2016年7月の記事一覧

長島復興副大臣が来校しました!

 7月13日(水)長島忠美(ながしま ただよし)復興副大臣が来校されました。長島副大臣は新潟県中越地震で被災した新潟県古志郡山古志村の最後の村長でした。平成16年10月,村長2期目の時に中越大震災に遭遇,村長として中心被災地であった旧山古志村にて全住民避難および復興の陣頭指揮にあたった方です。
 まずは5時間目に,副大臣には1年生の「自然科学と災害A」と「くらしと安全A」をご覧いただきました。「自然科学と災害A」では避難所を想定した菌の培養実験です。手を洗った場合と,洗わなかった場合の違いについて,実際にその違いを培地を用いて実験観察している様子をご覧いただきました。「くらしと安全A」では妊婦体験や乳児を抱き上げる体験をご覧いただきました。このような災害弱者をどのように避難させるか,どんな支援ができるのかを考えさせる授業です。2つの授業とも副大臣は生徒の中に入って,いろいろな質問をなされながら,見学されていました。

 

 続いて6時間目は副大臣の特別授業です。災害科学科の1年生を対象に旧山古志村での経験や,災害についての考え方,地域コミュニティの大切さについてを熱く語っていただきました。被災を乗り越えて,新たなまちづくりを皆が協調して行っていくことが大切だとの話や,当時の山古志村の子ども達への思いや,現在どのような活動をしているかという話をしていただきました。
 特に東日本大震災を経験した私たちへのメッセージとして,若い世代が次の世代へ語り継ぐ大切さ,災害時の苦労や工夫を他の地域へ発信していく大切さについての期待の言葉をいただきました。生徒からは村長時代に苦労されたこと,被災の大小による格差や考え方の違いを埋める工夫,熊本など新たな被災地の方々への接し方など,多くの質問や意見が出され,その一つひとつに丁寧にお答えいただきました。この真摯な対応に多くの生徒が共感を覚えました。

 

 放課後には,生徒会執行部の役員などを交えた意見交換です。この場には産官学それぞれの立場の助言者として島田昌幸様(株式会社ファミリア代表取締役),石塚直樹様(一般社団法人みやぎ連携復興センターチーフコーディネーター),今村文彦教授(東北大学災害科学国際研究所所長),鈴木洋様(県教育庁教育監兼教育次長),鈴木学様(多賀城市市長公室長兼震災復興推進局長の5名の方々にも参加していただきました。まずは生徒会活動の全体報告やボランティア活動,津波標識設置・聞き取り活動,国際交流活動を報告しました。これらの活動について各助言者からは地域に根ざした活動,新たな産業やその知識で救える命と知識だけでは得ることの出来ない学力の大切さ,地域作り・まちづくりの視点やその工夫などについての意見をいただきました。また,私たちが計画している東日本大震災メモリアル行事についても皆様から大きな期待と協力についてのお言葉もいただきました。

 

生徒の感想
1年 赤堀恵夏さん
 副大臣の授業を受けて思ったことは子どもや高齢者などの年代に関わらず,すべての世代の人々が災害について,それぞれが考え,次に災害が起こったときに,どのようにすれば被害が拡大しないかを話し合う必要性があることを改めて実感しました。
 また,災害科学科1期生である私たちは,いつ起こるか分からない災害が目の前で起きた時,私たちが毎日の授業で学んできた知識を駆使し,避難を促進させる最初の一人として行動し,多くの人々の期待に少しでも応えられる頼もしい存在になりたいと思いました。副大臣の行動力に学んで,自らが考え判断し,率先して行動できる様になりたいです。
1年 瀬戸朝陽
 今日のお話しを聴き私が特に考えたことは,今後の震災あるいは過去にあった震災を,どのように後世へ伝え,忘れさせないようにしていけばよいかでした。このことについて今日の授業では「映像などで直接伝えるのはどうなのか」などの話があり,私は「自分が教えるのならばどうすべきか」ということを深く考えました。また,「震災を忘れないことが大切」ということも話の中にありました。このことについて,私たちは震災の足跡を科学的にたどり,本当の災害の姿をきちんと認識して,その事実を伝えていかなければならないと思いました。

報道番組のディレクター 堤早紀さんに熊本の様子を話していただきました!

 7月11日(月)NHK仙台放送局放送部・報道番組ディレクター堤早紀さんに熊本地震の様子を話していただきました。堤さんは熊本地震についての取材として4回南阿蘇村や益城町,御船町に入られた経験をお持ちです。特にDMAT(災害派遣医療チーム Disaster Medical Assistance Team)やJRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会 Japan Rehabilitation Assistance Team),地元の医師の活躍などについての取材を通して番組作りをされてきました。
 今回の熊本地震の特徴や,震災直後に南阿蘇に入ったときの移動,食料,宿泊についてのご苦労,災害現場でのDMATの活躍などについてお話しをいただきました。今回のお話しで,私たちがニュースや新聞で知る被災地の姿とは違った面も知ることができました。私たちが興味のあった「東日本大震災の教訓を活かすことはできたのか」については,活かすことができた場面も,そうでない場面もあったことについてもお話しいただきました。災害はその種類や場所によっても異なるので,その対処の仕方も異なることから簡単には比較が難しいそうです。罹災証明や避難所運営では宮城県の行政関係者の助言が活かされていたこと,医療チームやリハビリテーションといった対処が早かったことなどは,東日本大震災の経験が活かされた場面だったそうです。また,「受援」という援助を受け入れる姿勢や心の大切さについても知ることができました。
 堤ディレクターからは,東日本大震災の教訓をどのように伝えていったらよいのか,生徒と一緒に考えていきたいという提案もいただきました。いつもは取材をしていただく生徒ですが,報道の難しさについても知ることができる一日でした。