2017年3月の記事一覧
平成28年度 東日本大震災メモリアルdayを開催しました!
平成29年3月4日(土)~5日(日)本校を会場として東日本大震災メモリアルdayを開催しました。
参 加 者 :
北海道 室蘭栄高等学校(教員1名,生徒3名)
青森県 八戸北高等学校(教員4名,生徒2名)
岩手県 釜石高等学校 (教員1名,生徒2名)
福島県 磐城高等学校 (教員1名,生徒2名)
ふたば未来学園高等学校(教員1名,生徒2名)
兵庫県 舞子高等学校 (教員1名,生徒2名)
神戸大学附属中等教育学校 (教員2名,生徒1名)
芦屋高等学校 (教員1名,生徒2名)
新潟県 県央工業高等学校(教員1名,生徒2名)
宮城県 石巻西高等学校(教員1名,生徒3名)
多賀城市東豊中学校(教員2名,生徒12名)
多賀城高等学校(教員12名,生徒22名)
開催概要:
防災や減災に取り組む全国の中学生や高校生が,自らの活動内容や課題研究の成果などを口頭及びポスターで発表しました。また,ワークショップを通して互いの考えを意見交換しました。東日本大震災をはじめとした各地での震災の経験と教訓を後世に継承し,さらには国内・国外の防災・減災に貢献することを目的として実施したものです。
3月4日
開会行事で宮城県教育長(鈴木洋教育監兼教育次長挨拶文代読)及び武政功復興庁宮城復興局長からご挨拶をいただきました。
(1) 基調講演
写真 東北大学災害科学国際研究所佐藤健教授から「DRRの実現に向けて高校生に期待すること」の講演がありました。講演では災害を数値化する自然科学的なアプローチ,地域を学ぶことが防災・減災につながるとといった社会科学的なアプローチの話をいただき,まさに防災・減災は文理融合型のアプローチが必要であることの話がありました。
(2) 口頭発表 写真 ・北海道室蘭栄高等学校 学校での防災・減災の取組に加え,通学範囲となっている絵鞆半島部の津波シミュレーションと室蘭市が作成したハザードマップとの相違や避難経路の考察などの報告がありました。
・青森県立八戸北高等学校
総合的な学習で取り組んでいる校外学習での聞き取りからなる「人間社会と自然災害のかかわりあい」の中で,犠牲者の少なかった普代村と巨大防潮堤で有名だった宮古市田老地区との比較考察などの報告がありました。
・岩手県立釜石高等学校
「助けられる人から助ける人へ」の防災活動や鵜住居地区における「津波てんでんこ」の避難行動(釜石の奇跡)がどのように行われたか,震災後の大規模被災者とそうでない被災者との意識の差,それを克服するための学習の報告がありました。
・福島県立磐城高等学校
いわき市沿岸部60kmにわたる聞き取り調査と津波痕調査から作成した浸水地図とハザードマップの作成,津波に強い都市構造の提案,世界各国の津波防災意識と地形的特徴との関連の報告がありました。
・福島県立ふたば未来学園高等学校
「産業社会と人間」で行われる「ふるさと創造学 演劇づくり」や「未来創造探究」の紹介がありました。特に,原発被害についてのドローンを用いた垂直測定,歩行調査による水平測定など科学的なアプローチで空間放射線量は問題がないという報告がありました。
・兵庫県立舞子高等学校写真
環境防災科が取り組んでいる校外学習,国際交流,防災教育,特別支援学校交流,ボランティアといった幅広い活動の紹介がありました。特に地域との連携や熊本地震での活動などに詳しく報告がありました。また,防災・減災活動全般についての報告や阪神大震災をどのように伝えていくかという問題提起もありました。
・神戸大学附属中等教育学校
仙台交流プログラムの内容と,DR3プロジェクト(震災,復興,減災,レジリエンス)についての説明がありました。減災アクションカードゲームについては地元小学校での実施報告や,神戸編の作成計画などについて報告がありました。
・兵庫県立芦屋高等学校
シミュレーションソフトを使った住民の避難行動と津波を想定したモデルケースについての発表がありました。発災20分後には避難が間に合わず津波に巻き込まれる住民が多数発生することなどが発表されました。これらのことから,シミュレーションに伴う住民と共同した避難訓練の様子が報告されました。
・新潟県立新潟県央工業高等学校
平成16年の新潟・福島豪雨での被害の様子や都市防災コースの紹介がはじめに行われた。防災活動の実際として,防災キャンプの取組として非常食体験,プロジェクトアドベンチャー,避難所体験,防災フォーラムなどの様子が報告されました。
また,防災行事の取り組みや地域住民への啓発活動,防災フォーラムの様子が報告されました。
・宮城県石巻西高等学校
東日本大震災当時の様子や文化祭での前校長モザイクアート,モニュメント設置の話がありました。現在は震災を語り継ぐ活動や防災カレンダーの作成。防災交流ボランティア活動などについての報告がありました。
・多賀城市立東豊中学校
写真 『みやぎ防災教育副読本』,『多賀城市防災教育副読本資料』を用いた授業展開や,「命を守るマップづくり」,「地区調査」,「多賀城市総合防災訓練」などについての発表がありました。また,防災に関する詳細なアンケート調査のまとめについての報告がありました。
・宮城県多賀城高等学校
災害科学科での野外実習などの取組の様子や生徒会が行っている波高聞き取り調査やボランティア活動,生徒間交流についての報告がありました。
(3) ポスター発表
ポスター発表では,口頭発表で紹介された活動の様子を中心に各校からの発表がありました。口頭発表で興味の持った分野について,参加者がその詳細説明を受け,それに対しての質疑という形式で進められました。
(4) 交流会
懇親会では,「デートゲーム」という交流ゲームを通して,参加者が他校の生徒と情報交換を行いました。それまでの発表という堅い形ではなく,それぞれの学校の様子や,今取り組んでいることなどについて情報交換を行いました。
3月5日
ワークショップに先立ち,今村文彦東北大学災害科学国際研究所所長と和田正春東北学院大学教養学部教授にご挨拶をいただきました。
(1) ワークショップ
ワークショップは中学生,高校生の混合グループ編成とし,災害が起こる「もし24時間前に戻れたなら」ということで話し合いを行いました。条件設定としては高校生の自分だけが災害が来ることを知ることができたらという共通項目の他には住んでいる場所,季節,時間をグループ毎に異なる設定としました。
前日の交流会のせいもあってか,活発な意見交換がなされました。防災・減災について意識の高い生徒のためか,場面で起こりうる危険性やその予防方法についても細かなところまで意見が出されました。特に災害弱者と呼ばれる高齢者,身体障害者,妊婦などの避難についても配慮がなされる話し合いがもたれました。
ワークショップに関しては,いづれの指導教員からも多賀城高校の生徒のファシリティト役についてお褒めの言葉をいただきました。ともすると散漫になりがちなワークショップのまとめについて,方向性を示しながら議論をリードしていったとのコメントをいただきました。
また,生徒の感想では東北の復興途中の様子を聞くことができたこと,仮設住宅,復興住宅についての課題,今後起こりうる災害にどのように備えていけば良いのかだけではなく,レジリエンス・復元・復興という観点を入れた備えが不可欠であり,これらを考えることが私たちの役割であるとの意見もありました。
(2) まとめ
写真 ワークショップのまとめとして野澤令照宮城教育大学教授からコメントをいただきました。ワークショップでの視点の的確さをどのグループについても褒めていただき,さらには宮城県内で被害が少なかった事例や復興において良い事例などの紹介などもありました。地域コミュニケション力の向上や高校生,中学生が持っている力の活かしかたなどについて助言をいただきました。
(3) 被災地案内(まち歩き)
昼食後,県外からの参加者を中心に多賀城高校生徒がガイドする被災地案内を行いました。バスの車窓から七ヶ浜町の国際村や仮設住宅,そして菖蒲田浜の防波堤などを見学しました。その後,イオン多賀城店で一行は下車し,iPadを用いた当時の映像,画像と合わせながら,波高標識を辿る「まち歩き」を行いました。
「まち歩き」では被災直後の様子,七ヶ浜町の復興途中の様子や生活環境の変化,多賀城市の復興までの過程や復興住宅の話などについても考える内容となっていました。特に被災地を高校生自らがガイドし,単に津波の恐ろしさを伝えるのではなく,都市型津波の特徴や地理・地形的な自然科学的側面,多賀城の史跡の解説など人文・社会科学的な側面,加えて復興の過程と課題などについて携帯タブレットに入れたアーカイブを使用しながら案内する姿は未来志向の新たなタイプの語り部であると感想をいただきました。
ゴールの多賀城駅では皆で別れを惜しみ,来年度の再会を誓って解散となりました。
【本件に関する問合せ先】
多賀城高等学校
教頭 佐々木
Tel:022-366-1225
E-mail:
URL:http://www.tagajo-hs.myswan.ne.jp/