SSH5年次(2022年度)
東日本大震災メモリアルday2022
1月20日(金),21(土)の2日間,本校が主催する「東日本大震災メモリアルday2022」を,本校を会場に開催しました。今年度の開催から災害科学科1,2年生に加えて,普通科の1,2年生も参加し,地元の東豊中学校や県内の高等学校3校の参加の他,県外からは14校の参加があり,総勢600名を数える大規模な行事となりました。これまでコロナ禍に阻まれて中止やオンラインでの開催となってきましたが,今年は3年ぶりとなる対面での開催です。
1日目は,開会行事の後に,参加校の学校紹介や東北大学災害科学国際研究所の佐藤健教授による基調講話,そして参加者によるグループワークが行われました。そして2日目には体育館を会場にしたポスターセッション(全78題)を行い,午後には本校災害科学科の生徒がナビゲートする「津波伝承まち歩きツアー」が行われました。
この2日間の日程をとおして,参加した生徒達は,防災・減災に関するお互いの取組や研究内容,地域に根ざした活動など,大いに刺激し合い,深く交流することができました。
【生徒感想】
▉ 災害科学科2年・大橋いぶき
今回の東日本大震災メモリアルdayは3年ぶりの対面での開催ということもあり,去年のリモートでの開催の時よりもグループワークが白熱し,より良い自分達の意見を作ることができました。また,ポスターセッションでは,自分達の学校だけではなく他校のポスターを見ることで,自分達の知らなかった防災制度,減災についての観点を知ることができました。これらは自分達の地域にもどんどん反映させていきたいと思います。2日間という短い期間ではありましたが,その中で普段の生活では得られない充実した学びを得ることができました。これからも視野を広く持って,今回得た学びを将来に活かしていきたいです。
▉ 災害科学科2年・浅野真夢
私は今回の東日本大震災メモリアルdayに参加して感じたことがあります。他校の生徒の研究発表を聞いてみて,とても感心しました。研究しているものは自分達と同じ防災・減災の分野ではあるものの,同じ題材とした時の深掘り具合がとても違うと感じました。私達はある議題があった時に,研究をどのように実行するかや,研究を行った後の改善点を大まかにしか出すことができていませんでした。しかし,他校の生徒は研究内容や改善点を大まかに出した後,それに具体性を持たせたり,先行研究にオリジナリティーを加えて発表したりしていました。そのような点を実際に見て,自分達ももっと研究して理解を深めるということをしていきたいと思いました。
【当日の様子】
基調講話
グループワーク
ポスターセッション
津波伝承まち歩きツアー
野外実習②「栗駒・気仙沼巡検」
【目的】露頭見学や試料採取に適した県内外のフィールドにおける,地学分野の観察・調査の野外実習を通して,私たちを取り巻く地球環境を理解する。また,これまでの学習をもとに岩手宮城内陸地震や東日本大震災の被災地を巡り考察・議論することを通して,防災への意識付けの強化を図る。
(1)基礎的な観察・調査・試料採取の方法を学ぶ。
(2)観察記録をもとに,結果をまとめる手法を学ぶ。
(3)まとめから新たな課題を設定することを学ぶ。
【日程】2021年10月26日(水)~10月28日(金)
・10月26日(水) 栗原市ジオパークビジターセンター,荒砥沢ダム(藍染湖公園)・藍染湖公園・崩落地(北端)での見学,一関市旧祭畤大橋,講話「カルデラ噴火がもたらした東北日本の歴史」(高嶋教授)
・10月27日(木) 気仙沼市復興記念公園,リアス・アーク美術館,仙沼市東日本大震災遺構・伝承館,講演「過疎高齢化地域における地区防災のあり方とは?-東日本大震災の経験から-過疎高齢化地域で可能な無理のない自助・共助防災とは」(吉田 千春 氏)
・10月28日(金) 道の駅大谷海岸,小泉海岸防潮堤,震災遺構高野会館跡・南三陸町防災庁舎跡・さんさん商店街,南三陸ホテル観洋(まとめのワークショップ)
【参加生徒】災害科学科2年38名
【講師】
東北大学学術資源研究公開センター 教授 高嶋 礼詩 殿(東北大学総合学術博物館館長)
栗駒山麓ジオパーク推進協議会 専門員 原田 拓也 殿
気仙沼市立松岩小学校 教諭 阿部 正人 殿(本校災害科卒業生保護者)
リアス・アーク美術館 館長 山内 宏泰 殿(学芸員)
気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館 館長 芳賀 一郎 殿(元宮城県気仙沼向洋高等学校 教諭)
南三陸ホテル観洋 第一営業次長 伊藤 俊 殿(南三陸町語り部)
気仙沼市地域福祉計画推進委員 吉田 千春 殿(気仙沼おとひめ会 代表)
【実施内容・評価】
東北大学の高嶋礼詩教授を講師に迎え,岩手宮城内陸地震や東日本大震災における被災地の現地踏査を行い,災害科学科の学びを深めた。各施設や被災現場において,多くの講師の先生方より講話いただき,現地でしか得ることのできない情報と知識を得ることができた。さらには,生徒自身が抱いた疑問や発見した問題点について共有し,議論を通してアウトプットする機会を複数回設けることで,多様な視点で災害を科学的な視点から考える下地をつくることができた。地元の方との対話や振り返りのワークショップなどの活動の様子が新聞報道されるなど,学習成果を外部へ発信することもできた。
【生徒(災害科学科2年:安倍 さくら)レポート】
災害科学科2年生のつくば研修に関する報告 (土木研究所・水災害リスクマネジメント国際センターICHARMニュースレターの紹介)
災害科学科2年生がつくば研修(11月)の際に訪問した国立研究開発法人土木研究所の水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM:アイチャーム)より,定期的に発行する「ICHARMニュースレター」の第67号 (2023年1月) Volume 17 No.4に本校が訪問した際の記事を掲載したとの連絡を受けました。在校生は勿論のこと,保護者や中学生の方々も是非ご覧頂ければと思います。
ICHARMニュースレターの第67号については,下記アドレスからご覧ください。
https://www.pwri.go.jp/icharm/publication/newsletter/pdf/icharm_newsletter_issue67.pdf
*多賀城高校訪問の記事は22ページ目に掲載されています。
実習交換「伊豆沼研修」(北海道滝川高校道外研修「東北巡検」)
1 目 的
(1)ラムサール条約に指定されている伊豆沼・内沼保護区におけるフィールド調査により,人と自然環境の共生の在り方や保全の取り組みを学び,自然環境を科学的に見る能力を養う。
(2)自然科学と災害,社会と環境など多角的な視点から物事を考える能力を養い,科学的リテラシーの向上を図る。
(3)高校生,研究者,自然保護に関わる人々との交流を積極的にはかることで発信力を磨き,よりよい社会の形成者としての資質を磨く。
(4)県外校との交流を通じて,コミュニケーション能力と今後の学習や探究活動へのモチベーションを高める
2 主 催 北海道滝川高等学校
3 日 程 2023年1月5日(木) 三本木町,化女沼,伊豆沼ウェットランド交流館
2023年1月6日(金) 伊豆沼,宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター
4 参加生徒 災害科学科1学年 1名
普通科 1学年 6名
5 対応者 北海道釧路湖陵高等学校 教諭 池内 理人 氏
同 教諭 天谷 洋祐 氏
宮城県大崎市産業経済部 自然環境専門員 三宅 源行 氏
(公財)伊豆沼・内沼環境保全財団 研究室長 嶋田 哲郎 氏
6 実施内容・評価
初日は,三本木町にある屋敷林「居久根」で竹の伐採を行ったほか,化女沼における「ガンのねぐら入り」の観察や交流会を行った。居久根の役割と景観の保全について体験的に学ぶと共に,交流会では,それぞれの学校や地域の特徴,研究の紹介などを行い互いに刺激を受けた。
2日目は,伊豆沼においてガンの「ねぐら立ち」を観察したほか,ヨシの刈り取り作業と冬眠昆虫の採集を行った。森と湿原,そして人の暮らしとの接点を学ぶことができた。
7 生徒感想
▉ 災害科学科1年 畑山 絢音(岩沼西中出身)
この巡検で,環境保全について深く学ぶことができた。私はこれまで他に興味のある分野があったので,環境については分かったつもりでいて詳しく調べることをしなかった。しかし今回の巡検で行政や市民団体の取組を知ることで,沼の環境を守ることの重要性について考えることができた。今後は,課題研究を進める上で環境保全の視点を取り入れながら進めたい。
▉ 普通科1年 阿部 寛輝(多賀城二中出身)
今回の巡検で自分が体験して良かったと考えることが2つあった。1つめは,現在の伊豆沼の実態を知ったことだ。ブラックバスによって在来種や野鳥が減少していることを知るとともに,その解決法としてブラックバスの卵を捕獲するなどの活動が行われていた。それを聞いて,自然環境を維持しながら人が自然と共生できる環境をつくり出せたら良いなと考えた。2つめは,他高との交流だ。自分は元々消極的な性格で人と話すのが苦手だった。しかし,今回は小さな話をすることですぐに打ち解けることができた。自分から壁をつくらないことが大切だと思った。
石巻・女川巡検
12月6日(火),1年生災害科学科において石巻・女川巡検を実施しました。
東日本大震災で甚大な被害を受けた被災地を視察することを通して,震災の記憶を未来と世界へ発信する主体者としての資質を涵養することを目的としています。事前学習として,ジオラマや地形図で女川町の地形を理解する学習を行うなど,必要な知識を学んでから現地に赴きました。
午前は,MEET門脇による語り部の方のお話を聞きながら石巻門脇地区の「まち歩き」を体験し,その後女川町へ移動をし,町民への「聞き取り調査(フィールドワーク)」を行いました。
午後からは,旧大川小学校で語り部の方から当時の様子や今後防災に携わる人材としてお話をいただきました。震災,被災,復興など様々な視点から学びを深めることができました。
旧門脇小学校
旧大川小学校
聞き取り調査(フィールドワーク)
事前学習
武山 海瑠
今回の巡検では,様々な災害の痕跡を見ることができました。なかでも,「大川小学校は津波で多数の犠牲者が出た哀しい場所というだけではなく,子どもたちが楽しい時間を過ごした場所である」という語り部の方のお話が印象に残っています。そこで生きた命があることを忘れてはいけないと改めて思いました。今,楽しい思い出で溢れている場所を哀しい場所にしてしまわないためにも,災害科学科としてこれからも勉強に励んでいきたいと思います。
村上 尊琉
私自身東日本大震災では津波を見たり,大きな被害を受けたりしなかったため,震災についてたくさんのことを知っているわけではありませんでした。
しかし今回の巡検で語り部の方や女川町の被災者の方などから東日本大震災について聞くことで,当時の町の状況や被災者の心理を今まで以上に理解することができました。
今回の巡検を通して自助の大切さ,そして日頃からの準備が災害時に私たちの命を守ってくれるのだと強く感じることができました。
つくば研修
11月1日(火)~11月2日(水)に1学年災害科学科においてつくば研修を実施しました。
自然科学や災害科学の最先端研究に関する知見を深め,災害理解・防災研究分野への社会貢献の方法について学習をしました。
防災科学研究所 大型降雨実験施設
土木研究所
地質標本館
JAXA
畑山 絢音
つくば研修は,日本の最先端の研究施設が集まるつくば市を訪れることができるということで,入学前から楽しみにしていた行事でした。
この研修では,雨を降らせる施設を使って大雨を降らせた実験の一部を見せていただいたり,国際的に災害の被害を減らそうとされている方の講義を聞いたりすることができました。
これまで私は,身近なことにばかり目が向いていましたが,この研修を通して外にも目を向ける意識を持つことができました。
村元 勝太
私はつくば研修に行き,たくさんの事を学ぶことができました。
防災科学技術研究所では気象災害などの再現の実験を行っていました。雨量が30ミリ程度で大雨,50ミリで警報級の雨など,少ない量に感じたとしても,気象災害はとても危険だと思いました。
地質標本館では実際の鉱石や地層を見ることができました。
私は今回のつくば研修を通して,日本では防災,減災のために,様々な取り組みが行われていると知ることができました。
この経験を活かし,災害科学科として防災・減災活動に繋げていきたいと思います。
土屋先生と行く!!“地球科学”特別講座
1 主 催 株式会社青葉環境保全
2 日 程 令和4年12月17日(土)
3 会 場 東北大学大学院環境科学研究科「エコラボ」
4 参 加 者 科学部4名(普通科1年4名)
5 実施内容・評価
東北大学大学院環境科学研究科の土屋範芳教授やDiana Mindaleva助教による特別講義と,平山伸夫助教による薄片標本指導を受講した。土屋教授による講義では,2000年から提唱された地殻流体科学について,その先端研究となる岩石-水相互作用(Water-Rock Interaction)について,参加した生徒は熱心に聴講した。プログラウが終了した12:30からは,東北大学に通うインドネシアやスウェーデンからの留学生との交流会も設定され,大学での研究や普段の学生生活について理解を深めた。
6 感 想
▉普通科1年 横田 柊(玉川中出身)
今回の講座では,土屋先生をはじめ複数の先生方による講義の他にも,研究室を見学させていただいたり,研究室に関わりのある皆さんとの交流を行ったりしました。私は地学や地球科学に関わる機会があまり多くなかったので,今回の講義で初めて知ることが多く,とても有意義な時間を過ごすことができました。また,普段あまり関わることのできない留学生の方々との交流の中で,自分と異なる意見の貴重さや,私自身の経験不足を感じることができ,多くの学びがありました。今回学んだことを糧にして,新たな学びにつなげたいと思います。
第8回全国ユース環境活動発表大会東北地方大会
1.目 的
科学部において,日頃取り組んできた研究の成果を発表し,参加者との対話を通じて相互交流を行うことで,発信力やコミュニケーション力の向上と,探究心の一層の伸長を図る。
2.主 催 全国ユース環境活動発表大会実行委委員会
(環境省,独立行政法人環境再生保全機構,国連大学サステイナビリティ高等研究所)
3.期 日 令和4年12月11日(日)
4.会 場 TKPガーデンシティ仙台
5.発表題・参加者
『マクラギヤスデの生息北限と未知なる生態を探るPart2』
〈 SS科学部ヤスデ班 〉3名(普通科2年2名,災害科学科2年1名)
6.感 想
▉普通科2年 濱野 瑞紀(中野中出身)
私たちは,この大会に向けてマクラギヤスデと環境との関わりについて改めて考えを深め,その情報をもとにレポートにまとめるなど,大会に向けて様々な準備を行ってきました。研究要旨と発表動画を大会事務局に提出し,その後審査された結果,東北大会に進むことができました。
東北大会に向けて改めて発表内容を練り直し,全国大会出場を目標に挑戦するはずでしたが,大会当日にメンバー全員が体調不良となってしまい,会場での参加を断念しました。しかし,発表動画で審査していただけることになり,結果「優秀賞」を受賞することができました。会場で直接発表できなかったことは残念ですが,会場での発表の様子は今後動画公開されるので,そこで各校の発表を見て視野を広げたいと思います。
*大会の概要や発表動画等(今年の動画については今後掲載予定)について,詳細はユース環境活動発表大会HP(https://youth.erca.go.jp/)まで。
第22回環境甲子園受賞授与式
1 主 催 NPO法人環境会議所東北
2 日 程 令和4年12月13日(土)
3 会 場 TKPガーデンシティPREMIUM仙台西口
4 発表題・参加者
★奨励賞
「マクラギヤスデの北限と未知なる生態を探る ~地球温暖化による生息域の拡大~」
〈科学部〉3名(普通科2年2名,災害科学科2年1名)
5 実施内容・評価
本校科学部ヤスデ班は,地球温暖化とマクラギヤスデの生息範囲に関する調査・研究をレポートにまとめ,標記の大会に応募しました。結果,この取組が評価され“奨励賞”を受賞することができました。授与式では受賞校によるプレゼンが行われ,研究における着眼点や研究手法など,参加した生徒は大いに刺激を受けました。
6 生徒感想
▉普通科理系2年 濱野 瑞紀(中野中出身)
私たちにとって2回目の参加ということもあって,この大会には気合いが入っていました。ヤスデ班の皆で役割を分担しながら,先行研究を含めた今までの調査・研究について,環境との関わりを関連付けながら5ページのレポートにまとめました。部活動の顧問の先生にも沢山の指導をもらい形にすることができました。審査の結果,昨年に引き続き今年も奨励賞を受賞することができました。自分たちの研究が認められたことがとても嬉しいです。作品のみならず,自分自身も昨年と比較して成長できたことが実感できました。
土サミット~災害と土~ TOKYO 2022
10月21日、ホテルニューオータニ東京で開催された「土サミット」に災害科学科1年生2名が参加しました。「土サミット」は、行政機関・建設業界・学会の関係者など多くの方が土の適切な利用促進について情報を発信・共有するもので、今年は「災害と土」をテーマとして行われました。その参加者の方々に対して災害科学科の活動や研究内容を紹介し、様々な角度からいだだく質問に対して自分の言葉で丁寧な説明をしながら、各業界の方や東京の高校生との交流を行いました。また、「災害と土」に関する講演や研究発表を聞くことで知見を広げることができ、非常に貴重な経験となりました。
【生徒感想】
▉災害科学科1年 髙内天斗(鶴谷中出身)
今回の土サミットを通して学んだことは、他人の話をよく聞き、理解しようとする姿勢がとても大切であるということです。実際、自分たちの発表を聞いてくれた人たちは、きちんと僕たちの説明を聞き、自分で理解し、その上で質問をしてくれたのでとても発表しやすかったです。僕たちが発表を聞く際も、僕たちが分かりやすいように発表してくれたため、とても良い経験になりました。
▉災害科学科1年 山本陸(高崎中出身)
私たちの発表を聞きに他の高校が来るなど、発表だけでなく、他校や企業の方などと交流することができ、とても良い経験になりました。今後の改善点は、声のメリハリをつけ、大事なことを強調することです。災害科学科での活動や浦戸巡検で学んだことをより多くの人に伝えることができて良かったです。