SSH4年次(2021年度)

SSH4年次(2021年度)

つくばScience Edge 2022 に参加しました

1 目 的

 全国規模の研究活動発表会の一つである「つくばScience Edge 2022」に参加し,ポスター発表や各種サイエンスワークショップでの体験を通して,先端科学技術に関する知見を深めるとともに,思考力,判断力,表現力の向上を図りつつ,今後の進路選択の一助とする。

2 期 日  令和4年3月25日(金)~26日(土) 1泊2日

3 会 場  つくば国際会議場(茨城県つくば市)

4 ポスター発表題

 2年災害科学科 3題

  蔵王火山シミュレーション

  河川浸食と私たちができる防災対策

  都市型津波と対策について ~津波発生装置を用いた津波シミュレーション~

 2年普通科 4題

  髪の毛の不思議

  果物で発電

  大根の辛みと抗菌作用

  なぜスロープは採用されにくいのか

 科学部 3題

  未知なる生物「マクラギヤスデ」の生息北限を探る

  クリオネ観察日記 〜長生きさせるための条件〜

  環境調査活動から学ぶ環境保全の取り組み

5 実施内容・評価

 「つくばScience Edge2022」に全国各地の19都道県より,全147チーム延べ567名(2日間計)の参加があった。本校から10題の発表を行ったが,全国規模の大きな発表会への参加と言うことで,参加した生徒は会場の規模に圧倒されながらも,多くの参加者と活発な意見交換を行った。参加生徒は個々に大きな経験を得ることができた2日間となった。

 6 生徒感想

■普通科2年 安達啓太(仙台市立中野中出身)

 様々な学校の人と意見交換することで,自身の研究での課題や,参考になることを他の研究発表から見つけることができた。今回の経験は将来の役に立つものだった。

■普通科2年 柏木幸男(塩竈市立玉川中出身)

 今回参加したことにより,多くの生徒や講師の方より意見をいただくことができ,自身の実力の無さと実験の発展性を深く知ることができました。これからも精進していきたいと思います。

■災害科学科2年 三浦誠鈴(仙台市立館中出身)

 自分の発表はもちろんのこと,他県の高校生の研究を見て,理系の面白さを知り,視野を大きく広げる良い機会だった。発表するまでに大変なこともたくさんあったが,参加して本当に良かった。

災害科学科生徒が『ぼうさいこくたい2021』に参加してきました。②

ぼうさいこくたい2021 報告②

 

ぼうさいこくたい2021の2日目には本校の体操服を作ってくれている株式会社明石スクールユニフォームカンパニーさんのセッション『こどもが夢中になる防災教育〜主体的・対話的深い学びの具体的展開〜』に本田このみと若山亜莉沙が登壇し,これまでの学びや災害科学科に入った理由などを説明し,前林清和教授(神戸学院大学)や諏訪清二先生(防災教育学会会長),榊原隆様(上記会社第二販売部部長)とともに防災教育を実際に受けている立場から対談を行いました。多くの人が聴いてくれている中でも,堂々と自分たちの考えを伝え,ディスカッションを行うことができました。

 

 

本田このみ(災害科学科2年)

普段は会うことができない災害に携わる人に自分たちの取組を伝えることができて嬉しかったです。2日目のセッションでは,自分の意思をはっきりと伝えることができ,それに対して登壇者の方々がしっかりと目を見て聞いてくれたし,様々な視点から意見を頂くことができました。自分の考えをもっと深めて行動につなげていきたいと強く思いました。2日間の学びをこれからの課題研究や学習,進路に活かし,繋げていきたいと思います。

 

 

若山亜莉沙(災害科学科2年)

最初はすごく緊張していたけど,登壇者の方々の話を聞いて,また違う視点から物事を見ることができました。前林教授や諏訪先生,榊原さんが私の話も丁寧に最後まで聞いてくれ,自分たちの活動を認めてもらえたように感じて嬉しかったです。様々な質問に答えたり,こちらからも質問をしたりすることで,自分の考えを表現する力や対応力が鍛えられたと感じます。この経験をこれからの学びや進路実現につなげていきたいです。

災害科学科生徒が『ぼうさいこくたい2021』に参加してきました。

ぼうさいこくたい2021 報告①

令和3年11月6日(土)〜7日(日)ぼうさいこくたい2021に災害科学科2年生4名が出場してきました。全国から非常に精力的かつ先進的に防災・減災・復興に取り組んでいる研究機関や官公庁省,NPOをはじめとした諸団体や企業が集まり,それぞれの活動を報告し,学ぶことのできる場です。その中に,多賀城高校が唯一の高校生として本校の取組を発表してきました。研究者や企業の中心となる方々に加え,多くの一般の方にも本校の取組を聞いていただき,高校生だからこそできること・伝えられることを生徒たちが精一杯伝え,対話を通して深く考える機会となりました。各プレゼンブースも非常に参考になる取組ばかりで,改めて防災・減災・復興への取組を多くの人々とともに進めていくこと,さらに広げていくことの重要性を再認識させられました。

 

玉川淳之介(災害科学科2年)

日頃当たり前に行なっている災害科学科の活動は,他の人から見ると特別なもので,これからの防災・減災へとつながる非常に重要なものなのだと実感しました。企業などのブースでは,今まで知らなかった防災への取組や製品があり,災害科学科の学びにとって大きなプラスになったと感じます。

 

菅原啓太(災害科学科2年)

今回,ブースで2日間発表して,自分たちの活動は全国的にも珍しく,改めて自分たちの活動はこれから多くの人のためになるものだと感じました。しかし,専門家のセッションや他のブースの説明から,まだまだ自分がやらなくてはいけないこと・学ばなければならないことが多いことも実感しました。2日間で新しく知ったことや興味深いと感じたことをこれからの学びや課題研究に活かしていきたいです。

JR東日本 宮城野運輸区における津波避難に対する意見交換会

災害科学科1,2年生10名が,令和3年8月10日に東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)宮城野運輸区の協力により,電車に乗っている時に地震・大津波警報が発令された場合の避難方法についての意見交換会を行いました。

 まず,JR東日本の安全対策を職員の方から紹介いただき,本校災害科学科の取組を発表しました。それらの取組をもとに,高校生から率直な質問をさせていただきました。JR東日本宮城野運輸区には本校の最寄り駅である下馬駅があり,通学等で日常的に利用させていただいている生徒も多くいたため,最初は緊張した様子だった生徒たちも次第に防災や減災の視点からの質問も出るようになり,休憩時間にも各自で職員の方と意見交換を行いました。

 次に,地震・大津波警報が発令されたときを想定した電車からの避難訓練にも参加させていただきました。組み立て式の階段を利用した降車だけでなく,電車から線路に飛び降りる避難方法も教えていただきました。生徒から「電車から線路までは思っていた以上に高さがあった。しかし,きちんとした降り方をすれば恐怖感はなく降りることができた。」などの意見があがりました。また,「地震・大津波からの避難では電車の運転手と車掌の2名で多くの乗客を避難させるため,率先避難者と呼ばれる一般の乗客の協力が必要です。そういった避難を率先して実行できるように避難方法を考えていくことに加え,自分の住む地域の避難場所はどこなのかといった地域の理解が必要だと感じた。」といった意見もあがりました。

 最後に,シミュレーターを利用した運転体験・車掌体験をさせていただきました。

 日頃なかなか考える機会がない,電車に乗っているときの津波避難の方法を様々な経験を通して幅広い視点から考える貴重な機会になりました。この意見交換会で感じた課題や災害を学ぶ高校生ならではの気づきを課題研究でさらに深め,次回の意見交換会で提案します。

 この場を借りて,貴重な機会をいただいたJR東日本宮城野運輸区の関様をはじめ,高校生の素朴な質問にも丁寧にあたたかく答えてくださった職員の皆様に感謝申し上げます。

令和3年度東北地区サイエンスコミュニティ研究校発表会

 

1 目  的

 東北地区6県のSSH指定校など,自然科学等の課題研究に取り組んでいる高校生が,授業や部活動で取り組んできた研究成果を発表し,発表者との対話を通じて相互評価を行うことで研究のレベルアップにつなげる。さらに,新たな価値を創造し,国際的課題を解決する人材となる高校生らの研究活動を支援する地域の体制づくりに繋げる。

2 期  日 令和4年1月22日(土) 9:00~16:00

3 会  場 オンライン開催

4 口頭発表題・参加生徒 大根の辛みと抗菌作用 普通科理系2年5名

5 実施内容・評価

 研究の成果を,東北6県のSSH指定校の生徒に向けて発表することで,プレゼンテーション力や多角的な視点で見る力を養うことができた。また,質疑応答により研究を見つめ直し,そこから新たな課題を発見する良い機会となった。

6 生徒感想

■     普通科2年 渡邊 優奈(利府中出身)

大学教授の方々からの質疑を受け,自分たちの研究に新たな視点が生じ,研究に対する意欲がさらに湧きました。今回受けた質問や疑問に対して,より研究を深めて解決していきたいと思います。

■     普通科2年 富松 那心(多賀城二中出身)

発表会に参加して,学びを深める良い機会になりました。自分たちが発表したときには,自分たちでは気づかなかったことに気づかされました。また,他の学校の発表からもスライドのデザインやグラフや表の使い方など,多くのことを学ぶことができました。

 

実習交換「伊豆沼研修」(北海道滝川高校道外研修「東北巡検」)

1 目 的

(1)ラムサール条約に指定されている伊豆沼・内沼保護区におけるフィールド調査により,人と自然環境の共生の在り方や保全の取り組みを学び,自然環境を科学的に見る能力を養う。

(2)自然科学と災害,社会と環境など多角的な視点から物事を考える能力を養い,科学的リテラシーの向上を図る。

(3)高校生,研究者,自然保護に関わる人々との交流を積極的にはかることで発信力を磨き,よりよい社会の形成者としての資質を磨く。

(4)県外校との交流を通じて,コミュニケーション能力と今後の学習や探究活動へのモチベーションを高める

 

2 主 催  北海道滝川高等学校

 

3 日 程  2022年1月5日(水) 蕪栗沼,化女沼,伊豆沼ウェットランド交流館

       2022年1月6日(木) 伊豆沼,宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター

 

4 参加生徒 災害科学科1学年 4名

       普通科  1学年 9名

 

5 対応者 北海道釧路湖陵高等学校     教諭      長澤 秀治 氏

           同          教諭      藤田 秀樹 氏

      宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団 総括指導員   藤本 泰文 氏

      大崎市役所産業経済部      自然環境専門員 鈴木 耕平 氏

 

6 実施内容・評価

 初日は,マガンやヒシクイを中心とした渡り鳥の観察とガンの「ねぐら入り」の観察,そして交流会を行った。蕪栗沼や化女沼に加えた広大な水田地帯における野鳥と人々のくらしの関連性と問題点について学ぶことができた。交流会では,それぞれの学校や地域の特徴について意見交換を行った後,学校生活や研究活動に関して話し合うなど,充実した内容であった。

 2日目は,-7℃の厳しい寒さの中,伊豆沼においてガンの「ねぐら立ち」を観察した後,クサレダマ(湿性植物)の移植作業と冬眠昆虫の採集を行った。森と湿原,そして人の暮らしとの接点を学ぶことができた。

 

7 生徒感想

■ 普通科1年 文屋 咲良(岩切中出身)

 今回,北海道滝川高校の皆さんと巡検を一緒に行い,伊豆沼や蕪栗沼,化女沼を巡りマガンやハクチョウを見る機会が得られて,とても勉強になった2日間になりました。それぞれの沼に特徴があり,伊豆沼では約10万羽のマガンが暮らしていることにとても驚きました。その他にも,自分の知らなかった渡り鳥の習性や環境保全の実際について詳しく知ることができて,とても充実した巡検になりました。今回の巡検で得た体験や知識をこれからの課題研究に生かして,課題を掘り下げて自分で解決し,周囲を納得させられるような研究にしたいと思いました。

■ 普通科1年 吉田 理桜(塩釜一中出身)

 巡検に参加して特に印象に残ったことは,伊豆沼でのガンの「ねぐら立ち」の観察です。餌を求めて近くの田んぼへとガンが一斉に飛び立った時には,空一面をガンが覆いとても迫力があり感動しました。その後行われた講話では,伊豆沼と隣接する内沼の課題について学びました。この地域が抱える課題は他人事ではなく,私たちも考えなければならないことばかりだと思いました。また,北海道滝川高校の生徒さんとも交流を深めることができ,この2日間は本当に充実したものでした。今回の巡検で学んだことは,必ず次に生かせるようにしたいです。

第21回環境甲子園受賞授与式

1 主   催  NPO法人環境会議所東北

2 日   程  令和3年12月18日(土)

3 会   場  TKPガーデンシティPREMIUM仙台西口6D

4 発表題・参加者

  ★奨励賞

  「SDGsの取組 マクラギヤスデの生息北限と未知なる生態に迫る」

  〈科学部〉3名(普通科1年2名,災害科学科1年1名)

5 実施内容・評価

 本校科学部のチームは,地球温暖化とマクラギヤスデの生息範囲に関する調査・研究をレポートにまとめ応募したところ,奨励賞を受賞しました。全国18校24件の応募の中からの受賞となります。授与式で行われた受賞校によるプレゼンでは,研究における着眼点や研究手法など,参加した生徒は大いに刺激を受けました。

6 生徒感想

■災害科学科1年 池田 蓮(多賀城中出身)

今回授与式に出席して,他校の生徒達が工夫した点や大変だったところを知ることができました。また,自分たちも同様に工夫した所などを話し,その中で真夏にサンプリングした時の体験談を話した時には,会場の皆さんに共感してもらうことができました。講評の際には,「これからの研究に期待します」とのお言葉をいただき,今後も研究に励んでいきたいと思いました。今回の経験をこれからの活動に活かしていきたいです。

第44回日本分子生物学会年会・高校生研究発表

1 目  的  科学部において,日頃取り組んできた研究の成果を発表し,参加者との対話を通じて相互交流を行うことで,

       発信力やコミュニケーション力の向上と,探究心の一層の伸長を図る。

2 主  催  MBSJ 日本分子生物学会

3 日  程  2021年12月3日(金) 13:00~14:15口頭発表,14:15~15:30ポスター発表

4 会  場  パシフィコ横浜 展示ホール(神奈川県横浜市西区みなとみらい)

5 発表題・参加者

       『未知なる生物「マクラギヤスデ」の生息北限を探る』

       〈科学部ヤスデ班〉3名(普通科1年2名,災害科学科1年1名)

6 実施内容・評価

    調査・研究に取り組んできた成果を学会で発表する機会を得ると同時に,研究者との意見交換を通じて新たな課題を発見することができた。大規模会場で開催された本大会において,一線で活躍する研究者を前にした口頭発表及びポスター発表で経験した体験は,参加した生徒にとって非常に多くの情報をもたらした。

7 感  想

■普通科1年 濱野 瑞希(中野中出身)

    発表本番では,それまで練習を積み重ねてきたこともあり,改善点は多くあるものの伝えたいことを相手に伝えることができたと思います。早口になってしまった点や質問に対して積極的に答えられなかった点など反省すべきこともありましたが,様々な研究発表を見て新しい知識が身に付き,ポスターへのまとめ方などを学ぶこともでき,学会への参加は自分にとってとても大きな経験となりました。

■普通科1年 鈴木 侑女(中野中出身)

    他の高校生や大学生などの発表を聞いてみると,どれも興味が湧いてくる魅力的な研究がたくさんありました。発表の仕方,例えば間のとり方や話す速さなど参考にしたと思います。また,ポスターの構成の仕方や表現方法を見て,良かった点を自分たちのポスターづくりに取り入れたいと思います。質疑応答で多くの研究者からいただいたアドバイスについては,今後じっくりと考えより良い研究になるようにつなげていきたいと思います。

■災害科学科1年 池田 蓮(多賀城中出身)

 口頭発表の時には,多少早口になってしまいましたが,はっきりと研究内容を伝えることができたと思います。ポスター発表では,スムーズには話すことができ,質疑応答の際にも自分なりにきちんと応じることができたと思います。学会で発表できたこの経験から,自分たちの研究と発表する技術に自信がつきました。今回学んだことをこれからの活動に活かしていきたいです。

災害科学科2年生が栗駒・気仙沼巡検に行ってきました(10月27日~29日)

災害科学科2年生がSSHスキルアップ研修Ⅱ「栗駒・気仙沼巡検」として,岩手宮城内陸地震の被災地である栗原市・一関市に加え,気仙沼市・南三陸町で東日本大震災に対する理解を深めました。

<1日目>

東北大学の高嶋礼詩教授を講師に迎え,岩手宮城内陸地震を扱いました。栗原市ジオパークビジターセンターを訪問後,ジオガイドさんの案内によって荒砥沢ダムや崩落地を訪問し,発生から13年を経た岩手宮城内陸地震を学びました。午後に訪れた祭畤震災遺構では,地震によって大きく破壊された橋を目の当たりにし,地すべり災害がどのような背景によって引き起こされたのか,現地で高嶋先生から解説いただいた後,夜は仙台近辺の歴史を振り返り,どのような過程を経て岩手宮城内陸地震に至ったのか,そして過去のカルデラ噴火による火砕流堆積物が広範囲で滑ったことに起因することを学びました。

<2日目>

気仙沼市に移動し,気仙沼市復興祈念公園から内湾地区の位置関係を把握した後,リアス・アーク美術館に移動。館内見学後,山内宏泰館長との意見交換会を行いました。自身が抱いた疑問・考えをアウトプットし,館長との議論は予定の時間を超えるほどでした。昼食後,内湾地区を散策。この土地の文化や産業に触れる時間としました。

午後は気仙沼市東日本大震災津波伝承館へ移動し,芳賀一郎先生からの講話の後,気仙沼向洋高等学校KSC「向洋語り部クラブ」の皆さんに館内を語り部として案内していただきました。本校も「まち歩き」を実施していますが,震災を語り継ぐ活動に取り組む同年代がここにもいることに,背中を押された様子でした。

夕食後は気仙沼市まち・ひと・しごと交流プラザ(pier7)を会場に,気仙沼市大浦地区での防災活動に取り組む吉田千春さんを講師に招き,災害時の人権がいかに大切かを考える場を持ちました。少子高齢化が進む地域で実践してきた防災活動とは,どのような配慮があって可能になっていったのか,吉田さんの取り組みを知るとともに,車座となって議論し互いの考えを共有する活動を通して,今後高齢化が進む地域で防災減災を考えるにはどのような視点が必要かを学びました。

<3日目>

朝食前に希望者を対象として,魚市場見学を行いました。早朝にもかかわらず14人の生徒が参加し,講師の阿部正人先生の案内のもと,早朝から鰹の水揚げの様子を見学しました。水産業の片鱗を垣間見るとともに,この地域がいかに漁業とともに栄えてきたかを肌で感じることができました。

朝食後は大谷海岸・小泉海岸2つの防潮堤に実際に立ち,地域住民との合意形成の末に砂浜を残すことに成功した大谷海岸防潮堤,後背地がそのままとなっている小泉海岸防潮堤の様子を対比し,復興とはその地域に人が住まうことが前提であり,その議論にいかに地域住民が参画できるかの重要性を考えました。

午後は南三陸町語り部であるホテル観洋・伊藤 俊さんの案内により,南三陸町震災遺構高野会館,南三陸町防災庁舎跡を巡りました。特に高野会館は実際に内部へ入って細部も見学し,現在ではなかなか見ることが難しい「全く手の加えられていない10年前そのままの遺構」に圧倒されるばかりでした。

午後はホテル観洋での昼食後,ホテル内ホールで振り返りのワークショップを展開しました。阿部先生のファシリテーションのもと,これまでの行程を振り返り「これからどんな課題意識を持って取り組んでいくかを考える」をテーマに,ペアトーク・OST(オープンスペーステクノロジー・一人ずつ30秒プレゼンを通して,自らの学びの振り返りと今後への決意を共有しました。

2泊3日という長丁場でしたが,二つの災害を科学的・社会科学的に捉え,災害そのものへの視点は単一なものではないことを改めて学ぶ場となりました。今後の災害科学科諸君の飛躍に今回の巡検が強き足がかりとなって,防災・減災・伝災を学んだ者として未来を担う有為な人材になってほしいと願っています。

 

<荒砥沢ダム上方・冠頭部でジオガイドさんから学ぶ(10/27栗原市)>

<荒砥沢ダム上方・冠頭部でジオガイドさんから学ぶ(10/27栗原市)>

 

<東北大学・高嶋先生の講話(10/27一関市文化センター)>

<東北大学・高嶋先生の講話(10/27一関市文化センター)>

 

<「東日本大震災の記憶と津波の災害史」見学(10/28気仙沼市リアス・アーク美術館)>

<「東日本大震災の記憶と津波の災害史」見学(10/28気仙沼市リアス・アーク美術館)>

 

<気仙沼向洋高等学校語り部とともに(10/28気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館)>

<気仙沼向洋高等学校語り部クラブの皆さんとともに(10/28気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館)>

 

<吉田千春さんによる講話・ワークショップ(10/28気仙沼市ひと・まち・しごと交流プラザ)>

<吉田千春さんによる講話・ワークショップ(10/28気仙沼市ひと・まち・しごと交流プラザ)>

 

<海水浴場で名高い大谷海岸・大谷海岸防潮堤を行く(10/29大谷海岸防潮堤)>

<海水浴場で名高い大谷海岸・大谷海岸防潮堤を行く(10/29大谷海岸防潮堤)>

 

<小泉海岸防潮堤に立ち,阿部先生とともにその規模をこの目で確かめ,考える(10/29小泉海岸防潮堤)>

<小泉海岸防潮堤に立ち,阿部先生とともにその規模をこの目で確かめ,考える(10/29小泉海岸防潮堤)>

 

<一切手が加えられていない,高野会館内部で伊藤 俊さんの説明。あの日ここは何が起こったのかを聞き,考える(10/29南三陸町震災遺構・高野会館)>

<一切手が加えられていない,高野会館内部で伊藤 俊さんの説明。あの日ここは何が起こったのかを聞き,考える(10/29南三陸町震災遺構・高野会館)>

 

<南三陸町防災対策庁舎跡を背後に(10/29南三陸町震災復興祈念公園)>

<南三陸町防災対策庁舎跡を背後に(10/29南三陸町震災復興祈念公園)>

 

<振り返りのワークショップ(10/29南三陸ホテル観洋)>

<振り返りのワークショップ(10/29南三陸ホテル観洋)>

 

<今回の巡検を通して今後自分が取り組みたいことを共有する(10/29南三陸ホテル観洋)>

<今回の巡検を通して今後自分が取り組みたいことを共有する(10/29南三陸ホテル観洋)>

 

<参加生徒の振り返りレポート>

<参加生徒の振り返りレポート>

アースサイエンスウィークin仙台・高校生発表

1 目  的

 アメリカ地球科学研究機関AGI(American Geosciences Institute)は,市民が地球科学や自然科学の理解を深め,惑星の進化を学び,地球環境史を認識するために,国内外のイベント「Earth Science Week」を開始。2013年頃から日本地球惑星科学連合(JpGU)宛に協力についての打診があり,検討期間を経て2018年から開催している。

    本年度,日本におけるメインイベント会場で行われる高校生発表に参加することで,日頃取り組んできた研究の成果を発表し,参加者との対話を通じて相互交流を行うことで,発信力やコミュニケーション力の向上と,探究心の一層の伸長を図る。

2 主  催  アースサイエンスウィークジャパン実装委員会

3 日  程  2021年10月30日(土) 10:00~17:00

              31日(日) 10:00~17:00

4 会  場  スリーエム仙台市科学館

5 ポスター発表題・参加者

  「都市型津波と対策について」〈災害科学科〉2年4名

  「関東大震災とイチョウの防火性について」〈災害科学科〉2年4名

  「蔵王火山シミュレーション」〈災害科学科〉2年6名

  「私たちに何が出来るだろうか ~率先避難者たれ~」〈災害科学科〉2年5名

6 実施内容・評価

 災害科学科2年生19名が参加した。これまで課題研究で取り組んできたその成果を発表する貴重な機会を得ると同時に,地学分野の研究者や他校生と交流し,研究内容における新たな課題を発見したり,興味を引くポスター作成のヒントを得たりすることができた。

7 感   想

■災害科学科2年 佐々木拓夢(田子中出身)

 初めてのポスター発表であり,慣れない中での発表でしたが,回数をこなしていく度に段々慣れてきて,その発表の中で改善点も見つかるなど,とても良い経験になりました。また,質疑応答の際に自分たちが予想もしないような質問だったり,アドバイスをいただいたりしたことで,次の発表の機会にはもっと良い発表ができるような気がします。今後は研究内容を更に発展させていきたいです。

■災害科学科2年 淡谷倖(田子中出身)

 今回の研究発表を通して,自分たちの研究はもっと良くしていけると思いました。なぜならば,私は4回くらいポスター発表を行ったのですが,全ての発表で全く違う質問やアドバイスをいただき,その質問にしっかりと答えることができませんでした。この経験を今後の研究につなげ,研究を深めてきちんとした発表ができるようにしたいです。

アースサイエンスウィークin仙台 ~野々島・うみの環境しらべ隊~

1 目 的

 アメリカ地球科学研究機関AGI(American Geosciences Institute)は,市民が地球科学や自然科学の理解を深め,惑星の進化を学び,地球環境史を認識するために,国内外のイベント「Earth Science Week」を開始。2013年頃から日本地球惑星科学連合(JpGU)に協力要請があり,2018年から日本国内のイベントとして開催している。

 本年度行われるアースサイエンスウィーク・ジャパンの一環として,塩竈市浦戸諸島野々島における環境調査に参加することで,海洋ゴミの現状について学び,未来の海洋環境や自分たちの生活について考える機会とする。

2 主 催  アースサイエンスウィーク・ジャパン実行委員会

3 日 程  令和3年10月16日(土) 8:30~15:00

              17日(日) 8:30~15:00

4 場 所  浦戸諸島開発総合センター(別名:ブルーセンター)

         〒985-0193宮城県塩竈市浦戸野々島字河岸50  TEL:022-369-2240

5 参加者  災害科学科1年生及び科学部2年生で参加を希望する生徒合計9名

6 行 程  10月16日(土),17日(日) *両日同行程

        塩釜マリンゲート集合(8:30)・出発(9:30) → 塩竈市営汽船 → 野々島着(10:01)

        野々島発(14:23) → 塩竈市営汽船 → 塩釜マリンゲート着(14:54)・解散(15:00)

7 実施内容・評価

 参加した生徒は,海洋ゴミやマイクロプラスチックによる宮城県沿岸の環境汚染の特徴を,実際に塩竈市野々島の海岸における海洋ゴミの採集によってつかみ取ることができた。この経験から,日常生活と海洋との関連性を学ぶと共に,深海細菌や海洋環境における第一線の研究者による講義からも多くのことを学ぶことができた。

8 生徒感想

■災害科学科1年 佐藤 柊葵(多賀城中出身)

 世界的に話題になっている海洋プラスチックごみについて調査を行いました。野々島にある宇内浜に落ちている海洋マイクロプラスチック(MPs)を拾い,どんな素材から作られているのか調べました。

 今回の調査では,今まで深く考えていなかった海洋プラスチックごみについて知ることができ,海の現状を受け止めることができました。今後海について考える機会があれば,今回の経験を活かし,更に詳しく調べたいと思います。

■普通科理系2年 工藤 万柚(多賀城中出身)

 今回の「うみの環境しらべ隊」に参加して思ったことは,世界中で「海洋問題を解決しよう!」と声高に訴えているが,実はとても難しい課題なのだということです。海洋ごみは1年間で800万tも排出されています。そもそもごみが増え続けるのは,人がごみを視界から除くだけで安心し,処理は誰かがやってくれるものと人任せになってしまっていることが原因の1つだそうです。確かに,私も本当にごみが処理されるのだろうかと考えたことはなく,人任せになっていました。今回の体験を通じて,これからは後先を考えて行動しようと思いました。

第11回 高校生バイオサミット in 鶴岡

1 目 的

 日頃取り組んだ研究の成果を発表するとともに,大学教員や県外高校生との意見交換を通して,科学的思考力や課題発見力,課題解決力,プレゼンテーション能力の向上を図る。

 

2 主 催  高校生バイオサミット実行委員会(慶應義塾大学先端生命科学研究所,山形県,鶴岡市)

 

3 日 時  1回戦 2021年8月11日(水)

 

4 会 場  オンライン開催

 

5 発表題・参加者

  「マクラギヤスデの生態調査 ~生息の北限と未知なる生態に迫る~」

  〈科学部〉5名(普通科1年2名,普通科文系3年1名,災害科学科1年1名,災害科学科3年1名)

 

6 実施内容・評価

 高校生バイオサミットは,生物部門のみの科学発表大会であり,研究成果部門と研究計画部門からなる。参加した研究成果部門において,事前の一次審査(書類審査)を通過し,1回戦(オンライン発表)に出場した。出場した69の演題の中から残念ながら決勝進出の20チームに選ばれなかったが,研究の着眼点や豊富なフィールドワークが高く評価された。

 

7 生徒感想

■災害科学科3年 櫻井 乃綾(多賀城中出身)

 事前の書類審査を通過した研究ということもあり,どの研究発表もレベルが高く,スライドの構成や見せ方,発表の仕方などから学ぶことが多くあった。私たちの発表では伝えるべき内容をしっかりと伝え,質疑応答もしっかりできた。しかし,改善点も多くあったので,他の発表で学んだことと共にこれからの活動に生かしていきたい。

■普通科1年 濱野 瑞紀(中野中出身)

 参加校の発表は,自分が聞いたことの無い情報ばかりでとても驚いた。多くの発表を聞くことで新しい情報をたくさん得ることができたので,自分の視野を大きく広げることができた。この経験を生かして,これからの研究に励みたい。

令和3年度 スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会

1 目  的

 全国から集まったSSH校の課題研究への取組を直接見ることで,多種多様な研究と高度な取組などを体感し,科学技術に対する興味・関心を高めるとともに,この経験を学校に持ち帰り,参加者のみならず学年の課題研究への取組等に波及させることを目的とする。

 

2 主  催 文部科学省,国立研究開発法人科学技術振興機構

 

3 期  日 A日程:2021年8月4日(水)・・・物理・工学,数学・情報,地学分野

 

4 会  場 神戸国際展示場

 

5 ポスター発表題・参加者

  「都市型津波の脅威と影響」〈災害科学科〉3年3名

 

6 実施内容・評価

 本校から災害科学科3年生3名が参加した。長期間研究したその成果を発表する貴重な機会になると同時に,全国のSSH校における研究レベルの高さを実感する機会となった。残念ながら代表校に選出されなかったが,参加者は個々に大きな経験を得ることができた。

 

7 生徒感想

■災害科学科3年 秋澤綾香(塩竈市立玉川中出身)

 私達の研究に対してたくさんの方々に興味を持っていただきました。自分たちの考えを相手に伝えるということは簡単なことではありませんが,経験を積み重ねることで上手く伝えられるようになりました。また,レベルの高い発表を聞くことで,視点が斬新なこともあり視野が大きく広がりました。コロナ禍の中で発表会に参加させていただき感謝しています。

■災害科学科3年 松浦康生(利府町立利府中出身)

高校2年から始めた都市型津波の研究の集大成として,これまでにない規模の発表会に参加することができました。ポスターセッションを通して,多くの専門家や他校の生徒から,私たちだけでは思いも付かない多角的な視点からの意見やアドバイスを頂くことができ,とても有意義な時間となりました。また,他のSSH指定校のポスターを見て,着眼点が面白い研究や,同学年が行っている研究とは思えないような高度なものまで,その多様な研究内容に感激しました。人前でプレゼンができた経験を生かして,今後は大学受験やその後の進路に役立てていきたいです。

■災害科学科3年 須田心咲(利府町立利府西中出身)

 今回の発表会は,これまで参加した発表会の中でも一番大きい規模の大会でした。発表前はとても緊張しましたが,一緒に参加した他の2人の助けもあり,本番ではリラックスして発表することができました。多くの専門家の方や高校生から,私たちとは異なる視点から意見やアドバイスをいただくことができ,とても参考になりました。また,他校の発表は面白いテーマが多く,発表の仕方やポスターのレイアウトなど多くのことを学びました。これま での発表経験をこれからの進路などに活かし ていきたいと思います。

自然災害共同研究「釧路湿原巡検」

1 目  的

 「釧路湿原巡検」は,北海道釧路湖陵高等学校がSSH地域巡検として位置付けているものであり,北海道を代表する自然環境のもとで環境保全を目的とした環境調査の手法を学び,環境科学における科学的な探究手法を身に付けることを目的とする。また,本校独自に温根内ビジターセンターや猛禽類医学研究所,釧路市動物園を訪問することで,シマフクロウをはじめとした北海道固有の動物について,その形態的特徴や寒冷地における環境適応などを学び,課題研究や理科学習における自然環境の保全に関連した展開の一助とする。

2 主  催 北海道釧路湖陵高等学校

3 行  程

   2021年7月1日(木) 移動日

   2021年7月2日(金) 達古武湖森林再生事業地(昆虫班,沢班),細岡展望台

   2021年7月3日(土) 温根内ビジターセンター,猛禽類医学研究所,釧路市動物園

4 参加生徒 災害科学科2年2名,普通科2年1名

5 講 師 等 北海道釧路湖陵高等学校 教諭 玉森 一 氏 ほか

       (株)さっぽろ自然調査館 代表取締役 渡辺 修 氏 ほか

       温根内ビジターセンター 指導員 藤原 伸也 氏

       猛禽類医学研究所 獣医師 小笠原 浩平 氏,獣医師 安達 光 氏

6 実施内容・評価

(1)達古武湖森林再生事業地におけるフィールドワーク(昆虫班,沢班)

 湿原に棲息する生物の採捕とスケールの測定,種類の同定など,湿原環境の保全を目的とした科学的な調査方法を学んだ。さらには,生まれ育った自然環境を科学的に理解し,後世に残すことを目的とした環境教育の機会を与えるものとしており,自然との共存について考える機会を得た。

(2)恩根内ビジターセンターにおけるフィールドワーク

  環境省釧路湿原野生生物保護センター・猛禽類医学研究所における研修

  釧路市動物園における研修

 温根内木道では,ハンノキ林を抜けてヨシ・スゲ湿原に至る行程において,湿原における植生とそこに生息する動物を観察した。また,猛禽類医学研究所では,レッドデータにおいて絶滅危惧Ⅱ類に指定されるオオワシやオジロワシ,絶滅危惧ⅠA類のシマフクロウといった希少種の生息状況や保護活動の具体について学んだ。

 人間生活と自然との共存について,その難しさを生徒たちは直に感じ取ることができた。

7 生徒感想

▉災害科学科2年 三浦 誠鈴(館中出身)

 私たちは7/1からの3日間,北海道釧路市に行ってきました。1日目は学校から釧路への移動で終え,2日目から本格的な実習が始まりました。達古武での昆虫調査では,自然林,人工林,草地それぞれの場所に生息する虫の種類や数,さらには生息する木の種類を調査しました。宮城県には無い湿原を中心とした自然に触れることで,北海道の広大さや自然の豊かさを直に感じることができました。3日目の温根内ビジターセンターと猛禽類医学研究所での実習は,私たちが楽しみにしていた研修の1つです。釧路湿原に生息する珍しい生物,湿原の自然再生事業,そして事故による猛禽類の怪我の状況や事故を未然に防ぐための対策,シマフクロウを絶滅させないための取り組みなど,実際にお話を聞くことで多くのことを学びました。私は今回の巡検を通して,自然の良さや大切さを直に感じ,文明が発達した世の中でこれからどのようにこの自然環境を受け継いでいくか,改めてしっかりと考えていかないといけないことを釧路の自然から教わりました。

▉普通科2年 船島 碧(多賀城中出身)

 北海道釧路湖陵高校との交流の中で行われた達古武湖森林再生事業地におけるフィールドワークでは,私は「昆虫班」に加わり,昆虫の調査体験を通じて様々な手法を学びました。自然林や人工林などを回りながら昆虫トラップを回収し,各環境とその昆虫相を比較しました。森の樹林調査では,年輪から樹齢を知るだけでなく,年輪幅などにより樹木が育った過去の環境を知ることができることを学びました。大きな樹木を前に,目には見えない当時の生息環境を知ることができて面白かったことに加え,感動と驚きがありました。3日目に訪れた温根内ビジターセンターでは,“やちまなこ”の深さを測ったり,湿原に生息する野生生物について説明を受けたりする中で,水の大地である釧路湿原の壮大さを感じることができました。自然の素晴らしさを守り育てることの大切さをしっかり学ぶことができたと思います。私にとってこの巡検は,北海道釧路湖陵高校の皆さんとの交流を含め,いろいろな意味でたくさんのことを学ぶことができた素晴らしい体験となりました。

▉災害科学科2年 土井 一樹(玉川中出身)

 2日目の巡検では沢班に参加し,湿地に流れ込む沢の下流で水生生物の採集方法を学び,上流では在来種であるニホンザリガニを捕獲した。午後の実習では,達古武湖に生息する水生生物を捕獲し,釧路湿原における種の多様性について学んだ。3日目に訪れた温根内ビジターセンターでは,釧路湿原の気象条件と生態系の関わりについて学んだ。ここでは大自然の中に木道を設置し,観光客や地元の人達に紹介することで,自然の恵みや営みを全国に広めている。午後に訪問した猛禽類医学研究所では,2人の獣医師から猛禽類の怪我やリハビリなど興味深い話を聞き,動物の保護活動や森の再生事業に関わる心意気を感じた。

 今回の巡検で発見したことは,我々人間は自然に対して悪影響を与えつつも,多くの人達によって対策が練られ実行されていることだ。都市開発による湿原の減少を補うため,環境省やビジターセンターを中心に保護活動や自然再生事業が行われ,猛禽類医学研究所や野生生物保護センターでは傷ついた動物の治療が行われている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SDGsマルシェ2021

1 目  的

 科学部の生徒が日頃取り組んできた研究の成果を広く一般市民に向けて発表することで,生徒の思考力・判断力・表現力の向上を図る。また,生徒が他校や企業等の発表を見合うことで,サイエンスコミュニケーション能力の向上を図る。

2 主  催 尚絅学院大学SDGs推進プロジェクトアクション委員会

3 期  日 2021年6月27日(日)10:00~15:00

4 会  場 サンモール一番町商店街アーケード内

5 参加生徒 SS科学部員9名(2年4名,3年5名)

6 プログラム

   学校紹介・防災クイズ・研究発表3題(「ネギの根にとって生きやすい,育ちやすい環境を考える」,

   「多賀城高校の松枯れの原因を探る」,「食べ物で電池が作れるか」)

7 生徒感想

▉普通科2年 鈴木 敦也(岩切中出身)

 今回のSDGsマルシェでは,マツの研究と学校紹介を担当しました。私は,最初ポスターを眺めている人に積極的に話しかけることが中々できずにいましたが,先輩方からの助言もあって,最後には自分から積極的に話しかけられるようになりました。他の参加団体の方々の展示はとても興味を引くものばかりで,その中でも特に気になったのがカブトムシの幼虫飼育です。カブトムシの幼虫を羊の堆肥で育てると,他の飼育環境で飼育するよりも幼虫の体重が重くなるという発表でした。私はこれまで市販されている昆虫マットでしか飼育したことがなかったので,市販品以外でこんなにも幼虫が大きく育つことに驚きました。今回一般の方々に発表した経験や,他の団体の方々の活動を,自分のこれからの研究に活かしていきたいです。

▉普通科3年 髙橋 ひなた(東仙台中出身)

SDGsマルシェに参加することで,私たち自身もSDGsに対する意識を高めることができると思い参加しました。SDGsマルシェ当日は,私たちの展示発表に興味を持って足を止める人も多く,市民の人々から質問をされる機会も多くありました。しかし,私たちの知識不足で上手く質問に答えられない部分もあり,少し残念な気持ちではありますが,今回の展示における反省点をこれからの発表に活かしていきたいと思います。

令和3年度 宮城県スーパーサイエンスハイスクール指定校合同発表会

1 目  的

 SS課題研究・ESD課題研究において生徒が積極的に取り組んできた研究の成果を広く一般市民に向けて発表することで,生徒の思考力・判断力・表現力の向上を図る。また,生徒が相互に発表を見ることで,サイエンスコミュニケーション能力の向上を図る。

2 主  催 宮城県教育委員会

3 期  日 2021年6月27日(日)9:30~15:00

4 会  場 サンモール一番町商店街アーケード内

5 ポスター発表題・参加者

   「グレープフルーツを食べた後の味覚の変化」(普通科理系3年2名)

   「風水害に対する授業プラン」(災害科学科3年5名)

   「災害時の応急処置の在り方」(災害科学科3年2名)

   「災害時におけるエコノミークラス症候群とその対策」(災害科学科3年1名)

   「環境に配慮し災害時に役立つ食の提案」(災害科学科3年2名)

   「緊急時のストレスの対処法」(災害科学科3年2名)

   「避難訓練の必要性」(災害科学科3年3名)

   「不思議な生きもの「マクラギヤスデ」の生態調査」(災害科学科3年3名)

6 生徒感想

▉災害科学科3年 高橋 聖来(鹿島台中出身)

 今回の発表会では,新しい学びや参考にしたいと感じることが沢山ありました。オンライン以外での校外発表はこれが初めての経験で,質問をいただいた際には戸惑うこともありましたが,複数回発表を繰り返すうちに慣れることができました。一般市民を前にして発表することの難しさを実感するとともに,コロナ禍において発表する機会をいただいたことに感謝し,改善点などを今後の研究活動に活かしたいです。

▉災害科学科3年 亀谷 慈英(石巻中出身)

 今回の発表会を通じて,研究の成果を一般の方々に発表し,感想や意見をもらうことができました。中には専門的な知識を持っている方々から意見をもらうこともあり,より深い研究ができるのではと感じました。他校の発表では,ポスターに要点だけをまとめて文字数を減らし図を用いて見やすくするものや,クイズ形式で説明するものなど,聞く人に対して分かりやすい工夫がなされており,聞く人も同じ問題意識を持って発表に向き合うことができました。今後もこのような発表の機会を得ることで,自分たちの発表を様々な視点から見てもらい,意見がもらえる良い機会になるのではと感じました。

第138回日本森林学会第8回高校生ポスター発表

1 目 的

 日頃取り組んだ研究の成果を発表するとともに,大学教員や県外高校生との意見交換を通して,科学的思考力や課題発見力,課題解決力,プレゼンテーション能力の向上を図る。

 2 主 催  一般社団法人日本森林学会

 3 日 程  2021年3月20日(土)~23日(月)

 4 会 場  オンライン開催

 5 発表題・参加者

★優秀賞★

  「不思議な生き物「マクラギヤスデ」の生態調査」

  〈課題研究〉6名(災害科学科2年6名(発表・受賞当時))

 6 実施内容・評価

 高校生研究ポスター発表において,全国各地の高校から34件の参加があり,そのテーマは森林のみならず環境保全や商品開発など多種多様でありました。

 マクラギヤスデ班の研究は,1年生の終わり頃から本格的に調査をスタートさせ,生息調査や生態観察,それに繁殖など研究は多岐にわたりました。

 ポスター発表本番では,チャット機能を使用して研究者や他校の高校生から質問やコメントが寄せられました。参加生徒は学校で,そして自宅からもコメントを返すなど真剣に取り組みました。その結果,表彰式では優秀賞として「ポスター番号05番「不思議な生き物「マクラギヤスデ」の生態調査」と紹介され,これまでの取り組みが報われた瞬間でした。

 7 生徒感想

■災害科学科3年(受賞当時2年) 伊藤若菜(塩竈一中出身)
  私たちは,マクラギヤスデという多足類について研究しています。宮城県内での生息が初めての報告となるこの生物について,校内のみならず校外に範囲を広げて生息調査を実施したり,生体飼育の方法を模索したりと,1年以上かけて研究してきました。途中で飼育していた個体が死んでしまう等のトラブルもありましたが,これまでの取組をポスターという形にまとめることができ,更には優秀賞に選出して頂いたことで,研究中の全ての苦労が報われたような気がします。