震災伝承津波波高標識設置活動について

 

 

震災翌年の2012年,市内の建物等に残っていた津波の痕跡は,風雨や洗浄,壁の塗替え等が進み,日に日に消失していました。しかし,こうした負の遺産も大切な教訓として記録し後世に残そうと,津波痕跡の高さを測量器で測り,その数値のもと付近に立つ電柱にマーキングを行っていきました。震災から2年5ヶ月後の2013年8月には,調査でマーキングした市内約100本の電柱に生徒がデザインした「津波波高標識(津波標識)」を設置する作業を開始しました。

現在も,将来のためにどうしても津波の記録を残したいと,被災地区の自治会長から要望を受けるなどして,設置活動を続けており,これまで市内に合計約120箇所へ設置しています。

 

 

 

震災伝承津波波高標識設置活動ブログ

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多賀城市八幡上二地区における津波波高標識設置活動について

8月5日(水)に,多賀城市八幡上二地区において,津波波高標識設置活動を行いました。
この活動は,東日本大震災時に地域をどのくらいの高さの津波が襲ったのか,その痕跡を計測したり,住民から聞き取り調査を行ったりして,電柱などに津波波高を示す標識を設置するというものです。八幡上二地区における活動は今回で3回目でした。
当日は八幡上二地区より区長さん,副区長さん,多賀城市交通防災課より2名,本校防災委員生徒3名が参加しました。
今回の設置場所は,多賀城市立八幡小学校の正門前で,建設中の津波避難道路に上がる階段にも近い場所です。設置した標識が小学生だけでなく地域住民の防災・減災につながることを願っています。

今回,許可をいただき,建設中の津波避難道路を見学させていただきました。ありがとうございました。

《生徒感想》
1年 災害科学科 菊地 優衣(五城中出身)
 私はこの活動でたくさんの貴重な体験をすることができました。
波高標識を設置する際には,道路側と歩道側の高さがずれないようにするのが難しかったです。今回設置した波高標識が,誰かの「震災を知り,災害について学ぶきっかけ」になればいいなと思いました。
また,多賀城巡検のときには行けなかった避難道路も歩かせていただき,道路の構造や災害時の避難経路などを実際に見て知ることができました。
一緒に標識を設置してくださった区長さんは,2回も津波を経験しており,そのお話も聞くことができてよかったと思います。区長さんたちのように,ここで起きた災害を知らない人や将来のために,震災を経験した私たちが今できることを積極的に行っていきたいと思いました。

3年 災害科学科 小野寺 莉美香(塩釜一中出身)
 八幡小学校前の道路に波高標識を設置させていただきました。地域の方や震災の経験がない世代にも防災への興味をもってもらうきっかけになってほしいと思いました。
また,建設中の清水沢多賀城線を見学させていただき,授業で習った避難階段や耐震補強対策を直接見ることもできました。
東日本大震災の津波だけでなく,チリ地震津波も経験している区長さんから,当時の様子や地域への想いなど,たくさんお話を聞くこともできました。とてもよい経験になりました。ありがとうございました。

「津波波高標識」を設置しました!

12月25日(水)に,多賀城市八幡上二地区において,津波波高標識設置活動を行いました。この活動は,東日本大震災時に地域をどのくらいの高さの津波が襲ったのかその痕跡を計測したり,住民から聞き取り調査を行ったりして,電柱などに津波波高を示す標識を設置するというものです。

当日は八幡上二地区より区長さんを始め3名,多賀城市交通防災課より1名,本校防災委員生徒4名が参加しました。新たな津波波高標識設置は約5年ぶりでした。設置後には,区長さんから震災当時のお話や地域住民への思いを伺うことができました。

 

八幡上二地区は国道45号線と臨海鉄道が交差する付近にありますが,海に近いとは感じない町並みです。東日本大震災時には約2mの津波が押し寄せ,地域の半分近くが浸水し家屋や店舗の被害だけでなく,国道45号線を走っていた車も押し流されました。多くの住民が自宅を修理・再建し地域に残ったそうですが,新しい住民も多く震災当時の地区の様子を知らない方も増えてきているそうです。区長さんは,東日本大震災の教訓や被害の記憶を何かの形で残したいと考え,本校で行っている津波波高標識を地区内に設置することで,地域に東日本大震災の記録を残したいと考えたそうです。

 

東日本大震災から9年が経とうとしていますが,地域住民や通行する方への東日本大震災の伝承や防災意識の向上に役立ってほしいです。

 

《生徒感想》

1年 災害科学科 宍戸 遥弥(東仙台中出身)

 私の住んでいる地域では震災の影響で家が壊れたりする被害はあまりなかったのですが,少し離れた多賀城市では津波による大きな被害に遭ったということが分かりました。そして,津波が来たという事実を,津波波高標識を設置することで伝えようとする気持ちはとても大事だと思いました。私は災害科学科に所属しているので,そのような気持ちも受け継いでいきたいと思いました。

 

1年 普通科 大河原ゆま(高崎中出身)

 私は上二地区に住んでおり,以前から上二地区は他の地区より津波波高標識が少ないことが気になっていました。そのため,標識の設置に参加することができて,とてもよい経験をしたと感じました。設置した標識が,もしまた津波が起こってしまったときに避難する人の役に立てば嬉しいです。

 

1年 普通科 熊倉 怜響(高崎中出身)

 私は多賀城市の津波の被害を受けなかった地区に住んでいますが,すぐ隣の八幡地区に津波が来ていたことを知りませんでした。地区内の電柱に襲来した津波の高さを計測して標識を設置することで,改めて津波の高さを知り,驚きました。津波がここまで来たということを伝え,備えや迅速な避難につなげていくためにも,この活動にこれからも参加していきたいと思いました。

 

2年 普通科 紀野國 七海(向洋中出身)

 私は学校外で震災復興・伝承をするボランティア活動をしていますが,津波波高標識を設置する活動は初めてだったので,とても勉強になりました。被災した方との交流以外にもやれることがあると思えました。この活動を参考にして,地震が起こったときに地域の人の役に立てるようなことに挑戦していきたいです。