした。
参加生徒の感想(一部抜粋)
・私たちが住んでいる多賀城市は歴史的なものがとても多く,誇りを持っていましたが,それを支えている のは魚島先生のような文化財を守ってくれる方たちのおかげなんだとな感じました。
・私はもともと歴史にあまり興味がある方ではなく,保存科学という言葉も初めて耳にしたのですが,今回 の特別授業はメモをとる暇も惜しいくらい興味深いお話しをたくさん伺うことができました。
・文化財の保護はプロの方でしかできないと思っていたが,博物館のワークショップなどで素人でも文化財 保護に携わることができるというのが分かって,一度体験したいと思いました。
第4回全国海洋教育サミット
2017年2月5日(日),東京大学伊藤国際学術研究センターを会場に第4回全国海洋教育サミット「海洋教育の新たな潮流」が開催されました。多賀城高校は海洋教育促進拠点に認定されており,小泉博校長がシンポジウムのパネリストとして本校の取り組みについて発表されました。
開催にあたり、東京大学海洋アライアンス機構長の日比谷紀之同大学教授のあいさつに続き、文部科学省初等中等教育局・主任視学官の清原洋一氏が来賓のあいさつに立ちました。開会行事後、メインのシンポジウムが行われ、同大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター・主任研究員の及川幸彦氏のコーディネイターのもと活発な意見交換が行われました。
パネリストとして4氏が、それぞれの取り組みについて発表しました。まず、福岡県大牟田市教育委員会・教育長の安田昌則氏が、世界文化遺産の三池港と有明海を活用した大牟田市の海洋教育の取り組みについて発表。引き続き、福島県南会津郡只見町教育委員会・教育長の齋藤修一氏が自然豊かな只見町の紹介をしながら、海洋教育と山間部のつながりについて熱心に話されました。佐賀県東松浦郡玄海町の小中一貫校・玄海みらい学園の学園長 岩崎一男氏は、玄海町における海洋教育の取り組みについて自身が作詞作曲した歌を交えながらユーモアたっぷりに話されました。
本校の小泉博校長は、「宮城県多賀城高校の防災・減災学習~被災地から発信する防災学習モデル~」というテーマで、本校の防災・減災学習の基本的な考え方に基づいた取り組みについて話されました。特に「誰にでも 未来を創る 能力がある」という語り出しには会場の多くの参加者が共感を寄せ、本校が行っている防災から海洋教育にわたる幅広い教育活動に熱心に耳を傾けていただきました。
シンポジウムの後,ポスター・セッションが行われ,ポスタータイトル『多賀城高校における防災・減災学習 -生徒会活動を通して- 』(本校のESDについて。2年生の小野寺杏さん,佐藤千咲さん),『土壌中のイオン濃度の測定と環境変化の一考察』(災害科学科の浦戸実習とその後の調査について。阿部大和君,鈴木勇汰郎君,瀬戸朝陽君)の2つを発表しました。多くの方が発表を聞きに来てくれ,多賀城高校の活動に感心していました。また,他の発表を聞くことで,参加した5名も大いに刺激を受けてきました。
今年度3回目のJAXA連携授業を行いました!
平成29年1月19日(木)宇宙航空研究開発機構(JAXA)の友人宇宙技術部門宇宙飛行士運用技術ユニット宇宙飛行士健康管理グループの医長嶋田和人さんをお招きして,今年3回目のJAXAとの連携授業を開催しました。テーマは『国際宇宙ステーションと栄養』。講師の嶋田さんはオハイオ州のラィト州立大学でエアロスペースメディシンの専門医認定を受け,その後旧NASDAに移り,20年間スペースシャトルや国際宇宙ステーション宇宙飛行士の健康管理を中心に航空宇宙医学に従事していらっしゃっいました。宇宙飛行士の選抜,定期検診,訓練中および飛行前・中・後の健康管理のほか,宇宙飛行に伴う身体変化の対策法の研究等を行っている,日本でも希有なお仕事をされている方です。
嶋田さんからは,国際宇宙ステーションでの生活の様子や長期滞在における課題などについて,宇宙食と健康という観点からお話しをいただきました。宇宙食の栄養基準はWHO準拠になっていることやオートファジーの考え方,宇宙食の美味しさと食欲の関係などいろいろな話題を,わかりやすくお話ししていただきました。
後半は宇宙食と災害時の栄養摂取との相違について学習しました。実際に「カレー」や,「えびピラフ」,「パン」,「バニラアイス」,「たこ焼き」5種類の宇宙食の試食も行いました。食材の形状が分からなくなったペーストや缶詰よりも,見た目に工夫された,このような食事の方が食欲などにも影響することなどを実際に体験しました。
今後,防災・減災を考える上で,どのような食材を非常食としていくか,避難所の食事としてどのようなものが良いのかを考えるきっかけとなりました。