平成28年度

2016年7月の記事一覧

「災害時の保育」を実施しました

 7月22日,石巻在住の佐々木有香子さんを講師としてお招きし,1年生全体で「くらしと安全A」の授業として「災害時の保育」を実施しました。災害時の保育のあり方について、その体験談を聞くことで自分や子どもの命を大切にし,安全(防災・減災)についての考えを深めさせることを目的としたものです。
 佐々木さんは東日本大震災当時,妹さん宅を訪れたときに津波に遭遇しました。妹さんは7ヶ月のお子さんを子育て中,佐々木さんは臨月を迎えている状況でした。目の前の国道は大渋滞。避難することもままならず,津波に襲われ3階の納戸に逃れた経験をお持ちです。妹さんと協力し7ヶ月の姪を何とか助けようと奮闘したこと,自分が臨月で移動もままならなかったことなどの話がありました。
 佐々木さんは震災7日目に石巻赤十字で男の子を出産しました。震災で亡くなっていく方々のいる病院で,新しい命を世に送り出す奇跡や素晴らしさについてもお話しいただきました。
 生徒からはこの経験から学んだこと,感じたことに,これから自分たちが気をつけていくべきことについて数多くの質問がありました。

  

  

亘理町防災キャンプin逢隈小

 7/2(土)に,亘理町教育委員会生涯学習課が主催する「亘理町防災キャンプin逢隈小」に防災委員の1年生2名・ボランティア同好会の3年生2名が参加してきました。
 亘理町立逢隈小学校3年生から5年生の児童ら,約30名を対象に「地震・津波について学ぶ時間」の講師を担当しました。本校生が,地震・津波の発生の仕組みと危険性,身の守り方について,スライドを使って説明しました。クイズを出したり,身の守り方を一緒に考えたりと工夫して説明することができました。
 説明の最後に「今日,新しく学んだことがある人」と質問したところ,ほとんどの児童が手を上げてくれました。逢隈小の児童はもちろん,初めて小学生に説明をした4人にとっても貴重な学びの時間となりました。

生徒感想
 私は今回の防災キャンプで初めて小学生とワークショップをしました。分かりやすく話せるか,みんなが思いついたことをちゃんと発表してくれるかなど,心配なことがたくさんありました。しかし,実際はみんな楽しそうに考えてくれたので,とても嬉しかったです。何度も練習してよかったなと思いました。子供たちには,今回学んだことを誰かに教えたり,自分の行動に生かしたりしてほしいです。とても良い経験ができました。
 1年 清野寧音

 小学生に地震や津波のことを教えるのは初めてでした。4人で打ち合わせをして,たくさんの意見を出し合ったので,より良いものにできたと思います。小学生に教えるに当たって,自分も地震や津波について知らなかったことを学ぶことができました。この経験を次に生かせるようにしたいです。
 1年 髙田渚生

 今回,小学生に説明するということで,どんな感じになるのかとても楽しみにしていました。練習も楽しくて,この企画に参加できてよかったと感じています。
 また機会があれば,ぜひこのメンバーでもっと良いものをつくってみたいです。
 3年 葛岡莉奈

 初めて小学生を対象に地震や津波のメカニズムを説明しました。はじめは不安がありましたが,防災意識が高い子供たちで反応も良くて,こちらでは考えられなかった意見も出てきたので,とても楽しく説明できました。
 今回,小学生に分かりやすく説明するために自分たちで調べたところもあり,私自身の地震や津波の知識も深まりました。今後もこのような活動を通して,災害の恐ろしさや災害時にどう逃げるのが安全かを伝えるとともに,自分の知識も増やしていきたいです。
 3年 鈴木菜々子

  

海上保安庁・日本赤十字社災害合同訓練

 7月20日に行われた海上保安庁・日本赤十字社災害合同訓練において、1年生の保健委員8名を中心に医療看護系志望の3年生を含めた本校生徒16名が要救助者役として参加しました。
 今回の訓練は、2015年に締結された海上保安庁と日本赤十字社の協定に基づいて、海上保安庁の機動力と日本赤十字社の医療救護活動を生かして相互に連携し、災害時の傷病者の救出から医療活動までの対応を確認するためのものです。南海トラフ沖で起こった地震による津波被害で、多数の要救助者が発生する、といった想定で訓練は行われました。


機動救難士の方から要救助者としての演技指導を受けます。


傷病者の特徴や症状について、丁寧に指導していただきました。

要救助者役の生徒は実際に警備救難艇に乗船し、船ごと釣り上げられて巡視船でトリアージ・応急救護を受けました。

  

  

 トリアージ訓練の前には、赤十字病院の医療救護チームが準備した医療資機材を巡視船へ搬入する様子を甲板上から見学しました。

  


 また、ヘリコプターでの移送訓練を間近で見学し、実際にヘリの中に座らせていただきました。

 午後からは、操縦室内や医務室等を見学しました。
普段の船内での生活の様子や東日本大震災当時の海上保安庁の活動などについても説明があり、生徒たちも興味深く質問していました。

  

また、特別に日赤の指導員の方々に船内で救急法の講習をしていただきました。
船独特の揺れがある中で行う心肺蘇生法の難しさを感じながら、実技を行っていました。


海上保安庁・日本赤十字社のみなさんとの集合写真

 高校生がこの訓練に参加するのは全国でも初めてということで、生徒たちは緊張していましたが、参加した生徒からは「人を助ける仕事に就きたいと思った」「てきぱきと動ける医療従事者になりたい」といった感想が聞かれ、将来の目標につながる貴重な経験になりました。

防災・危機管理ジャーナリスト 渡辺 実さんの授業を受けました

 7月21日,防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実さんの特別授業がありました。
 渡辺さんは,防災・減災に関するジャーナリストで,以前から現場主義を貫く草分け的なジャーナリストです。東日本大震災はもちろんのこと,1978年(昭和53年)6月12日に発生した宮城県沖地震でも取材経験があるそうです。「防災」とは実験ができない学問であることから,現場に行って自分の目で確かめることが大切だ,という信念に基づいた方です。

 渡辺さんによれば,現代は「天地動乱の時代」であり,世界各地で地震や火山噴火が起こっている話がありました。日本でも,過去の歴史に照らし合わせると,今後は関東地震(首都直下型地震),南海トラフ地震,火山の噴火などが懸念され,これらについての備えが急務であることもお聞きしました。

 また,熊本地震の特徴としては,2回の震度7の地震,広域余震,大雨豪雨災害による複合災害であることを聞きました。東日本大震災の経験が活かされていることや相違点について,仮設住宅としてのトレーラーハウスの活用などの興味深い話もありました。私たちは熊本地震から,内陸地震の顔,次の宮城県沖地震への備え,防災の基本は被災地にあることを学ぶことが必要だとのアドバイスをいただきました。「防災」から「減災」へ,「減災」から「備災」へと発想や行動を変えていくことが大切だとのことです。

 7月28日から,災害科学科1年生4名が渡辺さんの案内を受けながら熊本地震の被災地を訪れます。

  

サイエンスディ「心豊かに生きたい」に参加してきました!

 7月17日に東北大学川内萩ホールで開かれたサイエンスディ対話フォーラム「心豊かに生きたい~災害とあなたの残したい未来社会~」に3年生1名,2年生1名,1年生4名が参加しました。
 フリーアナウンサー柳生聡子さんの全体進行でフォーラムが進められ,会は災害科学国際研究所奥村誠副所長の講演からスタートしました。奥村先生は防災の全容を話せる専門家はいないこと,いろいろな立場の人が防災・減災を考えていく必要があることを,まず話されました。続いて築館市通大寺の金田諦應住職の講演です。金田住職は,軽トラックにお茶とスイーツを積んで,被災地を巡る「移動傾聴喫茶」のお話しをされました。この喫茶は「カフェ・デ・モンク」(坊主のカフェ)という名前だそうです。そこでは多くの被災者が自分の言葉で震災のことを話し始めるまでのことや,震災後の初めての供養は小学校5年生2名を荼毘に付したことなどの話でした。最後の講演者は合同地球会社地球村研究所代表の石田秀輝東北大名誉教授の講演でした。石田先生は現在,鹿児島県沖永良部島を拠点に活動をされています。専門はネィチャー・テクノロジーという自然に学ぶ科学技術です。少しの不自由,不便さを知恵でカバーすることで、新しい生活スタイルが確立出来ることなどの話を伺いました。

 この基調講演に続いて,FM仙台の板橋恵子さんがコーディネーターとなり,はじめに私たちの活動の紹介です。多賀城高校が取り組む防災・減災活動の紹介や、1年生は災害科学科入学の動機などを話しました。また,これからの復興のあり方や,防潮堤についての考え方など,基調講演を基にした私たちの考えや感想に対して演者がコメントするという形式で会が進められていきました。
 大きな舞台で,いろいろな考えや活動をされている方々とお話しできたことは大変貴重な経験となり,私たちがこれから活動する上での大きなヒントとなりました。3名の先生のお話しは今回参加できなかった生徒にも聞かせてあげたいと思い,また同じように意見交換の機会を設けられれば良いのに,と思う時間となりました。

参加生徒の感想
1年生 千葉陽太
 災害科学科に入学してから3ヶ月が経ち,自然科学の話,防災・減災に努力されている方々の話,報道から見た災害の話など多くの機会をこれまでいただいてきました。今回はこれまでのような外部講師の講義ではなく,演者の話を聞き,自分の考えを述べる初めての体験でとても緊張しました。震災直後から様々な立場で活躍されている3名のお話しを聞き,これから自分はもっと多くのことを学び,実践していく必要があることを実感しました。3名の先生方から声をかけていただいた通り,これからは私たちが未来に伝えて,よりよい社会をつくっていきたいと思います。
1年生 藪内さくら
 3名の先生方の大変貴重な経験を聞くことができ,「そうだ」と共感できる話や「なるほど」と納得する話などを、沢山きくことができました。私は当時小学校4年生で,知っていることよりも知らなかったことの方が多かったように思います。この経験をこれからの学びにつなげたいと強く思いました。
1年生 佐々木実夢
 3名の先生,「本当にありがとうございました。」とお礼が言いたい気持ちです。ステージにあがって,何を話そうかと戸惑っていましたが,コーディネーターの板橋さんに自分の気持ちを上手く引き出してもらえたことも感謝です。復興のために力をつくしている先生方の実のあるお話を聞いて,私も頑張ろうという気持ちになることができました。

  

航空写真の防災・減災への利用について特別授業がありました!

 7月16日国際航業株式会社の技術本部の鈴木雅人氏が来校し,災害科学科の学校設定科目「社会と災害」において,航空写真の利活用についての特別授業を行っていただきました。
 航空写真の利用,特に防災・減災と関連した事柄について丁寧に説明をしていただきました。現在は航空機からの撮影だけではなく,ドローンのようなUAV(Unmanned aerial vehicle)による撮影も増えてきているそうです。これらの画像を等高線や地形図と合わせて3D処理することで様々な情報が得られたり,地上から海上までシームレスな地形情報を得ることで様々なシミュレーションが可能になっているとの話をいただきました。

  

 後半は,地図と航空写真を用いたハザードマップづくりを行いました。多種多様な地図や情報を組み合わせることで,今までには分からなかった危険箇所の把握が出来ることを学びました。秋にはJAXAから人工衛星画像の活用についても学ぶので,これらを組み合わせて学習していきたいと思います。

  

今年も「海猿」が来てくれました!

 7月12日(火),本格的な水のシーズンを前に,宮城海上保安部・巡視船くりこま潜水士の方々を招き,「海上保安庁 水難安全教室」を本校プールで行いました。水難事故から身を守る上で必要な知識・技術を身につけ,救助の際の注意事項を知り,安全に救助する方法を習得することを目的にしています。
 まずは『劇団くりこま』による寸劇が披露されました。誤って海に落ちた場合に,慌てて服を脱ごうとすると溺れてしまうので,慌てずに「背浮き」で救助を待つ大切さを教えていただきました。

  

 続いて実際に,3年生が着衣のままプールに入る「着衣泳」を体験しました。体の力を抜いて浮き続ける難しさを体験しました。潜水士の方によると,人間は比重の関係で2%は水面から上に出して浮くことが出来るそうです。その2%が顔の部分であることが大切であり,そのために力を抜くことが必要です。続いて空のPETボトルを使っての『背浮き」です。たった一本のPETボトルを使うだけで,かなり楽に浮くことができました。

  

 次に,救命胴衣を着用してみました。ほとんど苦労することなく浮くことが出来る救命胴衣の大切さを知ることができました。また,新型の水に落ちると膨らむタイプの救命胴衣についても実際に見学することが出来ました。
 最後に,本校卒業生である田中潜水士が,救助の実際についてのデモンストレーションを見せてくれました。

  

熊本県へ! 熊本県立東稜高等学校 御船町立滝尾小学校との生徒交流

7月4,5日の2日間に渡り熊本県を訪れました。

 今回の目的は被災地にある学校と生徒間交流を行うことです。訪れたのは「熊本地震募金」で集めた義援金を寄付させて頂いた、熊本県立東稜高等学校、御船町立滝尾小学校です。

熊本県は宮城県から約1500km離れており、飛行機で約4時間かかります。7月4日は気温が33度まで上昇しました。

はじめに熊本県立東稜高等学校を訪れました。

  

 熊本地震後は避難所となり2000人の避難者を受け入れたそうです。しかし自治会との協力により避難所運営はスムーズに行われたことを教えていただきました。

  

地震の傷跡も見ることができました。今年度、授業は遅れて始まり現在も体育館を使用できない状況ですが、生徒の皆さんは元気に活動していました。

  

 生徒間交流では、生徒会長の福永君を中心とした生徒会執行部の皆さんと交流しました。はじめは緊張していた皆さんでしたが、徐々に打ち解け、防災活動やお互いの学校文化について話が盛り上がりました。

  

次に7月5日です。5日はまず、熊本城を見学しました。熊本城への立ち入りは禁止されていたので、熊本市役所の14階 展望室から被災箇所を見学しました。

  

ニュースでおなじみの箇所、「飯田丸五階櫓 いいだまるごかいやぐら」です。

激しく壊れていますが、復旧工事がはじまっていました。
熊本城の次は御船町立滝尾小学校へ向かいました。

  

現在、学校への道が崖崩れにより寸断されているため、滝尾小学校は御船中学校の敷地内に間借りして授業を行っていました。

  

滝尾小学校は全校生徒75人ほどの小さな小学校です。コミュニティーホールを段ボールで四つに仕切り、授業を行っていました。それぞれの授業の声が入り交じっていましたが、生徒は元気に授業に取り組んでいました。

  

防災をテーマにした活動では5,6年生と交流しました。皆さん、しっかりと自分の意見を発表してくれました。

  

給食もごちそうになりました。一緒に食事をすると緊張もほぐれ、児童の方からいろいろと話しかけてくれました。おかげさまで短い時間でしたが、すっかり打ち解けることができました。
被災地の皆さんは、厳しい環境の中でもしっかりと部活や勉強に取り組んでいました。私たちの義援金が少しでも力になればと思いました。

 今後も生徒会の活動として様々な被災地支援を行っていきたいと思います。応援よろしくお願いします。 (写真は募金活動に参加した生徒会執行部とボランティ同好会の皆さんです。)

生徒感想 災害科学科 長谷まりん

 7月4日、5日と熊本を訪問して2つ印象に残ったことがあります。まず1つ目は、熊本地震も現地の人にとっては「予期せぬ」災害であったことです。自分の住む場所で震災が起きるとはあまり考えず、地震に対する備えや、心の準備が十分でなかったというお話が印象的でした。現在日本では、どの地域でも地震が起こりうる状況ですので、耐震工事を含めた災害に対する備えを地域格差のないように行っていく必要性を感じました。
 2つ目は被災地の子どもたちの変化です。滝尾小学校の先生が「児童たちがイライラしやすくなった」と教えてくださいました。東日本大震災の時私は小学4年生でしたが、大きな不安を感じ、同じようにイライラして落ち着かなかったことを覚えています。被災地の子どもたちには心のケアが必要だと実感しました。
 二日間の交流で、被災地の高校生と意見を交換し、小学生と触れあうことで元気をもらいことができました。 今後も防災をテーマに自分に何ができるか学んでいきたいと思います。