SSH5年次(2022年度)

SSH5年次(2022年度)

SSH共同研究「釧路湿原巡検」

1 目的

 生徒が学ぶ理科及び課題研究における学習充実のため,北海道を代表する自然環境の一つである釧路湿原において野外実習を行う。なお,この実習は北海道釧路湖陵高等学校がSSH地域巡検として位置付けている実習であり,環境の保全を目的とした環境調査の手法を学び,環境科学における科学的な探究手法を研修するとともに,生物多様性を育む自然環境を科学的に理解することを目的とする。

2 行程

 令和4年6月30日(木)

  11:00多賀城高校を出発し,仙台空港から空路北海道釧路市へ

 令和4年7月1日(金)

    7:30出発・釧路湖陵高校へ(タクシー借り上げ)

    8:00釧路湖陵高校理数科1年生とともに出発

    9:00達古武湖森林再生事業地におけるフィールドワークの実施(森林:昆虫 沢:水生生物)

  12:00昼食休憩後,森林再生事業地及び細岡展望台におけるフィールドワーク

  16:00プログラム終了,釧路湖陵高校へ移動,17:00解散

 令和4年7月2日(土)

    8:10出発(タクシー借り上げ)

    9:00温根内ビジターセンターにて研修

  11:30環境省釧路湿原野生生物保護センター・猛禽類医学研究所にて研修

  *予定されていた釧路市丹頂鶴自然公園への訪問は,クマ出没による臨時休園により除外。

  14:35釧路空港発,空路仙台空港へ(19:05多賀城高校着)

3 参加生徒

 災害科学科1年生3名

4 生徒感想

▉災害科学科1年 遠藤 彩吏(多賀城第二中出身)

 私たち生徒3名は,湿原の植生や野生動物,そして自然保護活動など,今回の巡検を通して沢山のことを学びました。

 釧路湖陵高校の生徒の皆さんと一緒に活動した達古武湖森林再生事業地におけるフィールドワークでは,森林班と沢班に分かれて,湿原や隣接する森林での生物調査を行いました。私は森林班の活動に参加して,隣り合わせにある自然林と人工林でも生息している昆虫に違いが見られ,環境の変化を表現する指標として用いることができることを知りました。

 最終日に訪れた温根内ビジターセンターでは,湿原に設置された木道を散策しながら,釧路湿原の自然や歴史について学び,湿原が動植物の生育環境のためにあるだけではなく,水の循環や地球温暖化の抑制にも貢献するなど,私たちの生活に深く結びついていることを学びました。最後に訪れた,環境省釧路湿原野生生物保護センター・猛禽類医学研究所における講話では,自動車や列車と衝突することで治療を必要とする大型猛禽類(オオワシやシマフクロウなど)を保護し,野生復帰を目標として治療・リハビリを行っている現場を見ることができました。

 人間生活の影響で変化した自然や動植物の生活環境を元通りに戻すことは難しいかもしれません。しかし,今起きている現実にしっかりと向き合い,人間と自然が上手に共存していくことが大切であると感じました。私たちは,自然を調査し改善に向けて努力する団体や,動物を保護し,原因を究明する団体など,様々な活動が関わることで快適な日常生活が成り立っていることを忘れてはいけません。今回の巡検で学んだことをしっかりと今後の学習活動に活かしていきたいです。

訪問した北海道釧路湖陵高等学校

湿原での実習(沢班)

達古武湖での実習

釧路湿原を背景に

温根内ビジターセンター訪問

木道での自然観察

釧路湿原野生生物保護センター・猛禽類医学研究所訪問

治療中のオオワシたち

猛禽類医学研究所の手術治療室にて