2024年8月の記事一覧
SS野外実習Ⅱ「栗駒・気仙沼巡検」を実施しました!
1 目的
露頭見学や試料採取に適した県内外のフィールドにおける、地学分野の観察・調査の野外実習を通して、私たちを取り巻く地球環境を理解する。また、これまでの学習をもとに岩手宮城内陸地震や東日本大震災の被災地を巡り考察することを通して、防災への意識付けの強化を図る。
(1)基礎的な観察・調査・試料採取の方法を学ぶ。
(2)観察記録をもとに、結果をまとめる手法を学ぶ。
(3)まとめから新たな課題を設定することを学ぶ。
2 主催 多賀城高校
3 期日 事前講義:2024年7月5日
当 日:2024年7月24,25日
4 会場 栗駒山麓ジオパークビジターセンター、リアスアーク美術館、
気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館、南三陸ホテル観洋、大谷海岸、小泉海岸、
高野会館、南三陸町旧防災対策庁舎
5 参加者 <災害科学科>2年39名、1年40名
6 実施内容・評価
巡検前に、東北大学学術資源研究公開センター教授の高嶋礼詩様より事前講義をいただき、岩手・宮城内陸地震による栗駒山の地すべりのメカニズムについて学習しました。巡検当日は、栗駒および気仙沼の過去の災害について実際に足を運んで本物を感じながら学ぶことができました。気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館では、気仙沼向洋高校の生徒さんに語り部を行っていただき、当時の気仙沼の状況を知るとともに、本校で行っている「津波伝承まち歩き」の参考にさせていただきました。また、事後学習では、巡検でもっとも考えさせられたことから防災・減災に関する課題と解決策、さらにはその解決策を実現するための社会的障壁まで考えました。巡検で学んだことは、災害科学研究のテーマ設定等に生かしていきます。
7 生徒感想
私が今回の巡検で最も考えさせられたのは、これからの人たちに震災のことを伝承していくことの大切さです。理由は、巡検に行く前の私は「どうして東日本大震災を思い出したくない」という人がいるのにも関わらず、なぜ震災遺構を残しているのだろうと思っていました。しかし、残している理由として、「被災した場所を残すのは心が痛いが、これからの人に伝えていくには大切なことだし津波の破壊力や高さを知ってもらいたい」「この場所でどのような行動をとって命が助かったのかを知ってほしい」などと言った震災を経験した人たちの思いがあると思いました。私自身今回の巡検を通して、映像だけじゃ伝わってこない津波の恐ろしさや恐怖を実際にその現場を訪れたことによって感じることができました。
また、私は東日本大震災が起きた時はまだ2歳で何も記憶にありませんでしたが、家族からの話今回のような巡検を通して当時の状況を多く知ることができました。このようにして、自分が伝承してもらった分、次の人へどんどん伝承していきたいと思いました。 (災害科学科1年 鈴木蓮)
令和6年度スーパーサイエンスハイスクール(SSH)生徒研究発表会
8月7日(水)~8日(木)の2日間、神戸国際展示場で「全国SSH生徒研究発表会」が行われました。全国231校のSSH指定校の高校生が集まり、高校年代最高レベルの研究発表が行われました。本校からは、災害科学科3年生の「塩竈市浦戸諸島における海底火山の連続性」を研究したグループが参加し、2日間にわたるポスター発表を審査員や参加生徒へ行いました。
《生徒の感想》
○今回生徒研究発表会に参加して全国のレベルの高い研究を見ることができ、新たな発見や多くの疑問や関心を持つことができました。また、審査員の方からの厳しいご指摘をいただき改めて自分達の研究を見直し深く考えることができました。そして今後はこの研究を後輩たちにより良いものにしていってほしいと思いました。
○参加した学校は、正確なデータを出すために何回も試行錯誤して実験を行っていて、それに比べて自分たちの実験は、試行回数が少なくて信憑性のあるデータではなかったり、足りない部分がとても多かったりと考えさせられた。また、課題研究の質が高く、良い刺激になりました。
○様々な学校の研究を聞くことによって、自分の研究を進めるにおいての新たな糸口を見つけることが出来、参考になることが多かったイベントでした。 私自身が行う研究はこれで終わってしまいますが、今回出た課題や展望を後輩に託し、より大きな研究にしていって欲しいと思います。
SS先端研究研修Ⅱ「関東研修」
【目的】
理系生徒を対象に、先端科学・技術の一端を、大学や企業における見学や実験実習を通して理解を深めることを目的として行った。また、女性の研究者や大学院生との交流を図り、女子生徒の見識を広げ、将来像としての研究者を意識させることを目的として本研修を企画した。
【日程】 令和6年7月30日(火)・31日(水)
【参加生徒】 2年普通科理系 10名
【講師】
東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 谷研究室 教授 谷 和夫氏
海洋資源環境学部 海洋環境科学科 地球環境微生物学研究室 准教授 牧田寛子氏
海洋生命科学部 海洋生物資源学科 ゲノム科学研究室 教授 近藤秀裕氏
海洋生命科学部 海洋生物資源学科 水族生理学研究室 准教授 矢澤良輔氏
海洋生命科学部 食品生産科学科 食品熱操作工学研究室 准教授 ラベ ペレス イヴァン アントニオ氏
キユーピー株式会社
総務部 マヨテラス運営チーム 上田史恵氏
研究開発本部 グループR&D推進部 臼田美香氏
【実施内容・評価】
生物や地球環境分野に焦点を当てた研修として昨年度より始まったものであり、今年度で2回目の実施となる。本研修では、大学における研究活動および卒業後の進路先として考えられる企業での研究活動に触れ、高校卒業後のみならず大学卒業後の進路までイメージできるよう研修先を選定し、東京海洋大学とキユーピー株式会社の協力を得て実施することができた。
東京海洋大学では5つの研究室を訪問し、研究施設・設備を見学させていただくとともに先端研究の取り組みについて説明していただいた。生徒は事前学習で各研究室の研究内容について調べ、その中で理解できなかった部分などについて質問しながら話を聞くなど、限られた時間で多くの学びを得ようと積極的に参加していた。キユーピー株式会社では一般の方も見学可能な施設に加え、研究開発を行っている社員のみ立ち入り可能な場所も見学させていただき、企業で行っている研究活動について教えていただいた。案内・講師は女性研究員2名が引き受けてくださり、自身の高校生時代の話から、なぜ企業で研究活動を行うようになったのかなどについて講話いただき、参加した女子生徒にとって進路選択の幅が広がるような機会にすることができた。研修後は2つのグループに分かれて研修内容をポスターにまとめる事後学習を行い、校内で 全校生徒に向けて発表を行った。
左上:東京海洋大学 地球環境微生物学研究室
左下:東京海洋大学 水族生理学研究室
右上:キユーピー株式会社