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SSH第Ⅱ期1年次(2023)

SS先端研究研修Ⅰ「つくば研修」を実施しました!

【目的】
災害科学科において、自然科学・災害科学の最先端研究に関する知見を深め、その成果を元に災害理解・防災研究の分野への社会貢献の方法について学習する。また、実習を行う中で、データ等の具体の活用方法など、研究手法について研究者から直接学ぶ機会とする。
【日程】
10 月26 日(木)【1 日目】
研修1:A 班…建築研究所 B 班…地質標本館 研修2:地図と測量の科学館
10 月27 日(金)【2 日目】
研修3:防災科学技術研究所 研修4:物質・材料研究機構
【参加生徒】
第1 学年 災害科学科 40 名
【研修施設】
国立研究開発法人 建築研究所 (茨城県つくば市立原1 番地)
産業技術総合研究所地質調査総合センター 地質標本館 (茨城県つくば市東1-1-1)
国土交通省国土地理院 地図と測量の科学館 (茨城県つくば市北郷1 番)
国立研究開発法人 防災科学技術研究所 (茨城県つくば市天王台3-1)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (茨城県つくば市千現1-2-1)
【実施内容・評価】
本研修では、茨城県つくば市に所在する各分野の最先端の研究施設を訪問し、講義や実地見学などを実施した。1 日目には物理と地学の2 班に分かれて選択研修を行い、物理班は建築研究所、地学班は地質標本館で研修を実施した。このうち、建築研究所では、「風雨実験棟・実大強風雨実験棟」と「強度試験棟・実大構造物実験棟」の実地見学のほか、実際に風洞実験装置を用いて風が建築物に与える影響などについて、研究員より直接解説をいただいた。また、地図と測量の科学館では、国土地理院職員より、地理空間情報の活用について講義をうけて学びを深めた。
2 日目の防災科学技術研究所では、2 名の研究員から気象と防災、災害発生時の政府対応などについて講義を受けたほか、大型降雨実験施設の見学や、地震ザブトン体験を実施したほか、物質・材料研究機構では、特別研究員より物質・材料科学分野の紹介や女性研究者のキャリア形成などについて講話をいただいたのち、施設の見学を実施した。

 

SS地域防災活動(大型旅客船事故対応訓練)

【目的】

大型旅客船において海難が発生した場合、多数の乗客救助及び負傷者の救助搬出を実施する事態が想定され、関係機関との連携は必要不可欠であることから、本訓練を通じて各機関との連携の確認及び強化を図り、また、海難発生時における迅速かつ的確な救助能力の向上に資することを目的とする。高校生については、海上保安部の実施する訓練に参加することにより、自らの進路についてより深く考える機会とする。

【日時】令和5年10月25日(水)13:00~15:00

【場所】  仙台塩釜港仙台港区フェリー埠頭着岸中のフェリー「きたかみ」及び周辺海域

【参加者】第2学年 普通科 21名

【訓練参加機関及び船艇・航空機】

(1)参加機関(10機関)

太平洋フェリー株式会社、航空自衛隊松島救難隊、横浜税関仙台塩釜支署、宮城県、宮城県警察本部、仙台市消防局、国立病院機構仙台医療センター、東北医科薬科大学病院、仙台市立病院、石巻赤十字病院、第二管区海上保安本部、宮城海上保安部、仙台航空基地

(2)船艇・航空機

 ①船艇(3隻)

横浜税関仙台塩釜支署:監視艇「しおかぜ」、宮城海上保安部:巡視艇「うみぎり」、 巡視艇「しらはぎ」

 ②航空機(回転翼機3機)

仙台航空基地:回転翼機1機、航空自衛隊松島救難隊:回転翼機1機、仙台市消防局航空隊:回転翼1機

 【実施内容】

(1)訓練想定

令和5年10月25日(水)午後1時頃、仙台港向け宮城県金華山沖を航行中のフェリーきたかみ(以下、「きたかみ」と  いう。)船内(車両甲板内)で火災が発生して仙台港沖で漂泊、初期消火対応中、一部の乗客が避難の際パニックとなり多数の負傷者が発生したことから、118番で救助要請をした。

(2)本校生徒が参加した訓練内容

① 要救助者の捜索・一次トリアージ・応急処置

きたかみ船内で医師や看護師、きたかみ船員らに要救助者として捜索され、搬送順位決定のための一次トリアージ及び必要に応じた応急処置を受ける。※生徒個人に症状を示す「カード」が渡される。

② 要救助者誘導及び搬送

想定上きたかみ入港後、一次トリアージ及び必要な応急処置を受け、人道橋からトリアージポストのあるフェリーターミナルへ誘導または搬送される。

③ 要救助者の二次トリアージ・去就管理

関係機関により要救助者として二次トリアージを受ける。

【生徒の感想】

今回の訓練では、主に被救助者側の目線から災害時におけるリアルな救助活動の流れを学ぶことができました。張り詰めた緊張感に包まれたフェリーでの訓練は、なかなか体験できない、とても貴重な経験となりました。訓練の中で実際にトリアージを受け、今まで学んできた救助方法に囚われることなく柔軟に対応することが大事なのだと感じました。この体験で直接学んだことを今後の進路選択や学びに生かしていきたいと思います。

SS野外実習Ⅱ「栗駒・気仙沼巡検」を実施しました!

【目的】
露頭見学や試料採取に適した県内外のフィールドにおける、地学分野の観察・調査の野外実習を通して、
私たちを取り巻く地球環境を理解する。また、これまでの学習をもとに岩手宮城内陸地震や東日本大震災の
被災地を巡り考察することを通して、防災への意識付けの強化を図る。
【日程】
10 月25 日
栗原市ジオパーク(研修)→荒砥沢ダム(現地視察)→一関市祭畤大橋(現地視察)→一関ビルにて講話
10 月26 日
気仙沼市復興祈念公園(研修)→リアス・アーク美術館(見学、講話)東日本大震災遺構・伝承館(講話、見学)→宿舎にて講話・研修(過疎高齢地域における地域防災について)
10 月27 日
大谷海岸(研修、講話)→小泉海岸(研修、講話)→南三陸(震災遺構高野会館跡、南三陸町防災庁舎跡、さんさん商店街(見学、研修、講話))→南三陸ホテル観洋(ワークショップ、ファシリテーター養成講習)
【参加生徒】第2 学年 災害科学科 37 名
【講師】
東北大学学術資源研究公開センター 教授 高嶋 礼詩 氏
栗駒山麓ジオパーク推進協議会 専門員 鈴木 比奈子 氏
気仙沼市津谷小学校 教諭 阿部 正人 氏
気仙沼市リアス・アーク美術館 館長 山内 宏泰 氏
気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館 館長 芳賀 一郎 氏
南三陸ホテル観洋 第一営業次長 伊藤 俊 氏(南三陸町語り部)
宮城県防災委員会、国民保護協議会委員 吉田 千春 氏

【実施内容・評価】
生徒の振り返りから、「百聞は一見にしかず」「現地に行って見るべき」という声がとても多かった。東日本大震災の爪痕が防潮堤という形で消えている昨今、その地で被災した方々から話を伺うこと、そしてその追体験をすることが重要と考えて実施し、参加生徒も自分事として捉えることができている。
【参加生徒の感想】

岩手・宮城内陸地震の被災地を辿った。栗駒山の地滑り、荒砥沢ダム崩落地を見学し、そのスケールの大きさを実感した。栗駒ジオパークビジターセンターでの映像を見ることと先生の解説を受けることで、より理解が深まったと思う。この規模の地滑りでは大きな被害を生んでしまうと思うので、地滑りの危険性がある人口密集地を調べたい。岩手県旧祭畤大橋では地面のずれにより橋が折れてしまっていた。

大きく太い鉄骨をいとも簡単に折り、破断させてしまった現場、広範囲で地滑りしている現場を見て、自然の脅威を実感したと共に、これをどのように伝えるべきか考えるきっかけになった。

SS 地域フィールドワーク(1学年普通科)

【目的】
 各企業・団体において理系的な学び(工学・海洋学・食産学・生物学、地質学等)を通し、各学問分野への興味関心の向上を目指す。また、東日本大震災の被災地である宮城県(多賀城市・七ヶ浜町・塩竈市等)において、地域における課題を訪問企業・団体から学び、自ら地域課題発見・解決の糸口を探ることで、普通科の課題発見力の一端を担うものとして実施するものである。
【日程】令和5 年9 月26 日(火)
 普通科240 名を対象に、生徒の興味・関心に基づき、本校周辺地域に6 コースを設定した。
①仙台火力発電所・多賀城跡コース(バス1 台)
仙台火力発電所での見学・調査 → 多賀城跡南門と多賀城跡での調査
②蒲生干潟・多賀城市企業コース(バス1 台)
蒲生干潟での講話・調査 → 株式会社TBM での見学・調査 → 株式会社ワンテーブルでの見学・調査
③七ヶ浜町コース(バス1 台)
海洋プラスティックについて講義(東京農工大学 高田教授)→菖蒲田浜海浜公園周辺での現地調査
④塩釜コース(バス1 台)
塩竈魚市場 → 塩竃市津波防災センター・周辺での現地調査→ 太田屋(味噌・醤油醸造元)での講話・調査
⑤大郷町コース(バス1 台)
台風19 号の被災状況と河川防災についての講話 → 吉田川堤防で現地調査(大郷町粕川地区)
⑥鹿島台品井沼コース(バス1 台)
絶滅危惧種の保護方法などについて講話(シナイモツゴ郷の会)→品井沼での現地調査(シナイモツゴ郷の会)
【実施内容・評価】
 昨年度試行的に実施した第1 学年普通科フィールドワークを今年度は事前事後指導も充実した形で本格実施した。地域における課題を訪問企業・団体から学び、自ら地域課題発見・解決の糸口を探ることで、普通科の課題発見力の一端を担うものである。仙台火力発電所・多賀城跡方面では、仙台火力発電所や多賀城跡での調査、大郷町方面では吉田川堤防について現地説明を受けた。鹿島台品井沼方面では、絶滅危惧種であるシナイモツゴの生態や保護方法について学んだ。蒲生干潟・多賀城市企業方面では、蒲生干潟で東日本大震災後の干潟の生態系について調査するとともに、地元企業の取組について学んだ。塩釜市方面では塩竃市津波防災センター周辺での野外調査、塩釜市魚市場では阿部亀商店から温暖化にともなう塩釜港周辺の 漁業環境の変化について説明を受けた。七ヶ浜町方面では菖蒲田浜でマイクロプラスティックに関する野外調査を行った。各企業・団体からのご協力により、理系的な学びという視点で生の各学問分野への興味関心が向上した。また、東日本大震災の被災地である宮城県(多賀城市・七ヶ浜町・塩竈市等)において、地域における諸課題やその取組について訪問企業・団体から学ぶこともできた。活動を通して、第1 学年の重点項目である生徒の分析力、計画力、プレゼン力を高めることができた。

  

  

上段左 阿部亀商店の講義  中 東北電力  右 蒲生干潟
下段左 シナイモツゴ  中 七ヶ浜でのマイクロプラスチック調査  右 大郷での測量

令和5年度スーパーサイエンスハイスクール(SSH)生徒研究発表会

「令和5年度スーパーサイエンスハイスクール(SSH)生徒研究発表会」

 

1 目  的
 全国から集まったSSH指定校の課題研究への取り組みを直接見ることで,研究のレベルの高さと多様性,およびポスター発表に求められるノウハウを体感し,科学技術に対する興味・関心を高めるとともに,経験を学校に持ち帰り,参加者のみならず学年全体の課題研究への取り組み等に波及させることを目的とする。


2 主  催 文部科学省,国立研究開発法人科学技術振興機構

3 期  日 2023年8月9,10日

4 会  場 神戸国際展示場

5 ポスター発表題・参加者
  「都市型津波の脅威と影響 ~巨大津波実験装置を用いたシミュレーション~」
〈災害科学科〉3年2名,2年4名

6 実施内容・評価
生徒研究発表会が,兵庫県神戸市の神戸国際展示場において盛大に開催されました。本校からは,災害科学科3年生2名(伊藤大地,兼平琴葉),2年生4名(武山海瑠,三浦世那,庄司璃久人,鈴木理南)が参加し,「都市型津波の脅威と影響」の発表題で研究発表を行いました。惜しくも入賞することはできませんでしたが,審査員の先生方からの高評価と,有益なアドバイスを受けることが出来ました。1年以上かけて研究してきた成果を発表する貴重な機会になるとともに,全国の高校生が持つ研究への熱意と,知的探究心の高さを目の当たりにし,大いに刺激を受けて来ました。発表者を務めた3年生は,研究のノウハウと,感じた課題を後輩に引き継いでくれるでしょう。