平成29年度

災害科学科『自然科学と災害A』特別授業を実施しました。

 6月23日(金),災害科学科1学年生徒を対象に『自然科学と災害A』特別授業を実施しました。国内外の生物を追い求め,環境保全の立場からも様々な保護活動をされている自然写真家の永幡嘉之氏を講師として招き,東日本大震災が生態系に及ぼした影響と人間生活とのつながりについて,数々の写真とともに実体験に基づいたお話をいただきました。
 東日本大震災による大津波によって,生きものはいなくなったように見えましたし,人々はいなくなったと思い込んでしまいましたが,実際にはその土地には多くの生きものが残っていました。さらには,昔そこにいた植物の種から,開発によって失われていた植物が再生するようすも見られ,永幡氏はそういった事実を記録に残してきました。
 自然災害や防災,復興というのはYes,Noといった解が一つに定まるものではありません。その中に社会学的な視点や科学的な視点など,様々な視点を持って向き合うことが必要だと語る永幡氏の言葉には,永幡氏の人柄や生き方が強く感じられました。科学的な視点から震災や復興を考えることを初めて行う生徒も多く,新たな視点から災害科学を考える貴重な講話となりました。

  

(アンケート調査の結果)
 生徒の生態系や環境問題に対する興味は,「たいへん興味がある」と答えた生徒が講話前の15%から講話後には46%にまで増加し,全体の95%が興味を持つようになりました。また,津波被災地の生態系の変化については,「よく知っている」「知っている」と答えた生徒が講話前の22%から82%に増加し,理解も深まったという結果になりました。さらに,「これから復興についてよく考え,議論したい」と解答した生徒は,講話前の10%から50%にまで増加し,永幡氏の講話を聞いて,より深く学び,多くの人と様々な視点から議論までしたいと考える生徒が増えたと考えられます。