国際理解プログラム
未来のまちづくり・みちづくりフォーラム 「ハイスクール世界サミットin 福島」 ~福島から世界へ発信する私達の未来~
8月8日-10日、日本全国及び海外から高校生が福島県いわき市に集まりサミットが行われました。これは、被災地の現状と地域のリーダーのあり方を現地見学や地域のリーダーから学び、今後の防災・減災に向けた社会基盤のあり方や、地域の防災力向上に向けた人材のあり方、地域復興に向けグローバルな視点をもった交流のあり方について、多様な視点に立った課題認識と解決に挑戦するものです。本校から1年生2名、2年生2名が参加し、それぞれ「地域の防災リーダーになろう」「地域と世界の架け橋になろう」というテーマで活動してきました。
1日目は常磐道楢葉パーキングエリアに集合し、主催者代表の西村さんや、首相夫人の安倍昭恵さんからお話をいただいたあと、グループに分かれ自己紹介の後、楢葉パーキングの開設に高校生が参加していたことなどを聞きました。その後、バスに乗車し、帰還困難区域と居住制限区域に分断されてしまっている富岡町の夜ノ森桜並木や、住宅の除染活動が行われている様子などを視察したあと、楢葉天神岬公園を訪れ、津波で住宅が流された場所に除染された土や草が山積みになっている袋が並べられている状況を見ました。
その後、国内は北海道から九州の32校、海外はパキスタンやベラルーシなど7カ国から参加した高校生や大学生のファシリテーターと、交流を深めるためグループを作りトピックをつくり話をしたり体を動かしたり、いわき市での開催ということでフラダンサーに踊りを教えてもらったりしながら、和やかな雰囲気で1日目を過ごすことができました。
2日目と3日目の午前は、グループに分かれそれぞれ「地域の防災リーダーになろう」「地域と世界のかけ橋になろう」というテーマでワークショップが行われました。大学生ファシリテーターのもと、課題とその解決策について真剣な表情で、活発な話し合いが延々と続きました。時間を惜しんで取り組む姿が見られ、夕食後もさらに話し合いを重ねるグループもありました。
3日目の午後には、安倍総理大臣よりVTRメッセージがあり、来賓の方々から挨拶をいただいた後、ワークショップで話し合ったことを発表しました。日本語を活動言語としたグループは、発表は日本語で行いポスターは英語でまとめ言語のギャップを埋めることができたようです。短期間であっても活発に多様な意見を出し合った結果がよく出た発表となりました。その後、フロアディスカッションが行われ、高校生から原発についてや、言語について等、時間内では終わらないほどの質問があり、アドバイザーの方々に丁寧に答えていただきました。
生徒感想(抜粋)
・・・話し合いの中では、もっと「広い視野を持つことの大切さ」を学びました。全国から学年の違う高校生が話し合えば様々な意見が出てきます。時には自分と正反対の意見も出てきます。もし、その意見を自分とは違うからと認めず否定してしまったらより良いものはできません。自分達の班も様々な意見が出てきて、それぞれがしっかりと理由を述べることで、より深い話し合いになり、お互いが納得するような意見が出てきました。自分の意見以外認めないという「狭い視野」ではなくて、たとえ自分の意見に否定的なものでも弱点を埋めるために必要なものという「広い視野」で考えることの大切さを学びました。今回のハイスクールサミットの自分が選択した「地域の防災リーダーになるためには」というテーマ。原発事故で「想定外」という言葉はたくさん使われてきました。しかし、もし広い視野を持ち考えることができれば想定外という言葉は出てこないはずです。私はハイスクールサミットを通して「防災リーダー」に必要なものは「広い視野」を持つことだと感じました。そしてそれを自分の頭の中にとどめておくだけではなく発信していくことが必要だと感じました。・・・・(1年男子)
・・・福島県に着き、すぐに現地視察にまわりました。テレビで見たことはあっても街に人がいないという状態は、本当に想像がつかなかったのですが、実際に帰還困難地域の手前までに行くことができ、見学して私は驚きと空しさを感じたのですが、その後に行われたグループごとのディスカッションでは、逆に除染が進んでいて少し希望を感じたという意見もあり、とても新鮮な場で意見して話し合う楽しさを学べました。また、私は、現地視察をしている際、放射線を計測する線量計はずっとゼロなことにとても驚いて、そのときの地元の方がお話しされた「福島の食べ物は『危険じゃない』ではなくて『おいしい』のです。」という話が印象に残っています。実際に見て感じることの大切さを知りました。
・・・・(2年女子)
・・・私は、このサミットに参加する前は、福島は被災地であり、原発の問題がある場所だと思っていました。しかし、このサミットに参加して、実際に自分の目で見て、説明を聞くと、福島はとても素晴らしい場所であり、私が思っているような場所ではありませんでした。私達は実際に居住制限区域である夜ノ森桜並木と楢葉天神岬講演とその周辺を見てきたのですが、放射線量はゼロであり安全な数値なのだと思いました、また、そこは人々は少なく田も荒れたままで、壊れた建物が多かったです。けれども桜を植える活動をしており希望を取り戻すために、復興のために頑張っているのだと思いました。その他の地域では自然が多くあったり、建物やお店などがたくさんあり、まるで仙台のようなところでした。いわき踊りにも参加しました、様々な人々が参加しており音楽や歌に合わせて踊り、とても賑やかでした。説明では「ニュースなどの報道が必ずしも正しいとは限らない、現場に足を運ぶことが大切です。」という部分がとても印象に残っています。ニュースを鵜呑みにするのではなく、自分で考えたり、実際に見たりすることが大切なのだと思いました。・・・(2年女子)
・・・特に印象に残ったことは、みんな地元を愛しているということです。ワークショップで観光プランを作成しているときに、お互いの地元の魅力を語ることになりました。すると、みんな時間をかけ、目をキラキラ輝かせながら熱心に話していて、まるで自分が旅行しているかの様な感覚になりました。九州や中部、関東に東北、北海道と出身はばらばらなチームでしたが、共通点は「地元愛」だと私は思いました。 また、自分には絶対できないと思っていることも案外、できることなのかもしれないということです。私はハイスクールサミット参加に自分が本当に相応しいか不安でした。ワークショップって何だろう。初めて会う人たちと話し合いなんてできるのか。発表なんて緊張すると考え込んでいましたが、みんな優しくて親しみやすく、ワークショップも抵抗なく素直な意見を言えました。発表もみんなで協力して作ったプランとサポートのおかげで自分の原稿を発表できて、大変嬉しかったです。
ハイスクール世界サミットを通して、私はやはり何でも挑戦して、失敗を何回も繰り返しながら成功を手に入れる大変さや大事さと、自分の素直な意見や言葉を相手に伝えることで相手もそれに応えてくれることを知りました。これらのことを高校生活の授業や校外学習で生かしていきたいです。・・・(1年男子)