平成28年度

防災学習プログラム 平成28年度

東北大学災害科学国際研究所 今村文彦 所長の特別授業がありました!

 3月14日(火)災害科学科1年生を対象として東北大学災害科学国際研究所長の今村文彦先生による特別授業がありました。題材は「津波から生き抜く じぶん防災プロジェクト」です。同研究所助の佐藤翔輔先生の共著による小冊子を元にした授業でした。
 「じぶん防災プロジェクト」とは、単に読むだけの冊子ではなく,東日本大震災での経験をもう一度ふり返り,津波とは何かを知り,今度津波が襲ってきたとき,自分はどう行動するかを考える冊子となっています。この目的を達成するために,冊子は”1 東日本大震災を津波災害の視点から振り返る”,”2 津波の基本を理解する”,”3 津波から生き抜くための,できることを”いま”しよう”,という章構成と7つのワークシートからなっています。
 今村先生のシミュレーション動画を交えながらの分かりやすい講義とワークシートの作業を行う2時間でした。最後にはこの冊子に対する意見,質問,有用性などについて生徒からいくつもの発言があり、予定時間をオーバーするほどでした。

  

  

防災・減災コンテストで優秀賞を受賞しました!

 大船渡津波伝承館が主催する「防災・減災コンテスト」で本校の生徒会での防災活動が優秀賞に選ばれました。
 1次審査を通過した12団体が2月25日東北大学災害科学国際研究所で行われたプレゼン審査に臨みました。当日は考査期間中ということもあり,生徒が自ら発表することが難しかったために,急遽生徒会顧問の今泉教諭が津波の聞き取り調査やボランティア活動などを中心とした活動の様子について発表を行いました。その結果,「まんまるママいわて」が発表した『ママが支える一家の防災』に次ぐ優秀賞を受賞することができました。
 生徒会,ボランティアでの取組が各地で活躍する団体と肩を並べる評価をいただいたき,今後の活動の励みになりました。

  

東北工業大学新井准教授の特別授業がありました

 2月16日に東北工業大学工学部建築学科新井信幸准教授を迎え,「仮設住宅と復興コミュニティデザイン」の特別授業が行われました。1年生「くらしと安全A」の中の住環境分野で「暮らしやすさと工夫」をテーマとした分野です。
 新井先生からは仮設住宅の概要,仮設住宅のタイプ,カスタマイズやリユースについてまず話がありました。仮設住宅を一棟建てるだけでも多くの費用がかかること,最近では見なし仮設として民間の賃貸住宅を借り上げることが多くなってきていることなどが話されました。また,仮設住宅に若干の改良を加えることで使い勝手が良くなることを教えていただきました。
 また,後半は仮設住宅から復興公営住宅への移行段階でのコミュニティーのあり方でした。仮設住宅で築いた多くのサークル活動や交流活動をどのように復興住宅で引き継いでいくかという課題について話がありました。

  

橘復興副大臣が来校しました

 平成29年1月13日(金)橘復興副大臣が,宮城県の被災地自治体への訪問途中に本校へ立ち寄られました。短い時間でしたが,本校の防災・減災学習の様子を説明することができました。副大臣からは,本校が現在取り組んでいる活動の継続と発展についての応援の言葉をいただきました。また,副大臣の御地元である富山の県立高岡西高等学校と本校の交流についても橋渡しをしてくださいました。学校からは「文化祭での売上金を防災活動や復興に役立てて欲しい」との申し入れがあり,生徒会での防災・減災活動に役立てていくつもりです。
 今後,本校が行う防災・減災学習について復興庁としてもバックアップしていただくこと,機会があれば再来校したい言葉を残し,次の訪問地に向かわれました。

   

平成28年度全国防災ジュニアリーダー育成合宿 最終日

 遂に「全国防災ジュニアリーダー育成合宿」最終日です。

 まずは「朝の集い」。


 ラジオ体操を行います。集団での生活にもだいぶ慣れてきました。

 そして朝食後、「人と防災未来センター」へ移動します。

 ここで人と防災未来センター長 河田惠昭氏より特別講義「地球温暖化と災害の被害の変化」をお話して頂きました。


講義について質問する災害科学科1年 千葉陽太君

 河田先生からは「災害は家屋倒壊だけが被害を生み出すわけではない。停電による地下鉄やエレベーターの停止、また地球温暖化が生み出す新たな災害も視野に入れる必要がある」と教えて頂きました。

 その後、三宮東遊園地へ徒歩で移動します。

 三宮東遊園地では、2日目に作成したキャンドルを用いて「1.17」をかたち作り、黙祷を捧げました。
  

 そしてここで解散となりました。

 今回のジュニアリーダー育成合宿では、これまで行ってきた活動について自らの実感を伴った発表活動を行うことができました。そして全国の中高生と交流する機会にも恵まれ、参加した生徒は「防災」について新たな視点を手に入れると共に、新しい出会いにも感激した様子でした。

 お世話になった関係者の皆様方、本当にありがとうございました。

平成28年度全国防災ジュニアリーダー育成合宿

 平成29年1月13日から15日まで兵庫県立舞子高校、国立淡路青少年交流の家で行われた「全国防災ジュニアリーダー育成合宿」に生徒会執行部、災害科学科の生徒4人か参加してきました。

 仙台から三宮までは、飛行機、高速バスを使い2時間半ほどで到着しました。
  

 初日は合宿のプログラムに組み込まれている、舞子高校「震災メモリアル行事」に参加しました。

太古知惠美 校長先生の挨拶のあと、演奏会、講演会が行われました。


ギター演奏


熊本県教育委員 木之内均氏による講演「熊本地震の経験から思うこと」

 その後は分科会に参加しました。分科会は舞子高校の1,2年生全員が参加してのワークショップです。

  
多賀城高校の活動発表。本校生徒会執行部のチームワークが光ります。発表に対する鋭い質問にも的確に対応できました。

 午後は「舞子千人鍋」が自衛隊、PTAの協力のもと振る舞われました。

その後、淡路青少年交流の家に戻り開講式に参加しました。

舞子高校代表生徒の挨拶

 続いて、諏訪清二氏による講義①「中学生高校生、災害と向き合う子どもたち」を受講しました。

「挨拶が防災の始まり」という話題から、コミュニケーションの大切さ、またコミュニティーの結び付きの大切さについてお話しして頂きました。

 夕食後は他校との交流会を行いました。
  

2日目に続きます。

淡路島青少年交流の家近くの浜辺

12月15日(木) 神戸大学附属中等教育学校との合同巡検(石巻・女川方面)が開催されました

今回は本校災害科学科と神戸大学附属中等教育学校との合同で,東日本大震災の被災地を巡りました。
釣石神社では本校災害科学科生徒が個人のiPadを,そして神戸大学附属中等教育学校の皆さんも文部科学省IE-SCHOOL事業で貸与されたiPadを各自が使用し,アプリ「石巻津波伝承AR」を用いて被災直後の様子や実際にこの地を襲った津波がどのようなものだったのか,そして浸水深についてもiPadを通して考察しました。
写真 石巻市立大川小学校では,東北大学災害科学国際研究所 助教・佐藤翔輔先生,NPO法人KIDS NOW JAPAN 専務理事 佐藤敏郎先生の現地案内・説明のもと,大川小学校の被災の現実を学びました。 写真実際に校舎を前にして,そして裏山を登りお話を聞いて考察し,先生方に直接質問しながら防災・減災の根幹を学んでいました。

  

その後雄勝町を経て,女川町へ。女川町の復興の様子を本校卒業生である東北学院大学・小畑綾香 先生の案内のもと町歩きを通して見学し,南三陸せっけん工房 厨 勝義 先生,NPO法人アスヘノキボウ 代表理事 小松洋介 先生から説明を受けました。

何度も足を運んでいる生徒もいれば,初めて訪れた生徒もいて,災害の現実と厳しさに言葉が続かない生徒もおりましたが, 写真 災害の厳しさとそこから力強く立ち上がろうとする女川町の人々の姿勢に,「災害にまた見舞われてしまう可能性はあるが,そのあとにどう立ち上がるか,自分たちだけで難しいなら積極的に外から力を借りるべき」など,それぞれが復興の第一人者としてどうあるべきかを改めて考察した巡検となりました。

  

世界津波の日「高校生サミット」の取り組みについて

 昨年の国連防災世界会議で「仙台防災枠組」が採択され、また、「世界津波の日“11月5日”」が国連において制定されたのを受け、「世界津波の日」の啓発イベントとして青少年 による国際会議「世界津波の日 高校生サミット」が11月23~26日の期間に開催されました。これには、本校生徒をはじめ、日本と世界30カ国の高校生約360人が集い合いました。
 前半(23~24日)では、「宮城スタディーツアー」として東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県沿岸部を訪問し、地元の高校生と交流を図ることを目的とした取り組みが行われました。23日(水)本校には、中国福建省の高校生30名が訪れ、津波波高標示を辿る「まち歩き」と交流会が行われました。

【イオン多賀城店の階上駐車場で3.11の津波襲来の様子の説明を学習↓】


【↑イオン多賀城店内一階の津波到達標示に驚いていました。】

【↓歩道橋に残る津波痕を見上げていました。】

 24日(木)は、石巻を会場に「宮城スタディーツアー」に参加した15カ国の生徒と県内の生徒が集い、交流会が開かれました。はじめに、それぞれグループに分かれていった被災地視察の報告があり、多賀城、志津川、石巻の様子が紹介されました。引き続き、グループワークとして、「防災クロスロード」とグループディスカッションが行われ、それぞれの体験や知見に基づいた意見が活発に交換されました。

  

  

【参加生徒の感想】
「私は、今回の「高校生サミット・宮城スタディツアー」では外国人の方に東日本大震災を経験して学んだことを伝えることで、その知識が世界の知識となり、二度と自然災害で多くの命が失われないようになってほしいと思いました。英語を基本としたコミュニケーションの難しさや、逆に国が異なっても通じ合うことの出来る喜びを得ることができました。特に、津波についての理解をお互いに深め合うことができ、とてもいい経験となりました。」(災害科学科1年 大場有紗)

 後半(25~26日)は、高知県黒潮町で開催され、本校からは代表3名が参加しました。主会場となった黒潮町は、南海トラフ地震による被害想定において、津波高34.4メートルという国内一の想定を受けた地域で、防災・減災の様々な取り組みを進めている地域です。

  

 25日(金)は、開会宣言・主催者あいさつに続き、元OECD東北スクールメンバーの釣巻洋子氏(同志社大学)による「The Power Youth」と題する講演が行われました。その後、分科会に分かれ、自己紹介等のブリーフィングが行われました。

   

 26日(土)は、メインである分科会が行われ、「自然災害を知る」「自然災害への備え」「自然災害からの復興」というテーマごと活発な発表と意見交換が行われました。そして、それぞれのテーマに基づいた「高校生に何ができるか」という視点でアクションプランを作成しました。本校は、3.11を経験したことを踏まえ「都市型津波における防災・減災~『津波波高標示プレート』設置活動を通して~」という内容でプレゼンを行い、多くの共感をいただきました。

  

  

 続いて、フィールドワークとして、高台避難訓練、津波避難タワー見学、「安政津波の碑」見学等々を行い、黒潮町の防災に対する実際の取り組みを学びあいました。
 記念植樹のあと、最後に宣言文検討会があり、自然災害から一人でも多くの命を守るための努力を決意した「The Kuroshio Declaration(黒潮宣言)」が満場一致で採択されました。

  

  

【生徒の感想】
「今回参加して思ったことは、津波をもう少し具体的に世界に発信した方がよいということです。同じグループの中で、津波について聞いたところ、私たちの認識と大きく異なっているところがありました。その差を埋め、津波の怖さを共通認識していくことが大切だと思います。今回多くの国や地域の人と関わることが出来て良かったです。多くの人と関わっていくことが防災の第一歩となるはずです。多くの人とのつながりを、学校でまた広げ、どんどんその輪を大きくし、一つの大きな輪をつくっていきたいです。
 このような機会をいただき、ありがとうございました。」(普通科2年 工藤綺乃)

  

「防災情報とは何か」の特別授業が行われました。

 11月18日(金)常葉大学社会環境学部教授 阿部郁男先生による特別授業が開催されました。
 今回の特別授業では,まず「防災情報とは何か」というテーマのもと,さまざまな防災情報が存在することを整理し,その提供元ごとにどこがどのような情報を提供しているかをiPadで調べるところから始まりました。
 気象庁なら地震津波の情報,気象警報,そして土砂災害警戒情報を,国交省なら河川の水位,波浪・・・というように,知っているようで知られていない防災情報がたくさん存在することに生徒も驚いていました。
 後半はGPS波浪計の仕組みのほか,GPS波浪計がもたらしたもの,東日本大震災当時の観測情報について学び,それらを踏まえて「東日本大震災のような津波被害を二度と出さないために」と称したグループディスカッションを行いました。
 その中で「GPS波浪計などの津波観測情報王が設置された場合に,津波による被害を減らすためにどんなことができそうですか?」「それでも残る課題や問題は?」という問いかけに,生徒一人一人が様々な意見を出し合っていました。

「社会と災害」の特別授業として「海の名称 -人の歴史,社会,生活との関わり-」を行いました

 平成28年12月9日(金)文部科学省初等中等教育局 主任教科書調査官 高橋 洋子 さんを講師としてお迎えし,「海の名称 -人の歴史,社会,生活との関わり-」の授業を行いました。高橋さんは日本船舶海洋工学会にも所属され,地理教育にとどまらず海洋教育,環境委教育などにも精通されています。
 授業はアクティブラーニング型で進められ,1世界に海はいくつあるのか?,2太平洋に名前をつけるとしたなら?,3海に2つ以上の呼び名があったときのメリット,デメリットなどの質問が生徒に投げかけられました。生徒は,グループでそれらについて考えて答えを発表するという過程を通して考えを深めていくものでした。
 先生からは大洋と海の境界の話やIHO(国際水路機関)の話など興味深い話が多くありました。「海」をキーワードとして歴史や文化,生活など多くのことを考え,学ぶことができる内容でした。

  

災害科学科 1年7組 赤堀 恵夏さんの感想
 今回の特別授業の中で一番印象に残ったことは、海の名称の由来についてです。私は海の名称の由来は、周辺の国や人物の名前だけが由来だと思っていたのですが、実際には周辺の地形やギリシャ神話の神の名前など、さまざまな由来があったり、同じ海でも国によって呼び名が違ったりすることに興味を持ち、海の名称をめぐる各国間の問題についても気になります。今後また、髙橋洋子先生の授業を受ける機会があれば良いなと思いました。