平成28年度

防災学習プログラム 平成28年度

熊本地震被災地訪問

 7月28日から8月1日の5日間,災害科学科1年生4名が,熊本地震の被災地を訪問しました。
防災・危機管理ジャーナリストの渡辺 実さんに,甚大な被害を受けた益城町・西原村を中心に案内していただきました。この様子は,9/4(日)15:00よりNHK「東北発☆未来塾」で放送される予定です。

【今も倒壊した家屋が残る益城町】

 住宅の9割以上が被害を受けた益城町では,倒壊した住宅やブルーシートがかけられた屋根があちこちにありました。地表に現れた断層面や2m近く横にずれてしまった道路も見てきました。実際に被災地を歩いて・見て・被災者の話を聞いて,町全体が甚大な被害を受けたことを肌で感じることができました。

【進化する避難所】

 避難所も訪問しました。今なお600人以上が避難生活を送っている益城町総合体育館では,段ボールの柱と布でプライベートスペースを区切っていました。また,日本初のトレーラーハウスを活用した福祉避難所も見せていただきました。トレーラーハウスは,今後,避難所や仮設住宅として活用されることが期待されているのだそうです。
 益城町では,倒壊した住宅の公費解体を進めていますが,解体が全て終わるまでに2年はかかるそうです。被災者した方は,これからどうなるのか,再び益城町に住めるのかなどの不安を抱えていらっしゃいました。

【グリーンコープさんの被災者支援活動】

 物資支給や炊き出しなどの被災者支援活動を行っているグリーンコープさんは,「被災した方々に元気になってほしい」「私たちが一生懸命に取り組む姿から感じてほしい」という思いで支援活動を続けているのだそうです。本校生徒も炊き出しの手伝いをさせていただき,被災者の方とも触れ合うことができました。

【西原村の地域防災力】

 熊本地震を引き起こした「布田川断層」の真上にある西原村では,10年前から発災を想定した防災訓練を重ねてきました。そのことが,今回の避難や安否確認,消防団による救助活動などに役立ったそうです。また,避難所においては,村民が自分の職業や得意分野を生かして主体的に運営を行ったということです。西原村の取組は,地域防災のモデルとして全国から注目を集めています。

 5日間の滞在で,災害科学科の4名は,益城町・西原村における熊本地震による被害の凄まじさを感じました。また,被災者が抱える不安や被災者を支える人たちの思いも受け取りました。復旧・復興にはまだまだ時間がかかります。熊本の現状を,頑張っている方々がいることを忘れず,しっかりと宮城で伝え,広めていくことが熊本の力になると考えます。
 熊本の一日も早い復旧・復興を願っています。

STAND UP SUMMIT 2016

 平成28年8月8日~10日,東京ビッグサイトで開催されたSTAND UP SUMMIT 2016に2年生4名,1年生5名の計9名が参加しました。「STAND UP SUMMIT 2016」は東日本大震災の復興イベントとして2014年に開催されて以来今回が3回目であり,本校は昨年度に続いて2回目の参加となります。今年度は,本校の他に,盛岡第二高校,宮古市立第一中学校,仙台青陵中等教育学校,東北高校,東北福祉大学,小高工業高校,小高商業高校,福島工業高等専門学校,足立区立第六中学校,調布市立第三中学校,阿蘇中央高校,東海大学農学部,さらに台湾やアメリカの学生も加え,合わせて350名を超える多くの学生・生徒が「未来は自分たちが創っていく」という強い意志のもと集い,災害からの復興について考え,発信していくイベントとなりました。

 初日は,パラ・パワーリフティング49kg級の日本記録保持者で,ロンドンパラリンピック日本代表の三浦浩さんの講話とパワーリフティング体験や車椅子体験を行いました。三浦さんからは,怪我をしてからパワーリフティングをするようになった経緯や思いを通して,「できない理由より,できる方法を考える」ことが大事だということを伝えていただきました(※三浦さんは,8月24日にリオデジャネイロ・パラリンピック日本代表に選出されました)。夕方の交流会では,東北の大学生や高校生が同世代である熊本の高校生を東北に招いて実施した「復興や未来を考えるプロジェクト」の報告や,武蔵野大学の学生ボランティアの進行による親睦を図るレクリエーションが行われました。

 2日目は,レセプションホールにて第1部「復興セッション」が行われました。15のセッション(テーマ)に分かれ,社会人,大学生,高校生,中学生がそれぞれのテーマを切り口に復興の未来についてアイディアを出し合い,意見交換をしながら,1枚のポスターにまとめていきました。午後には,各セクションのポスター発表が行われ,互いの考えを共有しました。15のセッションとテーマは以下の通りです。
○三陸鉄道株式会社(鉄道) ○特定非営利活動法人GRA(人材育成) 
○臨海広域防災公園管理センター(防災公園) ○アメリカ大使館(観光)
○福島県庁(風評被害) ○日本赤十字社(国際連携) ○東北福祉大学(防災士)
○早稲田大学(レジリエンス) ○社団法人ふくしまプロジェクト(ペットとの避難)
○東北三紙(メディア) ○NPO法人ボランティアインフォ(ボランティア)
○宮城県タクシー協会(語り部タクシー) ○綾里漁業協同組合(漁業) 
○一般社団法人ワカツク(学生起業) ○コカ・コーライーストジャパン株式会社(自動販売機)

 第2部は国際会議場に会場を移して行われました。「為末大Special talk show」では,男子400mハードルの日本記録保持者であり,現在はスポーツ,社会,教育分野で幅広く活動している為末さんと陸上・短距離(障害者スポーツ)選手の池田樹生さん(中京大学)が,逆境や失敗をどのように克服するのかについて,ご自身の経験を織り交ぜてのトークが繰り広げられました。引き続き,FM東京の公開録音を兼ねた「復興ディスカッション~私たちの未来~」では,為末さんのコーディネートのもと,東北,東京,熊本それぞれの中高生や大学生が震災やその後の復興への思いを語り合いました。この日の締めくくりは,style-3とサンプラズ中野くんのスペシャルコンサートです。バイオリンとウッドベースのユニットであるstyle-3がアップテンポの曲を披露して会場を盛り上げ,サンプラザ中野くんはパッパラー河合さんのギターとともに「TOMOSHIBI?地震がきたら」「タニシのるすばん」「旅人よ」を熱唱し,会場は最高潮に。最後は「Runner」を会場全員で歌い閉幕しました。

最終日は,当初参加学生・生徒によるバーベキューの予定でしたが,高温で炎天下の厳しい状況となったため,急遽,隣接する東京臨海広域防災公園内にある防災体験学習施設「そなエリア東京」を訪問することになりました。防災体験「東京直下72h TOUR」を行ったり,緊急災害現地対策本部が設置されるオペレーションルーム施設を見学したりしました。

 参加した生徒は,この3日間で見て,感じて,学んだことを身近なところから周囲に発信していく決意をもったようです。

参加者の感想
○遠藤 瑠衣さん(2年)
 私は昨年も参加したのですが,昨年とは違った気持ちで話し合いに参加することができました。1日目は,同じ東北から集まった学生の人たちといろいろなプログラムを通して仲良くなれました。2日目は,海外・東京・熊本の学生も参加して15グループに分かれ,復興について話し合いました。私のグループは海外の学生さんが3人いて,通訳を通していろいろな経験や思いを共有し合いました。話し合いの後,1つのポスターを皆でつくって参加者全員の前で発表しました。私はその発表の代表者になり,私以外話す人は外国人であったため打ち合わせを英語でするのは難しかったけれど,通訳さんに手伝っていただきながら準備を進めました。発表直前,私が緊張しているのに気付いたメンバーの1人が「Relax! Relax!」と笑顔で話かけてくれたので,発表は時間内にでき大成功でした。2度目の参加となった今回のSUMMITでしたが,話し合いを重ねるたびにどんどん深く中身の濃いものになってきていると思いました。震災から5年たった今でも復興が進んでいないところもあるし,忘れかけられている事実もあります。この思いや実体験を私たちが未来に伝えていかなければならないと改めて実感した3日間でした。

○五百蔵 匠さん(1年)
 中・高・大の学生と幅広い年代の人が,同じ目線で同じことについて考えられる絶好の機会だと思いこのSUMMITに参加しました。皆の意見が違っていて,そういう考えもあるのかと思うこともありましたし,自分一人で考えたり同学年だけで話し合ったりするよりも視野が広くもって活動することができました。熊本から来てくださった学生さんとも話しをする機会もあり,テレビなどの報道では分からないことも教えてもらうなど貴重な体験となりました。ディスカッションでは,発表に出られませんでしたが,来年参加できることになったら発表させてもらいたいと思います。全体を通して,人との交流も深められて楽しかったし,自分にとってプラスになりました。また参加して,自分の意見をもっと言ったり進んで交流したり,積極的な行動をとっていきたいです。とても充実した3日間でした。

多賀城市大代「防災キャンプ」

 8月5日(金)から1泊2日で,本校の防災関係ボランティアの生徒9名と多賀城東小学校の4~6年生23名が,多賀城市大代地区公民館で行われた「防災キャンプ」に参加しました。
 この「防災キャンプ」では,災害時に一人ひとりが主体的に行動できるようになるために,防災に関する様々な内容について体験を通して学びました。

【消防士による搬送法・胸骨圧迫実習】

【自衛隊員との災害時に使用する救助器具体験】

【本校生による「津波波高標示プレート設置」「防災○×クイズ」】

 本校生が担当した時間では,「津波波高標示プレート設置」「防災○×クイズ」を行いました。「津波波高標示プレート」は本校生徒会が設置活動を行っているもので,公民館内に小学生と一緒に設置しました。また,「防災○×クイズ」では,防災に関するクイズを楽しみながら防災意識も高めることができました。

【アーティストデザイナー佐藤直樹氏とのワークショップ】

 佐藤直樹さんとのワークショップでは,大代地区を守る「ボーサイヒーロー オーシローファイブ」を創作しました。この作品は,大代地区公民館入り口に飾られています。

【生徒感想】
 3327 佐藤 遥
 防災キャンプが始まる前は,初めて会う小学生と一日過ごすので,緊張と不安でいっぱいでした。しかし,様々な活動を通して,子供たちとの距離が縮まっていくのを感じました。互いを名前で呼び合うほど仲良くなり,緊張や不安はいつの間にかなくなっていました。
さて,このキャンプのメインは防災です。災害や事故に遭ったとき,自分の身を自分で守るための対策として,様々なことを体験しました。
 特に印象に残った体験は,消防署の方から教えていただいた搬送法です。3,4人の子供たちが体格の良いラグビー部の高校生を持ち上げて運ぶことができたのです。搬送法を知っていれば,小学生でも簡単かつ安全に大人を運ぶことができることに驚きました。
 他にも,自衛隊の敷地内では,災害時に倒壊した建物から人を救助するための道具を使わせていただきました。実際に東日本大震災でも使われた道具は,どれも普段は触れることのできないものばかりだったので,貴重な機会となりました。
 また,夜は室内にテントを置いて寝ました。眠くなるまで女の子たちで恋の話をしたことも楽しい思い出です。
 この防災キャンプでは,貴重な経験をさせていただきました。全てが新鮮でした。あっという間の24時間でした。参加して本当に良かったです。ありがとうございました。

「災害時の保育」を実施しました

 7月22日,石巻在住の佐々木有香子さんを講師としてお招きし,1年生全体で「くらしと安全A」の授業として「災害時の保育」を実施しました。災害時の保育のあり方について、その体験談を聞くことで自分や子どもの命を大切にし,安全(防災・減災)についての考えを深めさせることを目的としたものです。
 佐々木さんは東日本大震災当時,妹さん宅を訪れたときに津波に遭遇しました。妹さんは7ヶ月のお子さんを子育て中,佐々木さんは臨月を迎えている状況でした。目の前の国道は大渋滞。避難することもままならず,津波に襲われ3階の納戸に逃れた経験をお持ちです。妹さんと協力し7ヶ月の姪を何とか助けようと奮闘したこと,自分が臨月で移動もままならなかったことなどの話がありました。
 佐々木さんは震災7日目に石巻赤十字で男の子を出産しました。震災で亡くなっていく方々のいる病院で,新しい命を世に送り出す奇跡や素晴らしさについてもお話しいただきました。
 生徒からはこの経験から学んだこと,感じたことに,これから自分たちが気をつけていくべきことについて数多くの質問がありました。

  

  

亘理町防災キャンプin逢隈小

 7/2(土)に,亘理町教育委員会生涯学習課が主催する「亘理町防災キャンプin逢隈小」に防災委員の1年生2名・ボランティア同好会の3年生2名が参加してきました。
 亘理町立逢隈小学校3年生から5年生の児童ら,約30名を対象に「地震・津波について学ぶ時間」の講師を担当しました。本校生が,地震・津波の発生の仕組みと危険性,身の守り方について,スライドを使って説明しました。クイズを出したり,身の守り方を一緒に考えたりと工夫して説明することができました。
 説明の最後に「今日,新しく学んだことがある人」と質問したところ,ほとんどの児童が手を上げてくれました。逢隈小の児童はもちろん,初めて小学生に説明をした4人にとっても貴重な学びの時間となりました。

生徒感想
 私は今回の防災キャンプで初めて小学生とワークショップをしました。分かりやすく話せるか,みんなが思いついたことをちゃんと発表してくれるかなど,心配なことがたくさんありました。しかし,実際はみんな楽しそうに考えてくれたので,とても嬉しかったです。何度も練習してよかったなと思いました。子供たちには,今回学んだことを誰かに教えたり,自分の行動に生かしたりしてほしいです。とても良い経験ができました。
 1年 清野寧音

 小学生に地震や津波のことを教えるのは初めてでした。4人で打ち合わせをして,たくさんの意見を出し合ったので,より良いものにできたと思います。小学生に教えるに当たって,自分も地震や津波について知らなかったことを学ぶことができました。この経験を次に生かせるようにしたいです。
 1年 髙田渚生

 今回,小学生に説明するということで,どんな感じになるのかとても楽しみにしていました。練習も楽しくて,この企画に参加できてよかったと感じています。
 また機会があれば,ぜひこのメンバーでもっと良いものをつくってみたいです。
 3年 葛岡莉奈

 初めて小学生を対象に地震や津波のメカニズムを説明しました。はじめは不安がありましたが,防災意識が高い子供たちで反応も良くて,こちらでは考えられなかった意見も出てきたので,とても楽しく説明できました。
 今回,小学生に分かりやすく説明するために自分たちで調べたところもあり,私自身の地震や津波の知識も深まりました。今後もこのような活動を通して,災害の恐ろしさや災害時にどう逃げるのが安全かを伝えるとともに,自分の知識も増やしていきたいです。
 3年 鈴木菜々子

  

海上保安庁・日本赤十字社災害合同訓練

 7月20日に行われた海上保安庁・日本赤十字社災害合同訓練において、1年生の保健委員8名を中心に医療看護系志望の3年生を含めた本校生徒16名が要救助者役として参加しました。
 今回の訓練は、2015年に締結された海上保安庁と日本赤十字社の協定に基づいて、海上保安庁の機動力と日本赤十字社の医療救護活動を生かして相互に連携し、災害時の傷病者の救出から医療活動までの対応を確認するためのものです。南海トラフ沖で起こった地震による津波被害で、多数の要救助者が発生する、といった想定で訓練は行われました。


機動救難士の方から要救助者としての演技指導を受けます。


傷病者の特徴や症状について、丁寧に指導していただきました。

要救助者役の生徒は実際に警備救難艇に乗船し、船ごと釣り上げられて巡視船でトリアージ・応急救護を受けました。

  

  

 トリアージ訓練の前には、赤十字病院の医療救護チームが準備した医療資機材を巡視船へ搬入する様子を甲板上から見学しました。

  


 また、ヘリコプターでの移送訓練を間近で見学し、実際にヘリの中に座らせていただきました。

 午後からは、操縦室内や医務室等を見学しました。
普段の船内での生活の様子や東日本大震災当時の海上保安庁の活動などについても説明があり、生徒たちも興味深く質問していました。

  

また、特別に日赤の指導員の方々に船内で救急法の講習をしていただきました。
船独特の揺れがある中で行う心肺蘇生法の難しさを感じながら、実技を行っていました。


海上保安庁・日本赤十字社のみなさんとの集合写真

 高校生がこの訓練に参加するのは全国でも初めてということで、生徒たちは緊張していましたが、参加した生徒からは「人を助ける仕事に就きたいと思った」「てきぱきと動ける医療従事者になりたい」といった感想が聞かれ、将来の目標につながる貴重な経験になりました。

防災・危機管理ジャーナリスト 渡辺 実さんの授業を受けました

 7月21日,防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実さんの特別授業がありました。
 渡辺さんは,防災・減災に関するジャーナリストで,以前から現場主義を貫く草分け的なジャーナリストです。東日本大震災はもちろんのこと,1978年(昭和53年)6月12日に発生した宮城県沖地震でも取材経験があるそうです。「防災」とは実験ができない学問であることから,現場に行って自分の目で確かめることが大切だ,という信念に基づいた方です。

 渡辺さんによれば,現代は「天地動乱の時代」であり,世界各地で地震や火山噴火が起こっている話がありました。日本でも,過去の歴史に照らし合わせると,今後は関東地震(首都直下型地震),南海トラフ地震,火山の噴火などが懸念され,これらについての備えが急務であることもお聞きしました。

 また,熊本地震の特徴としては,2回の震度7の地震,広域余震,大雨豪雨災害による複合災害であることを聞きました。東日本大震災の経験が活かされていることや相違点について,仮設住宅としてのトレーラーハウスの活用などの興味深い話もありました。私たちは熊本地震から,内陸地震の顔,次の宮城県沖地震への備え,防災の基本は被災地にあることを学ぶことが必要だとのアドバイスをいただきました。「防災」から「減災」へ,「減災」から「備災」へと発想や行動を変えていくことが大切だとのことです。

 7月28日から,災害科学科1年生4名が渡辺さんの案内を受けながら熊本地震の被災地を訪れます。

  

サイエンスディ「心豊かに生きたい」に参加してきました!

 7月17日に東北大学川内萩ホールで開かれたサイエンスディ対話フォーラム「心豊かに生きたい~災害とあなたの残したい未来社会~」に3年生1名,2年生1名,1年生4名が参加しました。
 フリーアナウンサー柳生聡子さんの全体進行でフォーラムが進められ,会は災害科学国際研究所奥村誠副所長の講演からスタートしました。奥村先生は防災の全容を話せる専門家はいないこと,いろいろな立場の人が防災・減災を考えていく必要があることを,まず話されました。続いて築館市通大寺の金田諦應住職の講演です。金田住職は,軽トラックにお茶とスイーツを積んで,被災地を巡る「移動傾聴喫茶」のお話しをされました。この喫茶は「カフェ・デ・モンク」(坊主のカフェ)という名前だそうです。そこでは多くの被災者が自分の言葉で震災のことを話し始めるまでのことや,震災後の初めての供養は小学校5年生2名を荼毘に付したことなどの話でした。最後の講演者は合同地球会社地球村研究所代表の石田秀輝東北大名誉教授の講演でした。石田先生は現在,鹿児島県沖永良部島を拠点に活動をされています。専門はネィチャー・テクノロジーという自然に学ぶ科学技術です。少しの不自由,不便さを知恵でカバーすることで、新しい生活スタイルが確立出来ることなどの話を伺いました。

 この基調講演に続いて,FM仙台の板橋恵子さんがコーディネーターとなり,はじめに私たちの活動の紹介です。多賀城高校が取り組む防災・減災活動の紹介や、1年生は災害科学科入学の動機などを話しました。また,これからの復興のあり方や,防潮堤についての考え方など,基調講演を基にした私たちの考えや感想に対して演者がコメントするという形式で会が進められていきました。
 大きな舞台で,いろいろな考えや活動をされている方々とお話しできたことは大変貴重な経験となり,私たちがこれから活動する上での大きなヒントとなりました。3名の先生のお話しは今回参加できなかった生徒にも聞かせてあげたいと思い,また同じように意見交換の機会を設けられれば良いのに,と思う時間となりました。

参加生徒の感想
1年生 千葉陽太
 災害科学科に入学してから3ヶ月が経ち,自然科学の話,防災・減災に努力されている方々の話,報道から見た災害の話など多くの機会をこれまでいただいてきました。今回はこれまでのような外部講師の講義ではなく,演者の話を聞き,自分の考えを述べる初めての体験でとても緊張しました。震災直後から様々な立場で活躍されている3名のお話しを聞き,これから自分はもっと多くのことを学び,実践していく必要があることを実感しました。3名の先生方から声をかけていただいた通り,これからは私たちが未来に伝えて,よりよい社会をつくっていきたいと思います。
1年生 藪内さくら
 3名の先生方の大変貴重な経験を聞くことができ,「そうだ」と共感できる話や「なるほど」と納得する話などを、沢山きくことができました。私は当時小学校4年生で,知っていることよりも知らなかったことの方が多かったように思います。この経験をこれからの学びにつなげたいと強く思いました。
1年生 佐々木実夢
 3名の先生,「本当にありがとうございました。」とお礼が言いたい気持ちです。ステージにあがって,何を話そうかと戸惑っていましたが,コーディネーターの板橋さんに自分の気持ちを上手く引き出してもらえたことも感謝です。復興のために力をつくしている先生方の実のあるお話を聞いて,私も頑張ろうという気持ちになることができました。

  

航空写真の防災・減災への利用について特別授業がありました!

 7月16日国際航業株式会社の技術本部の鈴木雅人氏が来校し,災害科学科の学校設定科目「社会と災害」において,航空写真の利活用についての特別授業を行っていただきました。
 航空写真の利用,特に防災・減災と関連した事柄について丁寧に説明をしていただきました。現在は航空機からの撮影だけではなく,ドローンのようなUAV(Unmanned aerial vehicle)による撮影も増えてきているそうです。これらの画像を等高線や地形図と合わせて3D処理することで様々な情報が得られたり,地上から海上までシームレスな地形情報を得ることで様々なシミュレーションが可能になっているとの話をいただきました。

  

 後半は,地図と航空写真を用いたハザードマップづくりを行いました。多種多様な地図や情報を組み合わせることで,今までには分からなかった危険箇所の把握が出来ることを学びました。秋にはJAXAから人工衛星画像の活用についても学ぶので,これらを組み合わせて学習していきたいと思います。

  

今年も「海猿」が来てくれました!

 7月12日(火),本格的な水のシーズンを前に,宮城海上保安部・巡視船くりこま潜水士の方々を招き,「海上保安庁 水難安全教室」を本校プールで行いました。水難事故から身を守る上で必要な知識・技術を身につけ,救助の際の注意事項を知り,安全に救助する方法を習得することを目的にしています。
 まずは『劇団くりこま』による寸劇が披露されました。誤って海に落ちた場合に,慌てて服を脱ごうとすると溺れてしまうので,慌てずに「背浮き」で救助を待つ大切さを教えていただきました。

  

 続いて実際に,3年生が着衣のままプールに入る「着衣泳」を体験しました。体の力を抜いて浮き続ける難しさを体験しました。潜水士の方によると,人間は比重の関係で2%は水面から上に出して浮くことが出来るそうです。その2%が顔の部分であることが大切であり,そのために力を抜くことが必要です。続いて空のPETボトルを使っての『背浮き」です。たった一本のPETボトルを使うだけで,かなり楽に浮くことができました。

  

 次に,救命胴衣を着用してみました。ほとんど苦労することなく浮くことが出来る救命胴衣の大切さを知ることができました。また,新型の水に落ちると膨らむタイプの救命胴衣についても実際に見学することが出来ました。
 最後に,本校卒業生である田中潜水士が,救助の実際についてのデモンストレーションを見せてくれました。

  

熊本県へ! 熊本県立東稜高等学校 御船町立滝尾小学校との生徒交流

7月4,5日の2日間に渡り熊本県を訪れました。

 今回の目的は被災地にある学校と生徒間交流を行うことです。訪れたのは「熊本地震募金」で集めた義援金を寄付させて頂いた、熊本県立東稜高等学校、御船町立滝尾小学校です。

熊本県は宮城県から約1500km離れており、飛行機で約4時間かかります。7月4日は気温が33度まで上昇しました。

はじめに熊本県立東稜高等学校を訪れました。

  

 熊本地震後は避難所となり2000人の避難者を受け入れたそうです。しかし自治会との協力により避難所運営はスムーズに行われたことを教えていただきました。

  

地震の傷跡も見ることができました。今年度、授業は遅れて始まり現在も体育館を使用できない状況ですが、生徒の皆さんは元気に活動していました。

  

 生徒間交流では、生徒会長の福永君を中心とした生徒会執行部の皆さんと交流しました。はじめは緊張していた皆さんでしたが、徐々に打ち解け、防災活動やお互いの学校文化について話が盛り上がりました。

  

次に7月5日です。5日はまず、熊本城を見学しました。熊本城への立ち入りは禁止されていたので、熊本市役所の14階 展望室から被災箇所を見学しました。

  

ニュースでおなじみの箇所、「飯田丸五階櫓 いいだまるごかいやぐら」です。

激しく壊れていますが、復旧工事がはじまっていました。
熊本城の次は御船町立滝尾小学校へ向かいました。

  

現在、学校への道が崖崩れにより寸断されているため、滝尾小学校は御船中学校の敷地内に間借りして授業を行っていました。

  

滝尾小学校は全校生徒75人ほどの小さな小学校です。コミュニティーホールを段ボールで四つに仕切り、授業を行っていました。それぞれの授業の声が入り交じっていましたが、生徒は元気に授業に取り組んでいました。

  

防災をテーマにした活動では5,6年生と交流しました。皆さん、しっかりと自分の意見を発表してくれました。

  

給食もごちそうになりました。一緒に食事をすると緊張もほぐれ、児童の方からいろいろと話しかけてくれました。おかげさまで短い時間でしたが、すっかり打ち解けることができました。
被災地の皆さんは、厳しい環境の中でもしっかりと部活や勉強に取り組んでいました。私たちの義援金が少しでも力になればと思いました。

 今後も生徒会の活動として様々な被災地支援を行っていきたいと思います。応援よろしくお願いします。 (写真は募金活動に参加した生徒会執行部とボランティ同好会の皆さんです。)

生徒感想 災害科学科 長谷まりん

 7月4日、5日と熊本を訪問して2つ印象に残ったことがあります。まず1つ目は、熊本地震も現地の人にとっては「予期せぬ」災害であったことです。自分の住む場所で震災が起きるとはあまり考えず、地震に対する備えや、心の準備が十分でなかったというお話が印象的でした。現在日本では、どの地域でも地震が起こりうる状況ですので、耐震工事を含めた災害に対する備えを地域格差のないように行っていく必要性を感じました。
 2つ目は被災地の子どもたちの変化です。滝尾小学校の先生が「児童たちがイライラしやすくなった」と教えてくださいました。東日本大震災の時私は小学4年生でしたが、大きな不安を感じ、同じようにイライラして落ち着かなかったことを覚えています。被災地の子どもたちには心のケアが必要だと実感しました。
 二日間の交流で、被災地の高校生と意見を交換し、小学生と触れあうことで元気をもらいことができました。 今後も防災をテーマに自分に何ができるか学んでいきたいと思います。

平成28年度3学年防災ワークショップ

 5月30日(月)の5,6校時,3学年の生徒を対象とした防災ワークショップが開催されました。今年度は,二つのグループに分かれて実施されました。一つは「社会支援ワークショップ」,もう一つは「防災図上訓練」でした。
 「社会支援ワークショップ」では,株式会社アソボットから本谷忠大氏を講師にお招きし,3年1組から5組の生徒を対象に,武道場でアソボットの事業内容説明と今回のワークショップの概要の説明をいただきました。今回のワークショップでは,まず,様々な支援活動を行っている団体が記載されている『Hello Life!』という冊子を読み,その後,その冊子を読んで,自分が支援したいと思う団体を選び,その支援活動基金としてメッセージを添えてSocial Passとして500円分を寄付するということが説明されました。この500円は,社会貢献のためとして集められた募金が,高校生に様々な支援活動を行っている団体について知ってもらい,支援に関わる一歩を踏み出してほしいという願いから提供されたものでした。生徒たちは各教室に移動した後,熱心に冊子を読み,支援金と一緒に送るメッセージカードに,自分が選んだ団体に対する気持ちを書き込んでいました。
 もう一つのワークショップは「防災図上訓練」でした。こちらは株式会社八千代エンジニアリングから 寺脇 学氏と籠田純士氏を講師にお迎えして実施されました。まず,3年6組と7組の生徒を対象に,視聴覚室で「大規模災害(洪水・土砂)に備えて」というタイトルで講義を聴きました。今回は数百年に1度起こるかどうかという地震や津波ではなく,多賀城市近辺で発生した過去の洪水災害が紹介されるなど,より頻度が高く身近に発生する可能性がある洪水と土砂災害についての意識を高めるための講義でした。講義の後は,各教室に移動し,「防災図上訓練」を体験しました。グループを作り,模造紙に書かれた地形図を見ながら,災害が起こりそうな状況でどのような情報を収集できるのか,それをもとにどのような判断を下すのかについて考えました。生徒たちは,講師にアドバイスいただきながら,熱心に意見を交わし合い,その後,グループごとに話し合ったことを発表しました。講師の方からは,防災について大切なのは,まず知識を豊富に持つこと。そしてその地域の特性をよく把握すること。さらに時間経過に応じた答えを考えることが大切だとお話いただきました。
 これらの防災ワークショップは,生徒たちが,自分たちの命を守るだけでなく,周囲の人の命を守るために自ら考えて行動できる人材になるためのきっかけとなったようです。

防災リュック(ライフセーブリュックサック)開発者を招いての特別授業を行いました!

 平成28年6月8日(水)「くらしと安全A」の時間に,一般社団法人DSC事業部長の宮坂龍彦氏をお招きし,防災リュックについて,その開発経緯と機能を学びました。
 宮坂さんは,震災直後に東松島市の野蒜海岸付近に入り,行方不明者の捜索やボランティアに携わったそうです。その時の経験を通し,一人でも多くの命を守りたいとの思いから防災リュックの開発に至った話を聞きました。
 紹介していただいた防災リュックを身に付けることで,長時間仰向けのまま水に浮いていることが出来るそうです。災害時に目立オレンジ色のリュックの中には非常用の水や携行食も入っています。今後本校ではこのリュックの使い勝手や中身などについて考えていきたいと思います。

東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」を用いたモデル授業

 平成28年3月18日(金)本校のコンピュータールームにおいて,国立国会図書館電子情報部 諏訪康子 主任司書を講師とした特別授業がおこなわれました。
 国立国会図書館が開発した東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」は,全国にある東日本大震災のデジタルアーカイブ(電子記録)をとりまとめたものです。宮城県図書館が作成したアーカイブ,多賀城市が作成したアーカイブ,NHKのニュース映像など様々なデータベースを検索できるシステムです。震災を後世に伝える,各地に伝える方法としての有効な手段として注目の高い仕組みです。
 授業では,アーカイブの仕組みや検索の仕方を学習し,最後にはアーカイブを用いた防災ポスターの製作を行いました。
 今後は,このデータベースを様々な授業で資料として用いるほか,課題研究などでの学習活動で活用していきたいと思います。
 
 ※「ひなぎく」
 「ひなぎく」は,国立国会図書館東日本大震災アーカイブの愛称。「ひなぎく」は、東日本大震災に関する音声・動画、写真、ウェブ情報等のデジタルデータや,関連する文献情報を一元的に検索・活用できるポータルサイト。
 政府の「復興構想7原則」や「東日本大震災からの復興の基本方針」において,地震・津波災害,原子力災害の記録・教訓の収集・保存・公開体制の整備を図り,国内外を問わず,誰もがアクセス可能な一元的に活用できる仕組みの必要性が掲げられた。東日本大震災の記録を国全体で収集・保存・公開するため,宮城県図書館など国内外の様々な機関・団体と協力し,アーカイブ構築に取り組んでいる。

  

  

平成28 年度全国防災ジュニアリーダー育成合宿2日目

合宿2日目です。

「朝の集い」で1日が始まります。

 朝食後、講義2「阪神淡路大震災を語り継ぐ」、

講義3「南海トラフ地震について」を受けました。

こちらは講義中に行われた縦波、横波の実演。

その後、多賀城高校 災害科学科の活動、学校の防災活動全般について発表をおこないました。
  

 午後は防災活動アクションプランの作成です。

 「アクションプランは1年で実現可能な計画であること」との指導を受け、各学校毎にアクションプランの作成をおこないました。


多くの生徒が「学校全体を巻き込んだ防災活動を展開したい!」と考えていた事が印象的でした。

アクションプランについて本校生徒の発表。
  

熊本県立第二高等学校から質問を受ける我らが多賀城高校生。

参加したすべての学校が発表を行いました。

どの生徒も熱心に発表を聞き、新しいアイディアを取り入れようとしていました。

次回は最終日になります。