SSH4年次(2021年度)
実習交換「伊豆沼研修」(北海道滝川高校道外研修「東北巡検」)
1 目 的
(1)ラムサール条約に指定されている伊豆沼・内沼保護区におけるフィールド調査により,人と自然環境の共生の在り方や保全の取り組みを学び,自然環境を科学的に見る能力を養う。
(2)自然科学と災害,社会と環境など多角的な視点から物事を考える能力を養い,科学的リテラシーの向上を図る。
(3)高校生,研究者,自然保護に関わる人々との交流を積極的にはかることで発信力を磨き,よりよい社会の形成者としての資質を磨く。
(4)県外校との交流を通じて,コミュニケーション能力と今後の学習や探究活動へのモチベーションを高める
2 主 催 北海道滝川高等学校
3 日 程 2022年1月5日(水) 蕪栗沼,化女沼,伊豆沼ウェットランド交流館
2022年1月6日(木) 伊豆沼,宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター
4 参加生徒 災害科学科1学年 4名
普通科 1学年 9名
5 対応者 北海道釧路湖陵高等学校 教諭 長澤 秀治 氏
同 教諭 藤田 秀樹 氏
宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団 総括指導員 藤本 泰文 氏
大崎市役所産業経済部 自然環境専門員 鈴木 耕平 氏
6 実施内容・評価
初日は,マガンやヒシクイを中心とした渡り鳥の観察とガンの「ねぐら入り」の観察,そして交流会を行った。蕪栗沼や化女沼に加えた広大な水田地帯における野鳥と人々のくらしの関連性と問題点について学ぶことができた。交流会では,それぞれの学校や地域の特徴について意見交換を行った後,学校生活や研究活動に関して話し合うなど,充実した内容であった。
2日目は,-7℃の厳しい寒さの中,伊豆沼においてガンの「ねぐら立ち」を観察した後,クサレダマ(湿性植物)の移植作業と冬眠昆虫の採集を行った。森と湿原,そして人の暮らしとの接点を学ぶことができた。
7 生徒感想
■ 普通科1年 文屋 咲良(岩切中出身)
今回,北海道滝川高校の皆さんと巡検を一緒に行い,伊豆沼や蕪栗沼,化女沼を巡りマガンやハクチョウを見る機会が得られて,とても勉強になった2日間になりました。それぞれの沼に特徴があり,伊豆沼では約10万羽のマガンが暮らしていることにとても驚きました。その他にも,自分の知らなかった渡り鳥の習性や環境保全の実際について詳しく知ることができて,とても充実した巡検になりました。今回の巡検で得た体験や知識をこれからの課題研究に生かして,課題を掘り下げて自分で解決し,周囲を納得させられるような研究にしたいと思いました。
■ 普通科1年 吉田 理桜(塩釜一中出身)
巡検に参加して特に印象に残ったことは,伊豆沼でのガンの「ねぐら立ち」の観察です。餌を求めて近くの田んぼへとガンが一斉に飛び立った時には,空一面をガンが覆いとても迫力があり感動しました。その後行われた講話では,伊豆沼と隣接する内沼の課題について学びました。この地域が抱える課題は他人事ではなく,私たちも考えなければならないことばかりだと思いました。また,北海道滝川高校の生徒さんとも交流を深めることができ,この2日間は本当に充実したものでした。今回の巡検で学んだことは,必ず次に生かせるようにしたいです。
第21回環境甲子園受賞授与式
1 主 催 NPO法人環境会議所東北
2 日 程 令和3年12月18日(土)
3 会 場 TKPガーデンシティPREMIUM仙台西口6D
4 発表題・参加者
★奨励賞
「SDGsの取組 マクラギヤスデの生息北限と未知なる生態に迫る」
〈科学部〉3名(普通科1年2名,災害科学科1年1名)
5 実施内容・評価
本校科学部のチームは,地球温暖化とマクラギヤスデの生息範囲に関する調査・研究をレポートにまとめ応募したところ,奨励賞を受賞しました。全国18校24件の応募の中からの受賞となります。授与式で行われた受賞校によるプレゼンでは,研究における着眼点や研究手法など,参加した生徒は大いに刺激を受けました。
6 生徒感想
■災害科学科1年 池田 蓮(多賀城中出身)
今回授与式に出席して,他校の生徒達が工夫した点や大変だったところを知ることができました。また,自分たちも同様に工夫した所などを話し,その中で真夏にサンプリングした時の体験談を話した時には,会場の皆さんに共感してもらうことができました。講評の際には,「これからの研究に期待します」とのお言葉をいただき,今後も研究に励んでいきたいと思いました。今回の経験をこれからの活動に活かしていきたいです。
第44回日本分子生物学会年会・高校生研究発表
1 目 的 科学部において,日頃取り組んできた研究の成果を発表し,参加者との対話を通じて相互交流を行うことで,
発信力やコミュニケーション力の向上と,探究心の一層の伸長を図る。
2 主 催 MBSJ 日本分子生物学会
3 日 程 2021年12月3日(金) 13:00~14:15口頭発表,14:15~15:30ポスター発表
4 会 場 パシフィコ横浜 展示ホール(神奈川県横浜市西区みなとみらい)
5 発表題・参加者
『未知なる生物「マクラギヤスデ」の生息北限を探る』
〈科学部ヤスデ班〉3名(普通科1年2名,災害科学科1年1名)
6 実施内容・評価
調査・研究に取り組んできた成果を学会で発表する機会を得ると同時に,研究者との意見交換を通じて新たな課題を発見することができた。大規模会場で開催された本大会において,一線で活躍する研究者を前にした口頭発表及びポスター発表で経験した体験は,参加した生徒にとって非常に多くの情報をもたらした。
7 感 想
■普通科1年 濱野 瑞希(中野中出身)
発表本番では,それまで練習を積み重ねてきたこともあり,改善点は多くあるものの伝えたいことを相手に伝えることができたと思います。早口になってしまった点や質問に対して積極的に答えられなかった点など反省すべきこともありましたが,様々な研究発表を見て新しい知識が身に付き,ポスターへのまとめ方などを学ぶこともでき,学会への参加は自分にとってとても大きな経験となりました。
■普通科1年 鈴木 侑女(中野中出身)
他の高校生や大学生などの発表を聞いてみると,どれも興味が湧いてくる魅力的な研究がたくさんありました。発表の仕方,例えば間のとり方や話す速さなど参考にしたと思います。また,ポスターの構成の仕方や表現方法を見て,良かった点を自分たちのポスターづくりに取り入れたいと思います。質疑応答で多くの研究者からいただいたアドバイスについては,今後じっくりと考えより良い研究になるようにつなげていきたいと思います。
■災害科学科1年 池田 蓮(多賀城中出身)
口頭発表の時には,多少早口になってしまいましたが,はっきりと研究内容を伝えることができたと思います。ポスター発表では,スムーズには話すことができ,質疑応答の際にも自分なりにきちんと応じることができたと思います。学会で発表できたこの経験から,自分たちの研究と発表する技術に自信がつきました。今回学んだことをこれからの活動に活かしていきたいです。
災害科学科2年生が栗駒・気仙沼巡検に行ってきました(10月27日~29日)
災害科学科2年生がSSHスキルアップ研修Ⅱ「栗駒・気仙沼巡検」として,岩手宮城内陸地震の被災地である栗原市・一関市に加え,気仙沼市・南三陸町で東日本大震災に対する理解を深めました。
<1日目>
東北大学の高嶋礼詩教授を講師に迎え,岩手宮城内陸地震を扱いました。栗原市ジオパークビジターセンターを訪問後,ジオガイドさんの案内によって荒砥沢ダムや崩落地を訪問し,発生から13年を経た岩手宮城内陸地震を学びました。午後に訪れた祭畤震災遺構では,地震によって大きく破壊された橋を目の当たりにし,地すべり災害がどのような背景によって引き起こされたのか,現地で高嶋先生から解説いただいた後,夜は仙台近辺の歴史を振り返り,どのような過程を経て岩手宮城内陸地震に至ったのか,そして過去のカルデラ噴火による火砕流堆積物が広範囲で滑ったことに起因することを学びました。
<2日目>
気仙沼市に移動し,気仙沼市復興祈念公園から内湾地区の位置関係を把握した後,リアス・アーク美術館に移動。館内見学後,山内宏泰館長との意見交換会を行いました。自身が抱いた疑問・考えをアウトプットし,館長との議論は予定の時間を超えるほどでした。昼食後,内湾地区を散策。この土地の文化や産業に触れる時間としました。
午後は気仙沼市東日本大震災津波伝承館へ移動し,芳賀一郎先生からの講話の後,気仙沼向洋高等学校KSC「向洋語り部クラブ」の皆さんに館内を語り部として案内していただきました。本校も「まち歩き」を実施していますが,震災を語り継ぐ活動に取り組む同年代がここにもいることに,背中を押された様子でした。
夕食後は気仙沼市まち・ひと・しごと交流プラザ(pier7)を会場に,気仙沼市大浦地区での防災活動に取り組む吉田千春さんを講師に招き,災害時の人権がいかに大切かを考える場を持ちました。少子高齢化が進む地域で実践してきた防災活動とは,どのような配慮があって可能になっていったのか,吉田さんの取り組みを知るとともに,車座となって議論し互いの考えを共有する活動を通して,今後高齢化が進む地域で防災減災を考えるにはどのような視点が必要かを学びました。
<3日目>
朝食前に希望者を対象として,魚市場見学を行いました。早朝にもかかわらず14人の生徒が参加し,講師の阿部正人先生の案内のもと,早朝から鰹の水揚げの様子を見学しました。水産業の片鱗を垣間見るとともに,この地域がいかに漁業とともに栄えてきたかを肌で感じることができました。
朝食後は大谷海岸・小泉海岸2つの防潮堤に実際に立ち,地域住民との合意形成の末に砂浜を残すことに成功した大谷海岸防潮堤,後背地がそのままとなっている小泉海岸防潮堤の様子を対比し,復興とはその地域に人が住まうことが前提であり,その議論にいかに地域住民が参画できるかの重要性を考えました。
午後は南三陸町語り部であるホテル観洋・伊藤 俊さんの案内により,南三陸町震災遺構高野会館,南三陸町防災庁舎跡を巡りました。特に高野会館は実際に内部へ入って細部も見学し,現在ではなかなか見ることが難しい「全く手の加えられていない10年前そのままの遺構」に圧倒されるばかりでした。
午後はホテル観洋での昼食後,ホテル内ホールで振り返りのワークショップを展開しました。阿部先生のファシリテーションのもと,これまでの行程を振り返り「これからどんな課題意識を持って取り組んでいくかを考える」をテーマに,ペアトーク・OST(オープンスペーステクノロジー・一人ずつ30秒プレゼンを通して,自らの学びの振り返りと今後への決意を共有しました。
2泊3日という長丁場でしたが,二つの災害を科学的・社会科学的に捉え,災害そのものへの視点は単一なものではないことを改めて学ぶ場となりました。今後の災害科学科諸君の飛躍に今回の巡検が強き足がかりとなって,防災・減災・伝災を学んだ者として未来を担う有為な人材になってほしいと願っています。
<荒砥沢ダム上方・冠頭部でジオガイドさんから学ぶ(10/27栗原市)>
<東北大学・高嶋先生の講話(10/27一関市文化センター)>
<「東日本大震災の記憶と津波の災害史」見学(10/28気仙沼市リアス・アーク美術館)>
<気仙沼向洋高等学校語り部クラブの皆さんとともに(10/28気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館)>
<吉田千春さんによる講話・ワークショップ(10/28気仙沼市ひと・まち・しごと交流プラザ)>
<海水浴場で名高い大谷海岸・大谷海岸防潮堤を行く(10/29大谷海岸防潮堤)>
<小泉海岸防潮堤に立ち,阿部先生とともにその規模をこの目で確かめ,考える(10/29小泉海岸防潮堤)>
<一切手が加えられていない,高野会館内部で伊藤 俊さんの説明。あの日ここは何が起こったのかを聞き,考える(10/29南三陸町震災遺構・高野会館)>
<南三陸町防災対策庁舎跡を背後に(10/29南三陸町震災復興祈念公園)>
<振り返りのワークショップ(10/29南三陸ホテル観洋)>
<今回の巡検を通して今後自分が取り組みたいことを共有する(10/29南三陸ホテル観洋)>
<参加生徒の振り返りレポート>
アースサイエンスウィークin仙台・高校生発表
1 目 的
アメリカ地球科学研究機関AGI(American Geosciences Institute)は,市民が地球科学や自然科学の理解を深め,惑星の進化を学び,地球環境史を認識するために,国内外のイベント「Earth Science Week」を開始。2013年頃から日本地球惑星科学連合(JpGU)宛に協力についての打診があり,検討期間を経て2018年から開催している。
本年度,日本におけるメインイベント会場で行われる高校生発表に参加することで,日頃取り組んできた研究の成果を発表し,参加者との対話を通じて相互交流を行うことで,発信力やコミュニケーション力の向上と,探究心の一層の伸長を図る。
2 主 催 アースサイエンスウィークジャパン実装委員会
3 日 程 2021年10月30日(土) 10:00~17:00
31日(日) 10:00~17:00
4 会 場 スリーエム仙台市科学館
5 ポスター発表題・参加者
「都市型津波と対策について」〈災害科学科〉2年4名
「関東大震災とイチョウの防火性について」〈災害科学科〉2年4名
「蔵王火山シミュレーション」〈災害科学科〉2年6名
「私たちに何が出来るだろうか ~率先避難者たれ~」〈災害科学科〉2年5名
6 実施内容・評価
災害科学科2年生19名が参加した。これまで課題研究で取り組んできたその成果を発表する貴重な機会を得ると同時に,地学分野の研究者や他校生と交流し,研究内容における新たな課題を発見したり,興味を引くポスター作成のヒントを得たりすることができた。
7 感 想
■災害科学科2年 佐々木拓夢(田子中出身)
初めてのポスター発表であり,慣れない中での発表でしたが,回数をこなしていく度に段々慣れてきて,その発表の中で改善点も見つかるなど,とても良い経験になりました。また,質疑応答の際に自分たちが予想もしないような質問だったり,アドバイスをいただいたりしたことで,次の発表の機会にはもっと良い発表ができるような気がします。今後は研究内容を更に発展させていきたいです。
■災害科学科2年 淡谷倖(田子中出身)
今回の研究発表を通して,自分たちの研究はもっと良くしていけると思いました。なぜならば,私は4回くらいポスター発表を行ったのですが,全ての発表で全く違う質問やアドバイスをいただき,その質問にしっかりと答えることができませんでした。この経験を今後の研究につなげ,研究を深めてきちんとした発表ができるようにしたいです。