2018年8月の記事一覧

平成30年度 岩手大学アカデミックインターンシップ

 岩手大学理工学部において平成30年度岩手大学アカデミックインターンシップを実施しました。 

岩手大学理工学部アカデミックインターンシップは,進路指導の一環で,本校生徒を大学の研究室で受け入れていただき,生徒自らが主体的に大学での日々の学びや研究活動に触れる体験をする機会として平成27年度から実施しているものです。昨年度からは,岩手県内を中心とする,6つの高校と合同で実施しています。

 8月7日(火),8日(水)1泊2日の日程で2学年の理系希望の生徒11名が参加しました。大学での学びについての講義,研究活動の体験,先輩たちとの懇談を通して,大学における研究活動へ理解を深めることができました。

はじめに,理工学部の船崎健一学部長より,大学での学びとは何か,基調の講義を頂きました。そして,電気電子通信コースの高木浩一教授より「高電圧プラズマの農水食産業利用」というテーマでミニ講義を受講しました。

その後,自らが希望した生命コース,数理・物理コース,マテリアルコース,電気電子通信コース,機械科学コース,社会基盤・環境コースの6つに分かれ,それぞれの研究室に移動しました。

 生命コース・・・プラスアミドの少量調製,制限酵素による切断開始などを行いました。

 数理・物理コース・・・超伝導,素粒子,フランクヘルツの実験などを行いました。

 マテリアルコース・・・身近な金属や合金の化学組成や結晶構造について実験を行いました。

 電気電子通信コース・・・電気,エネルギーについて講義を受講した後,各種の発電でのエネルギー変換効率について実験を行いました。

 機械科学コース・・・ロボットの組み立てやプログラムの作成,筋電の応用について各種の実験を行いました。

 社会基盤・環境コース・・・「橋」の建設について講義を受講した後,グループに分かれて,話合いを行いながら実際に設計を行いました。

数理・物理コース

機械科学コース

 1日目の研修後は,高木浩一教授,三浦健司准教授から,本校単独で,太陽光パネルの起電力測定の実験を指導していただき,得られたデータの処理方法を通して数学の重要性を学びました。また,本校OBの総合科学大学院理工学専攻の山田さん,さらには久保さんから大学での生活や高校時代のお話をしていただくなど貴重な体験ができました。

本校OBからの講話

 2日目もそれぞれが選択したコースのプログラムを継続して行い,船崎健一学部長より2日間の講評と修了証書をいただきました。ご尽力下さいました皆様ありがとうございました。

※ 参加生徒の感想

・ もの作りにおいては,完成させ使ってもらうことで何をしたいのか,何ができるのか,それが社会に出て社会はよりよくなるのか,というように明確な目標を持ち,そこまでの筋道を具体的に考えることが大切なのだ,ということを学んだ。そしてこのことは,もの作りだけでなく,何事にも当てはまることなのだ,と感じた。これから勉強でも明確な目標を設定し,それにたどり着くまでも具体的に細かく考え,成績を上げ,今の最大の目標である大学進学を実現できるようにしたい。

・ 今回のアカデミックインターンシップで,視野を広げることの大切さを学んだ。今回を活かし,「本を読む」「気になったら調べる」を自分の中のルールとして生活していきたい。プログラムの内容は難しかったが,これから再度振り返りながら,学習や生活に活かしていきたい。今まで様々オープンキャンパスに参加したが,実験室などの施設を一番多く見学することができた。今回のアカデミックインターンシップでの体験を元に,今後の進路選択に活かしていきたい。

平成30年度 宮城大学アカデミック・インターンシップ

 平成30年8月8日(水)に,宮城大学アカデミック・インターンシップが宮城大学大和キャンパスで行われ,本校から2年生19名が参加しました。
 「アカデミック・インターンシップ」とは,高校生が大学での研究活動を具体的に体験するためのイベントで,この経験を通して,高校での学習意欲の向上や進学に対する明確なイメージ化が得られるような機会になることを目的に開催されるイベントです。本校が参加して3年目になります。
 8月8日(水),9日(木)と2日間実施の予定でしたが,残念ながら台風の影響で,8日(水)のみの実施となってしまいました。内容は,以下のとおりです。


2018年8月8日(水)日程

12:30       宮城大学各自集合

13:00~13:15 開会行事
            「アカデミック・インターンシップの意義」 川村  保 教授

13:15~15:00 講座①
            「高校時代からの科学的な健康・体力づくり」 河西 敏幸 教授

15:10~16:50 講座②
            「この橋,渡ら『ざる』べからず」 三浦 幸平 准教授

16:50~17:15 閉会行事(修了証授与)

17:15       終了 各自解散

(写真)開会行事の様子

講座①「高校時代からの科学的な健康・体力づくり」 河西 敏幸 教授

 幼少期から高校時代の誤ったダイエットやトレーニングは,将来的な健康生活に大きく長く影響することがあるそうです。食事コントロールや適度な運動をしているつもりなのに「体型が崩れていく」,「体力(運動能力)が上がらない」といった場合,その方法は科学的に正しくない,または今の自分に合っていないといえるようです。河西教授の講義では,さまざまな最新理論や実践例などから,その人にとって最適な健康・体力づくりのヒントをいただきました。非常にユーモアあふれる先生で,90分の講座があっという間でした。

(写真)講座①「高校時代からの科学的な健康・体力づくり」 河西 敏幸 教授

 

講座②「この橋,渡ら『ざる』べからず」 三浦 幸平 准教授

 18世紀のケーニヒスベルクという町に7本の橋があり,「この7つの橋を,全て一度ずつ渡って元の場所にもどれるか?」という問題を解決した,オイラーによるグラフ理論における定理を,本当に詳しく教えていただきました。
 この数学的な内容を借りて,「抽象的に考えることの利点,高校までに学ぶことが自分のアイディアを表現するためにいかに必要であるか,いかに大学の学びの基礎であるか」ということについてユーモアを交えてお話いただきました。難しい数学も,先生のお人柄と,「解答(正解)ではなく,答え(自分の考え)を書きなさい。間違ってもいいから」との言葉で,リラックスして講座を受けられました。

受講生徒の感想
 私は今回宮城大学AIに参加させていただきました。この活動に参加することを希望したのは,宮城大学事業構想学群で自分の将来の目標を実現させるために,自分のスキルを伸ばしていきたいと考えたからです。
 宮城大学の施設はとても充実しているように感じ,別の世界にいるような気分になりました。
 講義は保健体育と数学の2コマを受講させていただきました。1コマ目の保健体育は,高校までの運動中心の体育と違って,体のメカニズムを熟考したり,ほんの少しの身体の動かし方で自分たちの身体のどう動くのかを知ることができました。自分は運動部に所属しているので,トレーニングのメニューや食事による体重増量のための栄養摂取に,この講義で学んだことを生かしていこうと思いました。
 2コマ目の数学では,高校までの答えを出すためだけの数学ではなく,答えよりもその答えを深く追求したり,課程を大切にすることの大切さを学びました。高校の知識を使っていて,慣れている部分と,問題の与えられ方の形式の違いの部分や,経験している内容とそうでない内容を実際に学習できたことは,このAIで一番良い経験だったと思いました。
 今回のAIを通して,大学のホームページやパンフレット等だけを見ても感じられなかったことを自分の目で見て,聞いて,雰囲気さえも感じることができました。また,いろいろな話を伺ったり,宮城大学生を見て,今後の学校生活,受験勉強のモチベーションが高まりました。今回のAIを企画していただいた高校・大学の先生方,本当にありがとうございました。

福島大学アカデミックインターンシップ

 平成30年7月31日に,福島大学人文社会学群人間発達文化学類アカデミックインターンシップが行われ,2学年の生徒24名(男子10名,女子14名)が参加しました。

 大学での学びを試行的に体験することを通して視野を広げ,学習意欲や進路意識を高めることを目的とする本取り組みは,福島大とは今年度が初めての実施となります。

 

 午前中は,鍵和田賢先生の講義「教会建築から読み解くヨーロッパの歴史」を受講しました。宗教改革に伴い複数の宗派が成立した16世紀の西ヨーロッパキリスト教世界の様相を,絵画や版画などの非言語情報を示しながら『世界史B』の知識と関連づけて確認した上で,教会建築に刻まれた宗教改革前後の宗派の,対立と共存の歴史を御講義くださいました。生徒達は,細部に注目して問いを発見し,歴史の大きな物語を編む歴史学の面白さや,大学における研究の意義の一端を体感することができました。

 午後には,中村洋介先生の講義「太平洋島嶼国における災害対応力・復元力の日本への導入」を受講しました。2013年3月に中村先生が実際に行ったソロモン諸島での現地調査のお話,ネンドー島の住民の多くが津波から逃げられた原因の分析,今後の防災協力への提言等は,学校設定科目「くらしと安全A」「くらしと安全B」「情報と災害」を学ぶ生徒達にとって,「自然災害等の現状,原因及び減災等について理解」を深め,首都圏直下型地震や南海トラフ地震,利府-長町断層に起因する地震等,現在及び将来に直面する災害に,どのような意志決定や行動選択,備えをするべきかを考える機会となりました。

 その後,倫理学の小野原研究室,社会学の牧田研究室,自然災害科学の中村研究室の3研究室を訪問し,卒業論文の中間報告を主とする模擬ゼミに参加しました。生徒達は,卒業論文が形作られていく過程を目の当たりにし,高校卒業後の大学生活をイメージできたようです。

 この度,初めて,福島大学人文社会学群人間発達文化学類アカデミックインターンシップを実施するに当たり,御尽力下さいました三浦浩喜副学長,自然地理学研究室の中村洋介先生をはじめ,鍵和田先生,小野原先生,牧田先生,入試課の安斉様,そして学生の皆さん,大変お世話になりました。ありがとうございました。

【生徒の感想①(普通科)】

 福島大学の雰囲気を感じたいと思ってAIに参加しました。大学と高校はキャンパスの広さ,雰囲気,講義やゼミといった授業の内容や様子が全く違います。AIやオープンキャンパスに参加し,実際に大学へ行って,見て,体験することの重要性を実感することができました。

 参加させて頂いた3つの模擬ゼミ(倫理学,社会学,環境学)は,先生ではなく学生が主体となって行われていました。どのゼミでも自分の興味のあることをただ調べるのではなく,調べたことと社会をつなげて考えたり,比較したりしていました。また,学生同士で意見交換や質疑応答などをする姿が印象的でした。

 大学生が「模擬ゼミに参加して内容が難しいと思っても,実際は自分の好きなことを調べるから楽しい。」と言っていたので,私も,今後,自分の興味・関心のあることを意識しながら,ニュースを見たり,本を読んだりしたいと思いました。また,国内だけでなく海外のニュースも見て,比較できるようになりたいと思いました。

【生徒の感想②(災害科学科)】

[目標] ・福島大学(生)の雰囲気を確認する。

       ・防災を研究なさっている中村洋介先生に御挨拶をする。

 今回,私はこの2つのことを目標に掲げて参加し,いずれも達成することができた。想像していたよりもずっと自由で,学生の皆さんは皆優しく,接しやすかった。ゼミをする教室は,ゼミ毎に雰囲気が異なっていたが,いずれも学生の皆さんが主体となって活動していた。

 今回,このAIに参加して,福島大学をより身近なものとして感じることができた。「大学での学びは楽しそうだな。」と思った。この夏,課外の活動が多く,勉強の時間を確保するのが少し難しい毎日ではあるが,今日の経験をこれから先の進路,将来の職業に活かすためにも,日々の勉強を頑張りたいと思う。