2016年12月の記事一覧
世界津波の日「高校生サミット」の取り組みについて
昨年の国連防災世界会議で「仙台防災枠組」が採択され、また、「世界津波の日“11月5日”」が国連において制定されたのを受け、「世界津波の日」の啓発イベントとして青少年 による国際会議「世界津波の日 高校生サミット」が11月23~26日の期間に開催されました。これには、本校生徒をはじめ、日本と世界30カ国の高校生約360人が集い合いました。
前半(23~24日)では、「宮城スタディーツアー」として東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県沿岸部を訪問し、地元の高校生と交流を図ることを目的とした取り組みが行われました。23日(水)本校には、中国福建省の高校生30名が訪れ、津波波高標示を辿る「まち歩き」と交流会が行われました。
【イオン多賀城店の階上駐車場で3.11の津波襲来の様子の説明を学習↓】
【↑イオン多賀城店内一階の津波到達標示に驚いていました。】
【↓歩道橋に残る津波痕を見上げていました。】
24日(木)は、石巻を会場に「宮城スタディーツアー」に参加した15カ国の生徒と県内の生徒が集い、交流会が開かれました。はじめに、それぞれグループに分かれていった被災地視察の報告があり、多賀城、志津川、石巻の様子が紹介されました。引き続き、グループワークとして、「防災クロスロード」とグループディスカッションが行われ、それぞれの体験や知見に基づいた意見が活発に交換されました。
【参加生徒の感想】
「私は、今回の「高校生サミット・宮城スタディツアー」では外国人の方に東日本大震災を経験して学んだことを伝えることで、その知識が世界の知識となり、二度と自然災害で多くの命が失われないようになってほしいと思いました。英語を基本としたコミュニケーションの難しさや、逆に国が異なっても通じ合うことの出来る喜びを得ることができました。特に、津波についての理解をお互いに深め合うことができ、とてもいい経験となりました。」(災害科学科1年 大場有紗)
後半(25~26日)は、高知県黒潮町で開催され、本校からは代表3名が参加しました。主会場となった黒潮町は、南海トラフ地震による被害想定において、津波高34.4メートルという国内一の想定を受けた地域で、防災・減災の様々な取り組みを進めている地域です。
25日(金)は、開会宣言・主催者あいさつに続き、元OECD東北スクールメンバーの釣巻洋子氏(同志社大学)による「The Power Youth」と題する講演が行われました。その後、分科会に分かれ、自己紹介等のブリーフィングが行われました。
26日(土)は、メインである分科会が行われ、「自然災害を知る」「自然災害への備え」「自然災害からの復興」というテーマごと活発な発表と意見交換が行われました。そして、それぞれのテーマに基づいた「高校生に何ができるか」という視点でアクションプランを作成しました。本校は、3.11を経験したことを踏まえ「都市型津波における防災・減災~『津波波高標示プレート』設置活動を通して~」という内容でプレゼンを行い、多くの共感をいただきました。
続いて、フィールドワークとして、高台避難訓練、津波避難タワー見学、「安政津波の碑」見学等々を行い、黒潮町の防災に対する実際の取り組みを学びあいました。
記念植樹のあと、最後に宣言文検討会があり、自然災害から一人でも多くの命を守るための努力を決意した「The Kuroshio Declaration(黒潮宣言)」が満場一致で採択されました。
【生徒の感想】
「今回参加して思ったことは、津波をもう少し具体的に世界に発信した方がよいということです。同じグループの中で、津波について聞いたところ、私たちの認識と大きく異なっているところがありました。その差を埋め、津波の怖さを共通認識していくことが大切だと思います。今回多くの国や地域の人と関わることが出来て良かったです。多くの人と関わっていくことが防災の第一歩となるはずです。多くの人とのつながりを、学校でまた広げ、どんどんその輪を大きくし、一つの大きな輪をつくっていきたいです。
このような機会をいただき、ありがとうございました。」(普通科2年 工藤綺乃)
「防災情報とは何か」の特別授業が行われました。
11月18日(金)常葉大学社会環境学部教授 阿部郁男先生による特別授業が開催されました。
今回の特別授業では,まず「防災情報とは何か」というテーマのもと,さまざまな防災情報が存在することを整理し,その提供元ごとにどこがどのような情報を提供しているかをiPadで調べるところから始まりました。
気象庁なら地震津波の情報,気象警報,そして土砂災害警戒情報を,国交省なら河川の水位,波浪・・・というように,知っているようで知られていない防災情報がたくさん存在することに生徒も驚いていました。
後半はGPS波浪計の仕組みのほか,GPS波浪計がもたらしたもの,東日本大震災当時の観測情報について学び,それらを踏まえて「東日本大震災のような津波被害を二度と出さないために」と称したグループディスカッションを行いました。
その中で「GPS波浪計などの津波観測情報王が設置された場合に,津波による被害を減らすためにどんなことができそうですか?」「それでも残る課題や問題は?」という問いかけに,生徒一人一人が様々な意見を出し合っていました。
「社会と災害」の特別授業として「海の名称 -人の歴史,社会,生活との関わり-」を行いました
平成28年12月9日(金)文部科学省初等中等教育局 主任教科書調査官 高橋 洋子 さんを講師としてお迎えし,「海の名称 -人の歴史,社会,生活との関わり-」の授業を行いました。高橋さんは日本船舶海洋工学会にも所属され,地理教育にとどまらず海洋教育,環境委教育などにも精通されています。
授業はアクティブラーニング型で進められ,1世界に海はいくつあるのか?,2太平洋に名前をつけるとしたなら?,3海に2つ以上の呼び名があったときのメリット,デメリットなどの質問が生徒に投げかけられました。生徒は,グループでそれらについて考えて答えを発表するという過程を通して考えを深めていくものでした。
先生からは大洋と海の境界の話やIHO(国際水路機関)の話など興味深い話が多くありました。「海」をキーワードとして歴史や文化,生活など多くのことを考え,学ぶことができる内容でした。
災害科学科 1年7組 赤堀 恵夏さんの感想
今回の特別授業の中で一番印象に残ったことは、海の名称の由来についてです。私は海の名称の由来は、周辺の国や人物の名前だけが由来だと思っていたのですが、実際には周辺の地形やギリシャ神話の神の名前など、さまざまな由来があったり、同じ海でも国によって呼び名が違ったりすることに興味を持ち、海の名称をめぐる各国間の問題についても気になります。今後また、髙橋洋子先生の授業を受ける機会があれば良いなと思いました。
株式会社WATALIS / 一般社団法人WATALISさんを迎えて,「日本の服飾文化とリユースの実際」の授業を行いました
平成28年12月1日(木),『くらしと安全A』において,株式会社WATALIS / 一般社団法人WATALISさんの活動を紹介すると共に,古来行われてきた着物文化のリユースの観点からの製法技術の紹介と簡単な実習を行い,震災から復興を総合的に考える特別授業を1年生81名を対象に実施しました。
初めに,代表の引地恵さんから,震災前に亘理町職員として町の文化や歴史を調査する過程で,その魅力に気づいたこと,特に端切れ等を用いた「ふぐろ」に一升の米を入れてお礼として感謝の気持ちを表す文化に興味を持った話がされました。貴重な服地に貴重な食料を入れ,さらに無形の感謝の気持ちを入れる文化の奥深さと素晴らしさを再認したことが活動の原点であることが話されました。
また,亘理町の抱える地域課題として高齢化,過疎化,文化の伝承,被災地コミュニティの損失,女性の就業場所の確保などが浮き彫りとなってきたことが起業のきっかけとなったことなどの話がありました。さらに「ふぐろ」は単に3R活動にとどまらず,新たな付加価値をつけて再活用するアップサイクル文化となっており,地域振興に役立っていることが紹介されました。
続いて,実習として端切れを用いたキーホルダー作成の実習を行いました。初めに理事の橋元あゆみさんから「きもの」の端切れについての紹介と,文様に込められた意味の説明がありました。その後,実際に端切れを用いてキーホルダーの作成手順について,工程毎に説明をいただき生徒は作業を行いました。
最後にまとめとして再び引地さんから,復興のためには,多種多様な課題を解決をしなければいけない状況となったことや,その解決のための工夫点についての話がありました。